【スワンS】淀みなく流れるタフなレースを想定　京大競馬研の本命はウインマーベル

2025/10/12 06:00

京都大学競馬研究会

ⒸSPAIA

この記事のレース

ＭＢＳ賞スワンＳ

GⅡ

10月13日(月)　京都11R

地力の高い差し馬が順当に好走しやすい条件

10月13日(月)にスワンS（GⅡ）が行われる。本レースの勝ち馬にはマイルCSの優先出走権が与えられる。

今年は昨年の2歳王者アドマイヤズームをはじめ、競走名の通り白鳥のように秋の大舞台へ羽ばたこうとする実力馬18頭が集まった。1400mということもあり、スプリンターとマイラーが混在する非常に難解な一戦だ。

以下では、本レースが行われる京都芝1400m（外回り）のコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは京都芝1400mのコース形態をみる。向正面の2コーナー出口付近からスタートし、初角までの距離は約510m。外回りコースを使用する。向正面半ばから徐々に坂を上り､3コーナーで頂上を迎え、4コーナーにかけて下る。最後に404m（Aコース使用時）の平坦な直線を駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約510mとかなり長いこと。先手争いは長引きやすく、序盤のペースは上がりやすい。コーナーに入った後は3コーナーを頂上として下り坂となるためペースが緩む地点がない。全体としてスタートからゴールまで淀みないラップが続く、かなりタフなコース形態となっている。

序盤、中盤で淀みないラップを刻むため、先行負荷はそれなりに大きい。加えて、軽い芝のおかげで後続も脚を使わずに追走してくるため、速いペースの割に馬群が凝縮する。先行勢が十分なリードを築けない状態で最終直線を向かえることが多い。

先行勢が粘り込むには3～4角でリードを保つための早仕掛けをして、持続力勝負に持ち込むしかない。しかしそれまでの先行負荷もあり、持続力勝負を得意としない馬や、地力のない馬は直線半ばでいっぱいになる。

したがって、道中は中団～後方を追走し、速い上がりを使うことができる地力の高い差し馬が順当に好走しやすい。それがこのコースが持つレースの質だ。

スワンSの上がり3F5位以内馬成績,ⒸSPAIA

＜スワンS　上がり3F順位別成績＞
5位以内
【6-8-8-32】
勝率11.1%、連対率25.9%、複勝率40.7%
単勝回収率63%、複勝回収率143%
※京都開催の直近10回

これは数字にも表れている。スワンSにおける上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。連対内20頭中14頭、馬券に絡んだ30頭中22頭を該当馬が占めており、どの位置で競馬をするにせよ、メンバー上位の末脚を使うことが好走条件だ。

ただ、今年は例年と異なり開幕から2週目の施行となるため、地力次第では速い上がりを持たない先行馬が残る目にも十分注意したい。地力の高い差し馬が順当に好走しやすい条件と意識しながらも、想定される展開次第で前残りにも気を付けて印を打ちたい。

先行馬が手薄な一方、緩い流れにはなりにくい展開

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が4頭と、出走馬全18頭に対してそこまで多くない。ただ、快速馬アサカラキングが先手を主張し、そこに安定した先行力があるアドマイヤズーム、ウインマーベルという実力馬が続く形になれば緩いペースは考えづらい。序盤のペースが上がりやすいコースと相まって前半3F33秒台から34秒前半で流れるとみる。

この展開で恵まれるのは中団の前目を追走し、速い上がりを使って抜け出すことができる地力の高い差し馬だ。ある程度ポジションを取る追走力も重要となる。また、距離短縮も有利になるだろう。差しが届きやすいコース形態とはいえ、最後方大外からまとめて一気に差し切るのは至難の業だ。

各馬の地力を比較した上で、より前目から堅実な末脚を使える馬を中心に印を打っていく。

高い追走力と堅実な末脚を併せ持つ

◎ウインマーベル
前走の安田記念は好スタートから前半1000m通過58.4秒の比較的速いペースを1～2番手で先行。4角8番手以下の馬が2～4着、6～9着を占める超差し有利な決着を粘って0.4秒差5着と、着順、着差以上に評価できる内容だった。

2走前の1351ターフスプリントは次走ヴィクトリアマイルを勝つアスコリピチェーノ相手にタイム差なし2着。今年に入ってからの近2走は日本のマイル最高峰の相手に実力を示しており、地力は今回のメンバーでも最上位だ。

昨年のマイルCSも同様の強敵相手に展開不利の中、0.4秒差3着に好走していて、京都も十分にこなせる。

今回は前走から斤量減にもなる。スムーズなスタートを切って好位～中団前目を追走し、抜け出す形で持ち前の堅実な末脚を発揮できれば、距離短縮もあって簡単には捕まらない。前走の展開不利での敗戦により、高いオッズ妙味が見込まれる。

◯ロジリオン
前走の京王杯SCは中団追走からスムーズな追い出しで能力を最大限発揮した。GⅠ級の上位2頭にはやや離されたものの、0.4秒差3着と能力の高さを示した。2走前のダービー卿CTはトップハンデ58.5kgを背負い、終始外を回され続けて0.4秒差9着。着順ほど大きくは負けておらず悲観する内容ではない。

中団から常に堅実な末脚を使える優等生タイプであり、今回のメンバーでも能力は上位。前走同様、スムーズに能力を発揮しきれば勝ち負け可能とみる。

▲オフトレイル
前走の関屋記念はハイペースで差し有利な展開が向いたとはいえ、4角11番手から上がり3F32.7秒の強烈な決め手でタイム差なし2着。今回のメンバーでも最上位の瞬発力を持つ。

昨年の阪神C、スワンSの内容を見ても京都芝1400mはベストに近い条件だ。叩き2走目となる今回、前走からの斤量減と距離短縮を生かしてパフォーマンスを上げてくれば勝ち負け可能だ。

△ワールズエンド
条件戦を地道に勝ち上がってきた4歳屈指の実力馬。前走の3勝クラスは決して緩くはないペースで逃げてラスト3F11.4-10.9-10.9の非常に優秀なラップを刻み、最後は流す余裕もありながら2着に0.6秒差をつけ快勝した。才能の片鱗を見せたアーリントンCから着実に成長し、今回のメンバーでも上位のポテンシャルを秘める。自然と差しに回る形で力を発揮できれば。

×アドマイヤズーム
同じ京都でミュージアムマイル、ランスオブカオス相手に見せた朝日杯FSの走りを考えれば、たった一度の大敗で見切りはつけられない。再度、本来の能力を発揮できれば。

×ランスオブカオス
距離短縮が最もプラスに作用するのは間違いなくこの馬。京都の芝1400mでは新馬戦（当時は内回りだが）を勝っている。好位追走できれば。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。

▽スワンS予想▽
◎ウインマーベル
◯ロジリオン
▲オフトレイル
△ワールズエンド
×アドマイヤズーム
×ランスオブカオス

◎2024年勝負買い目個人成績（東海S～ホープフルS：25記事）
・単勝27点→4830円　回収率178.9%　的中率37.5%（的中9R/推奨24R）
・馬連105点→12480円　回収率118.9%　的中率42.9%（的中9R/推奨21R）
・3連複204点→22410円　回収率109.9%　的中率17.4%（的中4R/推奨23R）

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。