【中京記念】先行馬が手薄なここで先行押し切り期待 京大競馬研の本命はエコロヴァルツ

京都大学競馬研究会

中京芝1600mOPクラス以上4角位置別成績

ⒸSPAIA

イン差しが好成績だが開催進んだタフな馬場にも注意

8月17日(日)に中京記念(GⅢ)が行われる。サマーマイルシリーズの第3戦と位置づけられており、今年もここから秋の大舞台に羽ばたこうとするマイルの実力馬12頭が集結。混戦模様の一戦となった。

以下では、本レースが行われる中京芝1600mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは中京芝1600mのコース形態をみる。1~2コーナーにある斜めの引き込み線からスタートし、初角までの距離は約220m。バックストレッチは半ばまで緩やかな上り坂で、そこから下りに転じる。3~4コーナー部分は全て下り坂でスパイラルカーブとなっている。

最後の直線は412.5m。ゴール手前340m地点から240m地点にかけて、中山競馬場の芝コースに次いで傾斜がきつい高低差2.0mの急な上り坂が設けられている。この坂を登り切った後も約240mの平坦な直線が待ち構えている。全体としてタフなコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約220mと非常に短い点だ。先手争いは長引かず、バックストレッチに入った後も緩やかな上り坂となるため、序盤のペースは上がりにくい。また、序盤のポジション争いでは内枠が有利になる。

ペースが上がり始めるのは下り坂に転じてから。そこから3~4コーナーも下り坂となるため、序盤で脚を溜めた先行勢が一気に加速していく。そのため、直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。

また、3~4コーナーはスパイラルカーブとなっていて、スピードを保ったまま最終直線に進入すると外に振られやすい。膨れた先行勢のさらに外々を回す後方勢はかなり厳しい競馬を強いられる。その直線も半ばで急坂があり、登り切った後も平坦な直線が続くタフなコース形態。全馬終盤の脚色は鈍り、上がりに差が生まれにくい。

したがって、序盤~中盤で前に位置を取り、出来るだけラチ沿いを通す器用な先行馬が恵まれやすいというのがこのコースが持つレースの質だ。

中京芝1600mのOP以上、4角位置別成績,ⒸSPAIA


<中京芝1600mOPクラス以上 4角通過順別成績>
4番手以内
【15-12-11-93】勝率11.5%、連対率20.6%、複勝率29.0%
単勝回収率117%、複勝回収率80%
※2015年以降

この傾向は数字にも表れている。中京芝1600mのOPクラス以上における4角4番手以内馬の成績は上記の通り優秀だ。また、中団インから馬群をキレイに捌いた差し脚確かな馬の好走も目立っており、近走でイン差しを経験した馬には注目したい。

ただ、注意しなければならないのはこの中京記念がAコース4週目での施行という点だ。まだまだ時計が速いとはいえ、開催が進みタフな馬場になってきている。内前に位置を取れる馬を重視しつつも、近走におけるイン差し経験と追走力を兼ね備えた差し馬や、開催が進んだタフな馬場をこなせる距離短縮馬にも注目して印を打っていく。

先行馬がかなり手薄なメンバー構成

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が2頭と出走馬全12頭に対して少ない。どちらも絶対に逃げたいタイプでもないため、ペースが上がりにくいコース形態と相まって序盤はゆったりと流れる。

この展開で恵まれるのはやはり積極的に前に位置を取り、ラチ沿いを通すことができる器用な先行馬だ。また、序盤~中盤で追走力をあまり必要としない展開のため、高い瞬発力を前目の位置から発揮できる馬にも注目して印を打ちたい。

能力で前目から押し切る競馬

◎エコロヴァルツ
前走の安田記念はハナまで取り切れるほどの好スタートを見せるも、前目にポジションを取らず中団で控える競馬。ペースもそこまで流れず、直線での瞬発力が試される展開で順当にキレ負けし、0.5秒差7着に敗れた。前目でロスなくスムーズに立ち回れる器用さと持続力という本馬の良さが全く生きない競馬で、距離短縮を生かせなかった。評価を下げる内容ではない。マイルの国内最上位の馬たちを相手に能力の高さを示した。

2走前の大阪杯は差し有利な展開が向いて0.3秒差4着、3走前の中山記念は内有利な展開を内からロスなく捌きタイム差なし2着と、展開的には素直に評価できない。しかしどちらも中距離、マイル路線の国内最上位の馬を相手に僅差の競馬ができており、今回のメンバーでは順当に能力最上位の一頭だ。

今回は先行馬がかなり手薄なメンバー構成で、前走と同様のスタートを決めれば内前の好位から運べる。先行意識が高い坂井瑠星騎手への乗り替わりも大きなプラス材料だ。序盤から積極的にポジションを取り、能力を最大限発揮すれば勝ち負け必至とみる。

◯エルトンバローズ
3枠3番の好枠。マイル実績は今回のメンバーで最上位の一頭だ。骨折休養明けだが、追い切りの内容からも状態面の不安はない。内目をロスなく立ち回りスムーズに追い出せれば順当に好走してくる。

▲マピュース
1枠1番の絶好枠。能力は今回のトップ層相手には足りないものの、上位のテンの速さを持つ。好スタートから内前をロスなく立ち回り、斤量のアドバンテージを最大限生かせれば好走できる。

△ウォーターリヒト
メンバーで最上位の瞬発力を持つ。能力も高く、近走よりも前から競馬ができる点はプラス。ただ、内前有利な展開がやや向かなそうな点を加味して相手まで。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲△3連複3点で勝負する。

▽中京記念予想▽
◎エコロヴァルツ
◯エルトンバローズ
▲マピュース
△ウォーターリヒト

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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