【新潟2歳S】G1・6勝馬並みのポテンシャルで勝ち負け必至 京大競馬研の本命はサノノグレーター

京都大学競馬研究会

新潟2歳S 上がり3F4位以内馬の成績(過去10年)

ⒸSPAIA

速い上がりが好走の絶対条件

8月24日(日)に新潟2歳S(GⅢ)が行われる。一昨年は後の2歳女王、今年のヴィクトリアマイルでGⅠ・2勝目を飾った世代屈指のマイラー・アスコリピチェーノが人気に応え勝利を収めた。暮れの2歳GⅠ、クラシックの大舞台に羽ばたいていくための試金石となる一戦だ。今年も例年通り、将来を期待される多くの素質馬が集結。難解かつ混戦模様の一戦となった。

以下では、本レースが行われる新潟芝1600mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは新潟芝1600mのコース形態をみる。向正面、スタンドから見て中央やや右側からスタートし、初角までの距離は約550m。外回りコースを使用し、向正面の内回りと外回りの分岐点辺りからやや上り坂、3、4コーナーではやや急な下り坂になっている。3、4コーナーはスパイラルカーブで、それを回ると日本最長659mの平坦な最終直線が待ち構えている。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約550mとかなり長い点だ。通常、初角までの距離が長いコースでは序盤の先手争いが長引きやすい。ただ、この新潟2歳Sはキャリアが浅いうちの世代重賞ということもあり、新馬、未勝利戦でスローペースからの瞬発力戦を勝ってきた馬が多く直行してくる。したがって前半3Fは多くの出走馬にとってキャリア最速を更新することになるとはいえ、そこまで序盤の先手争いは激しくならない。序盤の先行負荷がどれくらいになるかについては、次章の展開予想で先行馬の構成から考察していく。

今回のレースの質を考える上で、これよりも遥かに重要なのはやはり最終直線の長さだ。ラスト3Fが全て直線部に収まる距離で、仕掛けは直線に入ってからでも十分に間に合う。そこでどれだけ速い上がりを使えるかが最も重要だ。

この最終直線の長さと、後方勢が追走しやすいペースにより馬群が凝縮した状態からの瞬発力戦になりやすい点で、速い上がりを使えない馬が序盤のリードを生かして前残りするのはやや困難だ。

したがって、高い瞬発力でメンバー上位の上がりを使うことができる差し脚確かな馬が有利になりやすい、というのが今回のレースの質だ。ポテンシャルの高い馬が順当に能力を発揮しやすいコースで、若駒を見極める試金石としては最上の舞台だ。

新潟2歳Sの上がり3F4位以内馬成績,ⒸSPAIA


<新潟2歳S 上がり3F順位別成績>
上がり4位以内
【10-8-8-19】勝率22.2%、連対率40.0%、複勝率57.8%
単勝回収率120%、複勝回収率139%
※過去10年



この傾向は数字にも表れている。新潟2歳Sにおける上がり3F4位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。過去10年の勝ち馬10頭全て、馬券内の30頭中26頭が該当馬で、前述の通り速い上がりを持たない先行馬の前残りはほぼ皆無だ。メンバー上位の末脚を使うことが本レースで好走するための絶対条件と言っていい。この点を踏まえて印を打っていく。

先行馬、距離延長馬が多いメンバー構成

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が4頭と、出走馬全10頭に対してそれなりに多い。また、距離延長馬も6頭と多いため、序盤のペースもまずまず流れることが想定される。キャリアが浅いうちの世代重賞らしいスローペースからの瞬発力戦とは少し異なる展開になるだろう。

この展開でも恵まれるのは高い瞬発力でメンバー上位の速い上がりを使うことができる差し脚確かな馬だ。ただ、ある程度ペースが流れて馬群がやや縦長になる場合は、先団に置いていかれないだけの追走力も欲しい。好スタートから中団を追走し、持ち前の末脚を発揮できる馬を中心に印を打っていく。

グランアレグリア、ボンドガールに並ぶ

◎サノノグレーター
東京芝1600mの新馬戦はゆったりとしたスタートから12番手を追走。1000m通過59.5秒と新馬戦としては比較的流れたペースで、馬群が縦長のまま最終直線を迎えると、スムーズな追い出しで大外から差し切り勝ち。上がり3F33.9秒はメンバー中最速、同2位の馬に1.2秒差をつけていた。

6月に施行された東京芝1600mの2歳新馬戦において「勝ち時計1:34.6以内」かつ「上がり3F最速、33.9秒以内」で勝利した馬は本馬を含め、GⅠ・6勝グランアレグリア、秋華賞2着をはじめ重賞で複数回好走しているボンドガールの3頭のみ。本馬のポテンシャルも間違いなく世代屈指、今回のメンバーでは最上位とみる。

先行馬がそれなりに揃い、距離延長馬も多い今回、前走で速い流れを経験できていることも大きい。前走よりも前の位置から持ち前の強烈な瞬発力を発揮すれば勝ち負け必至とみる。想定オッズ段階では陣営、騎手の実績が薄いせいか、馬のポテンシャルに対して高いオッズ妙味が見込まれる。

◯ヒルデグリム
新潟芝1600mの新馬戦は中団から上がり3F2位33.1秒の末脚を使い、ラスト3F11.1-11.1-11.5の優秀なラップを差し切って勝利。直線を向いて前が壁になる場面がありながらも、2着に0.4秒差をつける快勝だった。

勝ち時計1:34.6は新潟芝1600mの2歳新馬戦における歴代2位タイの時計で、上がり3Fが高水準だったことも含めて高く評価できる。斤量増に乗り替わりと不安要素もあるが、それを含めても現時点での能力に比して想定オッズはかなりついている。

▲タイセイボーグ
前走のダリア賞は後方からの競馬となったが徐々に位置を上げていき、上がり3F最速33.4秒の脚を使い、ラスト3F11.9-11.2-11.1の加速ラップに差して2着。新馬戦と打って変わり高い瞬発力を示した。位置取りの面で今回の距離延長はプラス材料だ。前走よりも前の位置から持ち前の強烈な決め手を発揮できれば好走してくる。

△サンアントワーヌ
前走の新馬戦は2F目から最後まで一貫して11秒台のラップを刻んだ点を高く評価。0.7秒差の2着以下とは明確に地力の差がある内容だった。負かした馬の次走内容からして、メンバーレベルも高かった。好位から運べば簡単には止まらないとみて印を打つ。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲△3連複3点で勝負する。(花田)

▽新潟2歳S予想▽
◎サノノグレーター
◯ヒルデグリム
▲タイセイボーグ
△サンアントワーヌ

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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