【新潟記念】3歳馬ブラストワンピースが最内から超大外を強襲 強豪古馬を撃破した2018年をプレイバック

緒方きしん

プレイバック 2018年 新潟記念,ⒸSPAIA

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3歳馬ブラストワンピースが異例の新潟参戦

今週は新潟記念が開催される。過去にはダイナフェアリーやオフサイドトラップ、ダイワテキサスらが制したレース。今回はそんな中から2018年の一戦をピックアップして当時のレースを振り返っていく。

2018年の新潟記念は、単勝1.8倍の支持を集める3歳馬ブラストワンピースに注目が集まっていた。ブラストワンピースはデビューから4戦3勝。キャリア4戦ながら前走の日本ダービーでは2番人気に推され、5着と力を見せていた。

3歳世代トップクラス馬の古馬との初対決。3歳(当時4歳)の新潟記念制覇は1983年アップセッターまで遡る。3歳馬ブラストワンピースがどのような走りを見せるのか。ファンは注目していた。

人気では6歳馬グリュイエール、4歳馬セダブリランテスらが追い、伏兵評価の馬にもマイネルハニーやメートルダール、メドウラークといった実力派が揃っていた。単勝1.8倍の素質馬を相手に彼ら古豪も簡単には負けられない。

1枠1番から外ラチ強襲 衝撃の圧巻V

ゲートが開くとほぼ揃ったスタート。最内枠のブラストワンピースは、ややゆったりとした走りで後ろのポジションを取る。

同じ勝負服のセダブリランテスが大外枠から先頭を伺う素振りを見せるが、2015年の新潟記念2着馬マイネルミラノがハナを奪う。ブラストワンピースは11番手、後方3番手から前を見る形で追走。その後ろに6番人気メートルダール、13番人気ショウナンバッハの伏兵2頭が付けていた。

逃げたマイネルミラノが淀みのないペースでレースを引っ張る。一方、2番手から8番手あたりは入れ替わりがある展開。そんな中でもブラストワンピースは依然と後方ポジションをキープ。鞍上の池添騎手の手綱捌きに迷いはないように見えた。出走馬のなかで最重量である530kgの雄大な馬体が見せる走りは、まだまだ余裕十分に見えた。

直線に入り各馬が横に広がりながら追い始める。新潟の直線は長い。先頭をキープしていたマイネルミラノはただ一頭、内ラチ沿いに進路を取ったが他馬は外に持ち出した。

横に広がった馬たちを、大外からかわし始めたのがブラストワンピースだった。大きなストライドで一歩一歩伸び、観衆にその姿を見せるように外ラチに近づきながら加速。そして一気に先頭に躍り出た。

前を追うのは道中で後方に付けていたメートルダールとショウナンバッハ。2頭の鞍上は激しいアクションで必死に前を追うが、ブラストワンピースは雄大で力強い走りで後続を突き放す。そしてそのまま1馬身3/4差をつけてゴール板を駆け抜けた。

配当は13番人気ショウナンバッハが3着にきたことで三連複253倍、三連単571.7倍。単勝1.8倍の馬が人気通りに勝利したにも関わらず高配当となった。後方勢が上位を占める結果だったが、それ以上にブラストワンピースの強さが際立った。

3戦全勝の3歳馬エネルジコが参戦

ブラストワンピースはその後、菊花賞4着を挟み3歳で有馬記念を制覇。その後も凱旋門賞11着など様々なレースに出走した。

そして2021年の札幌記念5着を最後に引退。引退後は乗馬として活躍を目指し、引退競走馬たちによる馬術大会「RRC(Retired Racehorse Cup・引退競走馬杯)」などに参加している。

新潟記念は今年からハンデ戦ではなく別定戦で開催される。その影響でより秋GⅠでの活躍を見据えた実力馬が参戦する傾向が強まるだろう。

今年は3戦全勝の3歳馬エネルジコが参戦。春はクラシック出走が叶わなかったが、秋から楽しみな存在としてブラストワンピースと重ねる人も多いのではないか。

しかし今年は迎え撃つ古馬たちも強力だ。天皇賞(秋)やドバイターフでの好走歴があるダノンベルーガ、前年覇者シンリョクカ、牝馬からは今年のヴィクトリアマイルでクビ差2着のクイーンズウォーク、2年前のエリザベス女王杯勝ち馬ブレイディヴェーグらが参戦する。

歴戦の古馬たちが力の差を見せるのか。それとも3歳馬エネルジコが分厚い壁を乗り越え、秋の大舞台に主役として名乗りを挙げるのか。ハイレベルな攻防が見られる素晴らしいレースになることは間違いない。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、コスモネモシン、ドウデュース。

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