【新潟2歳S】過去10年の3着内30頭中16頭にノーザンテーストの血 舞台適性高い注目2頭

坂上明大

新潟2歳ステークスの傾向と血統,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

傾向解説

世代2番目に行われるJRA重賞・新潟2歳S。クラシックに繋がりにくい函館2歳Sとは異なり、2022年秋華賞馬スタニングローズ(2021年5着)や2024年桜花賞2着馬アスコリピチェーノ(2023年1着)が出るなど今後に向けても注目の一戦です。

本記事では血統面を中心に、新潟2歳Sのレース傾向を整理していきます。

夏の新潟開催終盤に行われる新潟2歳Sは外枠有利が顕著なレース。内目を中心に馬場が傷んでいることが多いため、過去10年の連対馬20頭中17頭は5枠から外の発走となっています。先週の新潟開催を見ても外枠に入った馬の活躍が目立っており、綺麗な馬場を走れる枠を引けるかも重要なポイントです。

新潟2歳ステークスの枠番別成績(過去10回) ,ⒸSPAIA


<枠番別成績(過去10年)>
・1~4枠
【3-0-4-47/54】
勝率5.6%/連対率5.6%/複勝率13.0%/単回収率18%/複回収率32%
・5~8枠
【7-10-6-55/78】
勝率9.0%/連対率21.8%/複勝率29.5%/単回収率56%/複回収率80%

血統面では、荒れた馬場への適性が高いノーザンテーストの血が大活躍。ステイゴールド→オルフェーヴルやルーラーシップ、キタサンブラックなどノーザンテーストの血を内包する種牡馬は、軒並み荒れ馬場への適性が高く、新潟2歳Sでも過去10年の3着内馬30頭中16頭がノーザンテースト内包馬でした。

新潟2歳ステークスの血統別成績➀(過去10回) ,ⒸSPAIA


<血統別成績➀(過去10年)>
・ノーザンテースト内包馬
【5-6-5-40/56】
勝率8.9%/連対率19.6%/複勝率28.6%/単回収率38%/複回収率99%

ほかでは、オーストラリアで一大父系を築き上げたデインヒルにも注目。オーストラリア競馬は2歳戦と短距離戦が充実しており、そのカテゴリーを牽引してきたのがデインヒル父系です。

同父系が伝えるスピードと早熟性は日本の2歳戦においても非常に強力で、新潟2歳Sでも高い好走率を誇っています。ただ、日本で種牡馬入りしたハービンジャーは欧州の芝中長距離馬のため、同血脈はむしろ避けた方がベターでしょう。

また、デインヒルと共通点が多いMachiavellianを持つ馬も過去10年で5頭中3頭が馬券圏内に好走しています。上記2系統から受け継ぐ早熟性とスピード能力には注目です。

新潟2歳ステークスの血統別成績➁(過➁10回) ,ⒸSPAIA


<血統別成績➁(過去10年)>
・デインヒル内包馬※ハービンジャー経由を除く
【2-1-1-3/7】
勝率28.6%/連対率42.9%/複勝率57.1%/単回収率114%/複回収率84%
・Machiavellian内包馬
【1-1-1-2/5】
勝率20.0%/連対率40.0%/複勝率60.0%/単回収率42%/複回収率94%

注目血統馬2頭

この章では前章で取り上げたレース傾向に合致する、注目血統馬を2頭ピックアップ。血統面を中心に解説していきます。

☆リアライズシリウス
母母ダンスーズデトワールはHighest Honor×ダンシングブレーヴのフランス産馬で、2001年マルセルブサック賞(仏GⅠ)では2着。母レッドミラベルの3/4同血の兄には2012年アルゼンチン共和国杯の優勝馬ルルーシュがおり、ステイゴールド産駒の母は牝系のフランス血脈を継続した形です。

ポエティックフレア産駒の本馬は欧州のスピード血脈を注入しており、デインヒルやノーザンテーストの血を併せ持つ配合形は新潟2歳Sにピッタリ。素質、適性ともに最高評価を与えたい好配合馬です。

☆ヒルデグリム
母ナーゲルリングの全妹にはスプリント重賞2勝馬のテイエムスパーダがおり、母自身も芝1000~1400mで3勝。ゴールドシップ産駒の本馬もスピード強化型のマイラー体型に出ており、Princely GiftやCozzeneが入る柔軟な血統構成から新潟外回りも得意条件のひとつでしょう。

また、ノーザンテーストの5×5を持つ点も開催後半に行われる新潟2歳Sでは大きな魅力で、舞台適性についてはメンバー中屈指の一頭です。

新潟2歳ステークスの傾向と血統 ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。
現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

《関連記事》
【新潟2歳S】過去10年のレースデータ
【新潟2歳S】上位人気は堅調も…大物候補2頭は強調材料乏しく “第三極”台頭の可能性に警戒
【新潟2歳S】ハープスターが直線で17頭をごぼう抜き 未来の桜花賞馬と皐月賞馬が激突した2013年をプレイバック