【オールカマー】「前走GⅢ・3着以内」が10年で4勝 ドゥラドーレス&レガレイラ兄妹がダブル主演

勝木淳

過去10年のデータから見るオールカマー,ⒸSPAIA

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5番人気以内が勝負圏

いよいよ秋の古馬中距離戦線が活発になる。オールカマーはそんな合図がわりのようなレースだ。とはいえ、以前に比べて秋の目標自体も国内に限らず、ヨーロッパ、アメリカ、香港と海外も増え、多様化が著しい。

海外戦線を見据える組はすでに始動しており、どちらかというとオールカマーは国内戦線へ向かうメンバーが集まる。出走数を絞る傾向にある昨今、オールカマーは始動戦というニュアンスより頂点を競う争いに食い込みたい勢力の賞金稼ぎの場でもある。

今年は出走馬にGⅠ馬の名があり、近年に比べると賑やかになるだろう。実績馬たちにどこまで対抗できるか。ワンランク上を目指す馬たちにとって腕試しにもなりそうだ。ここからは過去10年分のデータを使用して今年のオールカマーを展望する。

人気別成績


人気別では1番人気【3-3-0-4】勝率30.0%、複勝率60.0%を筆頭に、5番人気【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%までが勝負圏内で、勝ち馬はすべてここから。少し候補は増えるが、上位5頭の争いになる公算が高い。

穴馬では7番人気【0-0-3-7】複勝率30.0%が目立つぐらいなので、穴党にとっては手を出しづらい。これも伝統ある中距離GⅡらしさゆえ。なにもすべてのレースで穴馬券を狙わなくていい。

年齢別成績


年齢では4歳が【6-4-3-13】勝率23.1%、複勝率50.0%と突出している。分母が少なく、高く出やすいという側面はあるものの、これから最上位を狙おうという4歳馬は味方につけたいところだ。

一方で5歳は【4-3-5-39】勝率7.8%、複勝率23.5%とやや勝ちきれない数字。とはいえ、馬券圏内に入る可能性は高く、この二世代を主軸に予想を組み立てたいところだ。

レガレイラ、登場

宝塚記念の11着大敗から立て直しを図るレガレイラは、有馬記念やホープフルSと同じ中山である点からも負けられない。といいつつ、目標は先であり、全力でこない可能性は頭の隅に入れておこう。

前走クラス別成績


前走クラスをみると、前走GⅠが【5-4-1-23】勝率15.2%、複勝率30.3%と強く、次いでGⅢ【4-1-2-41】勝率8.3%、複勝率14.6%が続く。この並びからオールカマーが実績馬と夏の上がり馬の戦いであることが推察できる。

前走GⅠ組・レース別成績


まずはGⅠ組からレース内訳を掘り下げる。レガレイラの前走宝塚記念は【2-2-1-9】勝率14.3%、複勝率35.7%と凡走の可能性も孕む。6月の宝塚記念からオールカマーまでは約3カ月であり、夏を完全休養に充てるとなると、少しレース間隔が詰まる印象がある。

少なくとも1カ月前からレースに向けて立ち上げるとなると、8月には調教強度を上げていくことになる。この短期間で完調までもっていくのはリスクもあり、休み明け特有の反応を示し、負ける場面も想定できる。

ちなみに宝塚記念5着以内【1-1-1-5】に対し、10着以下は【0-0-0-3】。大敗を喫したダメージを回復させ、9月にGⅡで好勝負を演じるのは我々が考える以上に簡単ではない。

次に今年参戦が目立つ前走札幌記念は【0-2-0-8】複勝率20.0%。間隔が詰まったローテでもあり、案外難しい。ここは6~9着【0-2-0-1】、10着以下【0-0-0-5】。6着リビアングラスが好走ゾーンに入る。

また前走目黒記念は【0-0-3-3】複勝率50.0%。3、4着が【0-0-3-1】だが、2着馬の出走は過去10年でゼロ。同2着のホーエリートは中山の非根幹距離に強いという戦歴からも買いたい一頭ではある。

前走GⅢ組・着順別成績


続いて前走GⅢ組について。こちらは挑戦者らしく前走1着【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%など、3着以内が【4-1-0-13】。4着以下が【0-0-2-27】なので、好走は必須条件となる。

七夕賞2着ドゥラドーレスはサマー2000シリーズを転戦せず、ここまで待機したローテーションが不気味にみえる。母はロカなので、レガレイラの兄でもある。近親アーバンシックは昨年、同舞台のセントライト記念を勝った。ランズエッジ一族の中山適性はドゥラドーレスも同じ。初出走の中山で新味をみせたい。

過去10年のデータから見るオールカマー


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。

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