【中京記念】夏の活躍馬と春のGⅠ組が激突 狙いたいウォーターリヒト、エコロヴァルツら“実績馬”の逆襲
勝木淳

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ハンデ戦からグレード別定へ
中京記念は1955年からハンデ戦で行われてきた。この間、芝2000mのハンデ戦として定着し、2012年のリニューアルを機に芝1600mに変更。サマーマイルシリーズに生まれかわった。
そして、ハンデ戦になって70年目となった今年、負担重量はグレード別定へと改められた。ハンデ戦特有の波乱傾向は別定戦になったことで変化するだろうか。
それとも、波乱の目は負担重量だけが要因ではなく、夏場の体調維持や展開を読みにくい中京コースなど、ほかにも理由があるとすれば、堅く収まるとも限らない。
別定戦からハンデ戦に変わった関屋記念は1番人気、10番人気、2番人気で決着。穴を開けた2着同着オフトレイルは57.5kgを背負っており、ハンデの影響とはいえない。むしろハンデ戦で斤量を背負わされたことが人気落ちの要因ともとれる。
別定の中京記念は、実績馬が素直に人気に推されるだろう。さて、結果やいかに。データは2012年以降、中京芝1600mで行われた過去9回分を使用する。

1番人気は【1-0-3-5】勝率11.1%、複勝率44.4%とハンデ戦時代は頼りない数字。2番人気【0-2-0-7】複勝率22.2%に3番人気【1-0-2-6】勝率11.1%、複勝率33.3%と上位人気は不振であり、波乱イメージは強い。さて、この傾向に変化があるだろうか。
5番人気【3-1-1-4】勝率33.3%、複勝率55.6%から7番人気【2-0-0-7】勝率・複勝率22.2%あたりに好走ゾーンがある。単勝で少し高めの配当を狙えるレースだった。

主力とされる4歳は【1-0-4-13】勝率5.6%、複勝率27.8%とさほど目立たず、5歳【4-6-2-43】勝率7.3%、複勝率21.8%や6歳【3-1-3-31】勝率7.9%、複勝率18.4%の成績がいい。
7歳以上は【0-1-0-25】複勝率3.8%と振るわず。5歳、6歳に狙いを絞ってみるのもおもしろいだろう。
安田記念凡走は好走サイン
今年はしらさぎステークスで重賞タイトルを獲得したキープカルム、3着コレペティトールに対し、昨年マイルチャンピオンシップ2着以来のエルトンバローズ、安田記念7着エコロヴァルツら実績馬が相対する。

前走の距離傾向をみると、同距離【5-6-5-59】勝率6.7%、複勝率21.3%は当然有力だが、1600m未満の延長組が【4-2-2-35】勝率9.3%、複勝率18.6%と好成績。反対に1600m超からの短縮は【0-1-2-23】複勝率11.5%と目立たない。
中京芝1600mは中山芝1600mほどではないにしろ、やや変則的なレイアウト。スタート直後に2コーナーに進入するため、隊列が定まりにくい。それでも中山のようにペースが上がることは少なく、乱戦のイメージはさほどない。
だが、中京記念だけは別で、序盤の入りが速いケースが目立つ。そのため、短めの距離での経験が序盤の立ち回りをスムーズに運ばせる。これもハンデ戦の影響かもしれないが、サマーマイルシリーズのなかでもハイペースになりやすいレースであることは頭に入れよう。

まずは王道の前走マイル組から。着順傾向をみると、1着こそ【1-1-3-3】勝率12.5%、複勝率62.5%だが、2~5着は【1-1-1-23】とイマイチ。むしろ6~9着【1-2-0-14】勝率5.9%、複勝率17.6%や10着以下【2-2-1-19】勝率8.3%、複勝率20.8%と敗退からの巻き返しがみられる。
ここは安田記念7着エコロヴァルツ、9着ウォーターリヒトなど実績馬がデータに合致する。特に左回り得意のウォーターリヒトはGⅠの壁にはね返されはしたが、GⅢなら一変するだろう。

延長組はどうだろうか。こちらも前走1着は【2-0-1-6】勝率22.2%、複勝率33.3%と好調。マイル組と違うのは6~9着【0-1-1-11】複勝率15.4%など、敗退組の巻き返しがさほどみられない。その分、掲示板以内の好走馬にもチャンスが巡ってくる。
マイルシリーズなどのシリーズものでは別路線組が軽く扱われる傾向があるが、むしろそこに盲点が隠されている。中京記念では短縮組に伏兵が潜む。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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