【京成杯AH】「距離短縮組」が過去10年5勝と優勢 好材料そろうコントラポストが浮上
勝木淳

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土曜メインに移った京成杯AH
中山に秋を告げる4回開催初日のメインレースは今年から京成杯AHに変わる。GⅡ紫苑Sと入れ替わった。こうした細かな日程変更が今年は多い。同じサマーシリーズで、スプリントの最終戦セントウルSと同日開催を避けるという意味合いもある。
とはいえサマーマイルシリーズ最終戦ではあるが、顔ぶれはマイル戦線に矛先を向ける3歳馬や夏を休養に充てた実績馬も目立つ。もちろん、サマーマイルシリーズ優勝を狙う面々も登録しており、今年も横の比較が難しい一戦になりそうだ。ここからは過去10年のデータを使用して京成杯AHを展望する。

人気別成績では、1番人気【5-0-1-4】勝率50.0%、複勝率60.0%をはじめ4番人気以内が8勝とイメージほど波乱は多くない。
そもそも中山のハンデ戦ときくと、波乱上等と張り切りがちだが、2020年以降、中山ハンデ重賞の成績をみれば、全34レース中1番人気は8勝。芝だと【7-0-6-15】勝率25.0%、複勝率46.4%と手堅い。京成杯AHも過去5年に限定すると、【2-0-1-2】勝率40.0%、複勝率60.0%。たとえ人気が割れていても、1番人気は連軸向きだったりもする。
一方で、10番人気以下は【1-5-2-51】勝率1.7%、複勝率13.6%と単勝こそ狙いにくいものの、2着の半数は二桁人気であり、馬券はかなり手広く抑えていかないと的中にありつけない。

年齢別で目立つのは5歳【6-3-4-36】勝率12.2%、複勝率26.5%。6歳【0-6-2-27】複勝率22.9%とあわせ、サマーマイルシリーズ最終戦は比較的ベテランが活躍する。
野芝で行われる秋の中山は高速決着が定番であり、京成杯AHも昨年の勝ち時計1:30.8は別格としても、31から32秒台での決着が目立つ。高速決着となると、若い馬に重きを置きがちだが、実際はそうでもない。
とはいえ、3歳【2-1-2-17】勝率9.1%、複勝率22.7%とハンデに恵まれる若駒も決して悪くない。問題は4歳【1-0-2-24】勝率3.7%、複勝率11.1%。主力世代ゆえに逆にハンデを背負わされるという理由も考えられるが、それにしても物足りない数字だ。
距離短縮で狙えるコントラポスト
春のクラシック路線から転戦してくるカラマティアノス、エリカエクスプレスは適距離での出直しを図る。ここに春のダービー卿CT2着のコントラポストやサマーマイルシリーズ経由のジューンオレンジ、シヴァースあたりが絡んでくる。

前走クラス別成績では前走GⅠの休み明けが【3-1-2-12】勝率16.7%、複勝率33.3%と好相性だ。着順の内訳をみると、5着以内【1-0-1-3】、6着以下【2-1-1-9】と拮抗しているが、さらに詳しく前走10着以下で見ると【1-1-1-7】と凡走が目立ってくる。ダービー12着のカラマティアノス、オークス10着のエリカエクスプレスは適距離で一変となるだろうか。

では前走サマーマイルシリーズ組はどうか。着度数をみると【4-6-5-54】勝率5.8%、複勝率21.7%とまずまず。着順を詳しく確認すると、2着【3-1-1-6】勝率27.3%、複勝率45.5%、3着【1-0-2-3】勝率16.7%、複勝率50.0%と惜敗組が元気だ。
サマーマイルシリーズ逆転優勝を狙える馬の鼻息は荒い。中京記念3着のジューンオレンジは外せないだろう。

最後に全体での前走距離をチェックする。同距離【4-8-8-68】勝率4.5%、複勝率22.7%は当然として、1600m超からの短縮組が【5-0-1-29】勝率14.3%、複勝率17.1%と結果を残している点には注意したい。
前走1800mが【3-0-1-23】勝率11.1%、複勝率14.8%で、3着以内だと【3-0-0-4】と優秀。今年はコントラポストがデータに合致する。春に当舞台での重賞2着という戦歴を踏まえても、評価を上げないわけにはいかない。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 純白の奇跡』(ガイドワークス)に寄稿。
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