【ローズS】過去10年は上がり5位以内が10勝 京大競馬研の本命は差し脚確かなテレサ
京都大学競馬研究会

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速い上がりを使える、差し脚確かな馬が中心
9月14日(日)にローズS(GⅡ)が行われる。牝馬三冠の最終戦・秋華賞のトライアル競走であり、3着馬までに優先出走権が与えられる。今年もオークス馬カムニャックをはじめ、世代屈指の有力馬が集結。混戦模様の一戦となった。
以下では、本レースが行われる阪神芝1800mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
まずは阪神芝1800mのコース形態をみる。2コーナー出口付近のポケット地点からスタートし、初角までの距離は約660m。外回りコースを使用し、ゆったりとした3~4コーナーを回ると、最後は473.6m(Aコース使用時)の直線となっている。
スタート直後は平坦、向正面半ばから残り600mまではわずかに下り傾斜、そこから残り200mまで緩やかな下り坂。最後に勾配1.8mの急な上り坂が待ち構えている。これが今回のコースレイアウトだ。
まず注目すべきは初角までの距離が約660mとかなり長い点だ。序盤の先手争いは長引きやすく、ペースが上がりやすい。また、向正面半ばから微妙に下り、4コーナーから最終直線の残り約200m地点まで緩やかな下り坂となっているため、コーナーに入った後もペースは落ちにくく、先行勢は息を入れるタイミングがない。序盤、中盤は淀みないペースで流れやすい。
さらに外回りコースを使用するため、内回りよりも外からの押し上げが効きやすく、直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めやすい。先行勢はタフな競馬を強いられる上にポジション差の優位を築きにくい。そして阪神芝外回りの直線は日本の芝コースでは新潟外回り、東京に次いで3番目に長い。最後には勾配1.8mの急坂も待ち構えていることから、よほどの地力がなければ先行馬が残し切るのは至難の業だ。
したがって、序盤、中盤は中団~後方で脚を温存した、速い上がりを持つ差し脚確かな馬が恵まれやすいというのが今回のレースの質だ。

<ローズS 上がり3F順位別成績>
上がり5位以内
【10-9-9-24】勝率19.2%、連対率36.5%、複勝率53.8%
単勝回収率164%、複勝回収率246%
※阪神開催の直近10回
この傾向は数字にも表れている。ローズSにおける上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。阪神開催時の直近10回で、連対した20頭中19頭、馬券内の30頭中28頭を該当馬が占めている。メンバー上位の上がりを使えることが好走の絶対条件と言っていい。そうでない先行馬の前残りは皆無だ。
ただ、開幕2週目のAコースでの施行のため、地力のある馬に限り、ハイペースを前受けできる距離短縮馬の残り目にも注意したい。基本的には道中は出来るだけ後方の内ラチ沿いで脚を溜め、最後に強烈な決め手がある馬を中心に印を打っていく。
ヴーレヴーが引っ張るハイペース展開
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が6頭と出走馬全18頭に対してそれなりに多い。
中でもやはり注目はNHKマイルCを1000m通過56.4秒の超ハイペースで逃げたヴーレヴーの存在だ。このテンの速さがあって距離延長で臨むこの馬が中心となり、先手争いを繰り広げれば、序盤のペースが上がりやすいコース形態と相まってハイペースで流れる。
恵まれるのはやはり中団~後方で脚を温存した、速い上がりを持つ差し脚確かな馬だ。序盤からある程度ポジションを取れる馬であれば、距離短縮も大きなプラス材料となる。
ただし後方脚質馬が大幅な距離短縮となる場合、ヴーレヴーの引っ張る展開で縦長になった馬群の後方からになり、直線を向いた時点でポジションが後ろすぎる可能性がある。差しが届きやすいコース形態とはいえ、最後方から全頭を一気に差し切るのは相当な地力がなければ厳しい。この点も押さえておきたい。ある程度の追走力も意識した上で印を打っていく。
ポテンシャル十分でオッズ妙味あり
◎テレサ
前走の2勝クラスは好スタートから1000m通過59.6秒のややハイペースで逃げる競馬。ラスト3F11.8-11.7-11.7の減速しない優秀なラップで勝利した。直線では2着ミッキーゴールドに詰め寄られるも再度突き放しており、粘り強さを見せた。そのミッキーゴールドは若葉Sでジョバンニ(皐月賞4着馬)相手に0.2秒差3着、デルアヴァー(京都新聞杯3着馬)には先着しており、ハイレベルな今年の3歳牡馬でも実力上位。この馬を相手に勝利した本馬は今回のメンバーで上位のポテンシャルを持つと見る。勝ち時計も優秀で、翌週同コースの3勝クラスを0.2秒上回っている。
2走前のスイートピーSは跳ね上がるスタートで最後方からとなるも高い瞬発力を発揮し、差す競馬もできることを示した。今回はテンの速い馬が揃っているため、自然と差しに回る形になる。前走同様の好スタートから中団を追走し、2走前で見せた瞬発力を発揮できれば好走できるポテンシャルを秘めている。想定オッズ段階では高い妙味も見込まれる。
◯チェルビアット
前走のNHKマイルCは好スタートから中団インを追走し、1000m通過56.4秒のハイペース、差し有利な展開が向いてタイム差なし3着。展開の利もあって能力を最大限発揮したものとはいえ、やはり相手関係が優秀だった。勝ち馬パンジャタワーは次走で古馬重賞制覇、2着馬マジックサンズは皐月賞の6着馬、4着モンドデラモーレはその後3勝クラス3着とハイレベルであり、本馬も今回のメンバーでは上位のポテンシャルを持つ。
脚質からすれば距離延長もプラス材料であり、スムーズな追い出しで力を出し切れば順当に好走してくるとみて2番手評価。
▲カムニャック
オークス馬。今回は秋華賞のトライアル競走であり、ここで最大限に仕上げてこない可能性があることや、オークス出走馬の次走内容からレースレベルがやや疑われることなどを考慮しても、今回のメンバーではポテンシャル最上位の1頭だ。長く脚を使えるタイプで、持ち前の末脚を発揮すれば順当に好走してくる。
△ミッキージュエリー
逃げて突き放した前走内容を高く評価。勝ち時計も優秀で、2勝クラスでは一つ抜けていた。
×パラディレーヌ
中団から常に堅実な末脚を使える優等生タイプ。ポテンシャル上位。能力を出し切れれば。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複5点で勝負する。
▽ローズS予想▽
◎テレサ
◯チェルビアット
▲カムニャック
△ミッキージュエリー
×パラディレーヌ
◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)
《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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