【アイルランドT】複勝率53.3%、回収率100%超データに合致 東大HCの本命は近走充実のラヴァンダ

東大ホースメンクラブ

アイルランドトロフィーのプラスデータ,インフォグラフィック,🄫SPAIA

ⒸSPAIA

「初代」の栄冠は誰の手に

日曜日、東京競馬場でGⅡ・アイルランドTが行われる。関屋記念で6度目の重賞2着となったボンドガールやその勝ち馬カナテープ、京成杯AHを13番人気で勝利した7歳馬ホウオウラスカーズ、その他今年の牝馬重賞を勝利したアドマイヤマツリやサフィラ、セキトバイーストなどが揃った。

これまで同時期に施行されていた「府中牝馬S」の名称は6月のハンデ重賞に移行。このレースは「第1回アイルランドトロフィー」として施行される。初代覇者となるのはどの馬か。過去10年(15~24年)の府中牝馬Sのデータから検討する。

差し馬の見直しを

過去10年の府中牝馬S、同年重賞実績別成績,ⒸSPAIA


<アイルランドT 同年の重賞実績別成績>
阪神牝馬S出走【2-3-6-26】勝率5.4%/連対率13.5%/複勝率29.7%
→4着以内【1-2-5-7】勝率6.7%/連対率20.0%/複勝率53.3%
クイーンS出走【3-2-3-27】勝率8.6%/連対率14.3%/複勝率22.9%
→当時差し追込【2-2-3-15】勝率9.1%/連対率18.2%/複勝率31.8%
牡牝混合重賞で連対【2-5-2-7】勝率12.5%/連対率43.8%/複勝率56.3%

同年の重賞出走歴、そこでの内容に注目して好走傾向を探っていく。

まず「同年ヴィクトリアマイル(VM)出走馬」は60頭が該当し、16年には1~3着を独占、10年いずれも1頭以上が馬券に絡んでいる。しかし、VMの5着以内馬が【1-2-5-15】複勝率34.8%とそこまで信頼できるわけでもなく、逆に2桁着順からの好走例が4つあるなど、着順はあまり参考にならない。

脚質別で見ると、VMで逃げ先行だった馬が【0-2-1-15】複勝率16.7%に対し、差し【2-1-6-16】同36.0%。当時差しに回った馬が有利だ。4角順位で言えば4番手以内【0-2-1-15】、3番手以内【0-0-1-12】となる。マイルの流れで先行できるような馬は1800mが走りにくいということか。先行していたアドマイヤマツリ、サフィラはこのデータに触れる。

次に阪神牝馬S。東京と同じく瞬発力の問われるコースで施行されることもあり、着順の相関が強い。4着以内馬【1-2-5-7】複勝率53.3%で複勝回収率は100%を超える。今年は1着サフィラ、上がり32.7秒の鬼脚で追い込んで3着だったラヴァンダがいる。

GⅢだとクイーンS出走馬は全体で【3-2-3-27】。その1~3着馬【2-0-1-10】複勝率23.1%に対して6~9着が【0-1-2-6】同30.0%など、着順はこのレースに直結しない。こちらもVM同様、当時の位置取りに注目で、逃げ先行が【1-0-0-12】、差し追込が【2-2-3-15】。後方脚質だった馬は直線の長い東京で見直しが効く。上がり2位の脚で追い込んだライラックは要警戒だ。

同じ1800mでも福島牝馬Sと中山牝馬Sは低調。それぞれ【2-0-0-30】、【1-1-1-32】と振るわない。GⅢであること、小回りであること、特に福島牝馬Sは時期的に阪神牝馬Sと被ることなど原因は複数考えられるが、出走経験があるだけで減点材料と言える。

最後に、同年の牡牝混合重賞で連対していた馬は【1-5-2-6】複勝率57.1%で、複勝回収率は128%。特に東京新聞杯の連対馬は【0-2-1-0】と未勝利ながらいずれも馬券に絡んでいる。

関屋記念1着のカナテープや牡馬混合の重賞で2着2回のボンドガールはもちろん、ホウオウラスカーズにも注目だ。前走の京成杯AHは内有利の馬場が味方したとはいえ、4角10番手から見事な差し切り勝ち。4月には3勝クラスの京都芝1800mで上がり32.9秒を出しての勝利もある。別定戦で斤量の利はなくなるが、直線の長い東京で一発に警戒すべき存在となる。

重賞実績は十分

◎ラヴァンダ
前走3勝クラスを勝利しての昇級戦だが、これまでにフローラS2着、阪神牝馬S3着、府中牝馬S3着と重賞実績は十分にある。阪神牝馬Sは勝ち馬とタイム差なしで、今回人気になるであろうボンドガールを着順、上がり3Fともに上回っていた。府中牝馬Sで先着されたカナテープとは当時斤量1キロ不利で、それが今回はなくなる。

3走前のシドニートロフィーは8頭立てながら、勝ち馬ランスオブクイーンが函館記念5着、3着オーロラエックスがオープン入り、5着イングランドアイズが小倉記念1着とハイレベル戦だった。ここでも勝ち負けは間違いない。

◯ボンドガール
重賞2着6回のシルバーコレクター。2走前のVMでは2番人気15着と大敗したが、前走は勝ち馬とクビ差の2着。ハンデ2キロ差を考えれば勝ちに等しいものだった。

能力は非常に高いが、やはり阪神牝馬Sのように差し切れない可能性は常に付きまとう馬でもある。このレースは差し有利の舞台で歓迎だが、それでも2走前の不可解な凡走を含め、軸には向かないと判断する。

▲カナテープ
3走前に3勝クラスを突破すると、昇級初戦の府中牝馬Sで2着、関屋記念ではレコードタイムで勝利した。東京での成績は【4-4-1-1】、最低着順は4着と崩れず好走している。ただし、前走、前々走ともにハンデ戦だった点には注意が必要。他の上位馬と比べて斤量が軽かった。今回は別定戦でそれがなくなる。逆転される可能性は低くない。

以下ホウオウラスカーズ、ライラックまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。

▽アイルランドT予想▽
◎ラヴァンダ
◯ボンドガール
▲カナテープ
△ホウオウラスカーズ
×ライラック

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

《関連記事》
【アイルランドT】レースページはこちら
【アイルランドT予想印まとめ】府中牝馬S上位馬で本命割れる 全員から印回るカナテープがリード
東京芝はルメール騎手以外に池添謙一騎手も狙い目 騎手、種牡馬の府中巧者を徹底検証