単回105%の“黄金タッグ”、際立つ新馬戦での強さ 佐々木大輔騎手のプラス条件、マイナス条件
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この夏重賞3勝の大活躍
今週末は新潟芝2000mを舞台に新潟記念(GⅢ)が開催される。これまでのハンデ戦から別定戦へ変更されたため、今年は新潟記念史上最高と言っても過言ではない超豪華メンバーが揃った。
一昨年のエリザベス女王杯勝ち馬で唯一のGⅠ馬であるブレイディヴェーグを筆頭に、ヴィクトリアマイル2着で重賞3勝の実績馬クイーンズウォーク、ヴィクトリアマイル3着のシランケドも3走前の魚沼ステークスでは今回と同舞台で上がり33秒0の豪脚を使って快勝と、ハイレベルな牝馬がズラリ。
さらに牡馬では函館記念勝ちヴェローチェエラや七夕賞勝ちコスモフリーゲンといったサマー2000シリーズ対象競走の覇者に加え、無傷の3連勝で青葉賞を制した3歳馬エネルジコが古馬との初対決を迎える。秋のGⅠを見据える強豪と、夏のタイトルを目指す実力馬が集結した。
そんな新潟記念で復活を期すのが、6歳牡馬ダノンベルーガだ。イクイノックスやドウデュースを輩出した「最強世代」の一員であり、2022年の日本ダービーではその2頭をおさえて1番人気に支持されるほどの素質馬であった。ところが、最後の勝利は3歳2月の共同通信杯までさかのぼる。2022年の天皇賞(秋)3着や、ドバイターフでは2023年に2着、2024年も3着などトップクラスで善戦はするものの、勝ちきれない状況が続いている。
そんなダノンベルーガと初コンビを組むのが、4年目の佐々木大輔騎手だ。この夏はヴェローチェエラとの函館記念制覇を皮切りに、8月はエルムステークスとCBC賞で2日連続の重賞勝利を達成。異なる競馬場で計3つの重賞勝ちを挙げる大活躍を見せており、いま最も勢いのある若手騎手といっても過言ではないだろう。
そこで今回は、佐々木大輔騎手の「プラス条件」「マイナス条件」をテーマに徹底分析を行う。なお、参照するデータは2022年3月5日から2025年8月24日まで。佐々木大輔騎手の通算成績とする。
やはり強い須貝厩舎との黄金タッグ

<佐々木大輔騎手の「プラス条件」>
・須貝尚介厩舎【21-13-15-79】
勝率16.4%/連対率26.6%/複勝率38.3%/単回収率105%/複回収率90%
・芝×新馬戦【14-11-14-86】
勝率11.2%/連対率20.0%/複勝率31.2%/単回収率165%/複回収率80%
・中山芝【15-8-11-132】
勝率9.0%/連対率13.9%/複勝率20.5%/単回収率147%/複回収率64%
・東京ダート×1400m以下【4-4-7-60】
勝率5.3%/連対率10.7%/複勝率20.0%/単回収率586%/複回収率274%
この章では、佐々木大輔騎手の「プラス条件」を取り上げる。
■須貝尚介厩舎
調教師別の成績を見ると、佐々木騎手が最も多くの勝利を挙げているのが須貝厩舎の管理馬だった。ヴェローチェエラやアルテヴェローチェ、マジックサンズと重賞でも3勝を挙げており、大舞台でも存在感が増してきている黄金タッグだ。
特に芝のレースで信頼度が高く、なかでも函館芝が【3-3-3-10】勝率15.8%、単回収率122%で札幌芝も【6-3-3-16】勝率21.4%、単回収率102%と北海道シリーズで妙味あり。夏の北海道開催は残りわずかとなってしまったが、ぜひとも覚えておきたい。
■芝×新馬戦
もうひとつ見逃せないのが、芝の新馬戦での強さ。単回収率165%を叩き出すなど好調だ。最大の狙い目は中山の【5-1-1-19】で勝率19.2%、単回収率646%、複回収率124%という驚異的な実績を残している。
その他、函館【4-5-5-11】複回収率90%や札幌【3-2-4-15】同107%と、やはり北海道シリーズでの信頼度が高い。
■中山芝
新馬戦に限らず、中山芝は単回収率147%の得意条件。とくに1600mに滅法強く、中山マイルでは【7-2-3-38】勝率14.0%で単回収率370%、複回収率も111%とベタ買いするだけでプラスである。
中山芝でも重賞では【0-0-0-15】と1度も馬券に絡むことができていないが、OP/Lでは【0-0-3-5】複勝率37.5%、複回収率93%とまずまずの成績。今年の秋はもうひとつ上の舞台での躍動に期待したい。
■東京ダート×1400m以下
勝率をはじめ好走率では芝が優勢の佐々木騎手だが、ダートの通算単勝回収率が100%となっている点も見逃せない。なかでも狙い目は東京ダート1400m以下だ。
1400mで【3-2-5-53】単回収率467%、複回収率201%を誇り、特殊な1300mでも【1-2-2-7】単回収率1212%、複回収率657%をマーク。特に後者は複勝率41.7%の超得意条件で、見かけたら迷わず買いだ。
重賞勝利も実は苦手条件

<佐々木大輔騎手の「マイナス条件」>
・東京芝【7-7-4-109】
勝率5.5%/連対率11.0%/複勝率14.2%/単回収率29%/複回収率37%
・GⅠ、GⅡ【0-0-0-19】
勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
・札幌ダート【8-5-12-103】
勝率6.3%/連対率10.2%/複勝率19.5%/単回収率31%/複回収率62%
この章では、佐々木大輔騎手の「マイナス条件」を取り上げる。
■東京芝
他のコースと比べ、東京芝はやや低調な成績。特に東京芝1800mは【0-1-0-25】複回収率4%と苦戦が続いている。現状は得意の北海道シリーズや、単勝回収率が100%を超えている中山、中京、阪神の芝で狙うのが良いだろう。
■GⅠ、GⅡ
クラス別の成績ではGⅢで【6-1-0-31】勝率15.8%、単回収率123%と好成績を残しているのに対し、GⅠとGⅡでは【0-0-0-19】と馬券絡みがない。
直近も札幌記念(GⅡ)がヴェローチェエラとのコンビで4番人気5着だったほか、今年の青葉賞(GⅡ)では3番人気レッドバンデで4着惜敗、昨年の暮れはホープフルS(GⅠ)で2番人気マジックサンズで16着。上位人気馬で期待を裏切る結果に終わっているのは少し気がかりだ。
■札幌ダート
今年はエルムS(札幌ダート1700m)を制したが、妙味の面で札幌ダートはマイナス条件となっている。
函館と比較すると一目瞭然。函館ダートでも勝率12.9%、単回収率64%とやや心もとない数字だが、札幌ダートでは勝率6.3%、単回収率31%とさらに苦戦が目立つ。重賞勝ちや北海道得意のイメージに惑わされないよう注意したい。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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