【キーンランドC】GⅠ馬パンジャタワーが「複勝率3.0%」消しデータに該当 ハイブリッド式消去法
久保田大五郎

ⒸSPAIA
5つのデータから絞れた馬は?
今週はスプリンターズステークスの前哨戦にあたる芝1200m重賞・キーンランドカップを予想する。いつも通り過去10年のデータを用いて、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップ。当てはまった馬を消していく。
登録馬22頭のうち、現時点で除外対象のサウザンサニー、ティニア、ルージュラナキラ、レッドアヴァンティ、レッドヒルシューズ、ロートホルンを除いた16頭を対象とする。
『前走OP・L』×『前走着差0秒5以内の負け』★0.0%★
まずは前走のクラスから。キーンランドCでは3勝クラスを勝って昇級戦となる馬や、重賞を戦ってきた馬の好走率が高く、その間の「前走オープン・リステッド組」(※「重賞」時代の葵Sは含めない)は苦戦傾向にある。その成績は【2-3-2-57】で複勝率10.9%だった。
また、不思議とそこで大敗した馬より「惜敗した馬」の方が振るわず、「着差0秒5以内の負け」だと【0-0-0-31】と全滅していた。最初はこのデータを採用する。
該当馬は以下の6頭。今年は同じ札幌芝1200mのOP特別・UHB賞が1~12着までハナ、ハナ、ハナ、アタマ、アタマ、ハナ、ハナ、クビ、クビ、クビ、クビの大接戦。必然的に「惜敗した馬」も多く、バッサリ消去対象になった。
【今年の該当馬】
・クファシル
・ジョーメッドヴィン
・ゾンニッヒ
・プルパレイ
・ペアポルックス
・モリノドリーム
『牡馬・セン馬』×『前走8番人気以下』★3.0%★
続いては性別データ。このレースでは牡馬・セン馬【4-6-5-82】複勝率15.5%に対し、牝馬が【6-4-5-42】同26.3%と優勢。単勝と複勝の回収率でも牝馬が圧倒していて、「迷ったら牝馬」が鉄則と言える。
押されている牡馬・セン馬のうち、「前走8番人気以下」だった馬は【0-0-1-32】同3.0%と悲惨な数字。そもそもこの経歴で有力視された馬も多くないが、22年には3歳馬トウシンマカオが1番人気4着に敗れている。
今年はNHKマイルカップ9番人気1着から参戦するパンジャタワーがここで脱落。GⅠ勝ちの実績は立派だが、そのぶん今回は斤量が他馬より2kg加増される。また、これまでの良績は左回りに偏っていて、唯一右回りに出走した朝日杯フューチュリティステークスは12着大敗だった。逆らう価値はある。
なお、ウインカーネリアンの前走アルクオーツスプリントはJRAでの馬券発売がなかったため対象外としている。
【今年の該当馬】
・エーティーマクフィ
・(クファシル)
・パンジャタワー
・(プルパレイ)
『前走4角2番手以内』×『騎手乗り替わり』★0.0%★
3つ目は脚質に注目する。キーンランドC自体、開催後半戦に行われることもあって逃げ先行があまり有利ではないレース。それと連動して「前走時に4角2番手以内だった馬」(※アイビスサマーダッシュ組は道中の通過順)も【1-3-1-24】複勝率17.2%と、平均よりやや低調な結果だった。
このうち、騎手が乗り替わるケースは【0-0-0-14】。ワールドオールスタージョッキーズの開催と重なるため国内外の名手が参戦するレースだが、こと先行タイプに関しては勝手知ったる鞍上の継続騎乗がベターだ。
今回のメンバーで前走4角2番手以内かつ乗り替わりが想定されるのは下記の2頭。フィオライアは乗り替わりといっても慣れた坂井瑠星騎手に戻る形だが、データに従って消しとする。
【今年の該当馬】
・カルロヴェローチェ
・フィオライア
『社台ノーザンF系生産馬』×『セレクトセール取引馬』★0.0%★
4つ目は少し変わり種で「生産者」のデータを紹介する。日本競馬界を牽引する「社台ノーザンファーム系生産馬」(※社台F、ノーザンF、追分F、社台コーポレーション白老Fを指す)は芝中距離に無類の強さを誇る一方、スプリントなどのいわゆる「非主流」条件ではやや成績を落とすことが知られている。
このレースでも、同グループの生産馬は【2-1-2-30】複勝率14.3%とやや苦戦。特にセレクトセールの取引馬は【0-0-0-10】で、4番人気以内に推されたケースも6例ありながら馬券絡みはゼロだった。
新たにノーザンファーム生産馬、セレクトセール4400万円のカルプスペルシュが消去となる。条件戦をポンポンと3連勝してきたが、2ヶ月で4連戦かつ大幅な相手強化となる今回は一筋縄ではいかないだろう。
【今年の該当馬】
・カルプスペルシュ
・(カルロヴェローチェ)
・(プルパレイ)
『4歳以下』×『当日9番人気以下』★0.0%★
4つの項目を経て残り5頭まで絞り込めた。最後は当日の人気を絡めたデータを用いて仕上げとする。
採用したのは「年齢」と「単勝人気順」の掛け合わせ。4歳以下の若い馬は当日8番人気以内なら【5-6-5-19】複勝率45.7%、複勝回収率119%と信頼できる反面、同9番人気以下になってしまうと【0-0-0-22】と完全に沈黙する。よくも悪くも人気通りに扱うのが正解だ。
残る5頭のうち、4歳以下の馬は下記の3頭。エトヴプレは近況から9番人気以下(=消去)が濃厚だ。葵S3着の後、条件戦連勝のレイピアは8番人気以内が確定的。ナムラクララも消去を免れる可能性が高い。
【今年の該当候補】
・エトヴプレ
・ナムラクララ
・レイピア
5つの消去データを終えて、確実に残るのはウインカーネリアンとツインクルトーズ。レイピア、ナムラクララも高確率で残り、4頭の布陣になりそうだ。
この頭数なら買い目は馬連ボックスとしておくが、強いて本命を指名するならウインカーネリアン。以前はマイルを主戦場にしていたが、1200mに転じてからは高松宮記念4着、ハンデ59kgのシルクロードSで3着、海外GⅠ・アルクオーツスプリント2着など高いレベルで安定している。別定加増なしの57kgで出られるのも好材料だ。
《ライタープロフィール》
久保田大五郎
競馬歴14年目のアラサーおじさん。データを駆使した予想でロマン馬券を狙う。趣味は料理とプロ野球観戦。横浜DeNAベイスターズの大ファンで、好きな選手は宮﨑敏郎。
《関連記事》
・【キーンランドC】過去10年のレースデータ
・【キーンランドC】3歳マイル王パンジャタワーの取捨がカギ 侮れない「UHB賞組」フィオライア
・現役最高の札幌巧者は? 「芝の松岡正海」「砂の武豊」など騎手、種牡馬ごとに徹底検証
