【エルムS】「マリーンS3着以内」馬が近10年で7勝 昨年3着テーオードレフォンが連続好走へ
勝木淳

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北海道ダート1700mシリーズ最終戦
北海道のダート1700mオープン戦線は函館の大沼Sからスタートし、中1週のマリーンS(ハンデ戦)を経て、中2週でGⅢエルムSを迎える。大沼Sは稍重で1:43.3の高速決着。勝ったのは東京ダート1600mに実績が集まるペリエールだった。スピード重視といっていい。函館最終週のマリーンSは良馬場で1:43.8。勝ち馬ピュアキアンは東京ダート2100mや中山ダート1800mで強さを発揮する渋い先行型。ダート特有のスタミナ比べの競馬だった。
ここまで2戦は同舞台でも問われる適性が異なるが、共通しているのは東京ダートで走れるスピード。エルムSの舞台・札幌ダート1700mはコーナーが函館より緩いスピードコース。天候いかんで大沼SかマリーンSに近い設定になるだろう。馬場状態を踏まえた上げ下げが的中のカギを握る。
ここからは21年の函館開催含む、過去10年分のデータを使用して今年のエルムSを展望する。

まずは人気別成績から。1番人気は【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%と思ったほど勝てない。このうち大沼S、マリーンSの1着馬は【1-1-1-1】、それ以外の1着馬は【0-0-1-2】。また、着順問わず前走大沼S、マリーンS以外の1番人気は【0-1-1-4】となる。マリーンS、大沼Sの続きという見立てが成立するなら、堅そうだ。
2番人気【3-1-1-5】勝率30.0%、複勝率50.0%、4番人気【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と上位人気の数字は出ているものの、5~9番人気4勝と人気の盲点にも注意を払わないといけない。

年齢の傾向は4歳【3-2-0-16】勝率14.3%、複勝率23.8%、5歳【6-4-4-23】勝率16.2%、複勝率37.8%。3歳は同週にレパードSがあることや、古馬のダート重賞に賞金面で出走できる馬は限られることなどから、基本は秋に向けて休養中で、4、5歳が主軸だ。一方で6歳が【1-2-5-33】勝率2.4%、複勝率19.5%と3着の半数を占めるから油断できない。
前走重賞組は掲示板が目安
実績では24年の東海Sと日本テレビ盃1着、今年のかしわ記念2着のウィリアムバローズがリード。ただ、大沼S、マリーンS組優勢のデータを考えると、安易に飛びつけない。データをしっかり確認しよう。

前走クラス別成績では、ウィリアムバローズの前走地方は【0-0-3-21】複勝率12.5%と傾向としては振るわない。かしわ記念経由は20年アルクトス6着、21年(函館開催)ソリストサンダー10着。後者は2番人気での凡走であり、状態面も含め、簡単なローテではなさそうだ。

JRAの重賞では、前走GⅢが【2-4-3-27】勝率5.6%、複勝率25.0%。レースローテは多彩で絞り切れないため、全体の着順をみる。前走5着以内【1-3-1-10】、6着以下【1-1-2-17】なので、好走率を考えると掲示板以内が目安だ。平安S2着ロードクロンヌ、マーチS2着マテンロウスカイ、アンタレスS4着ミッキーヌチバナが候補だ。
では、前走マリーンS【7-3-3-33】勝率15.2%、複勝率28.3%、大沼S【0-1-1-5】複勝率28.6%について掘り下げよう。とはいえ、マリーンSを飛ばす大沼S経由は成績としてはさほど強調しづらい。大沼S経由は前走1着【0-0-1-2】、6~9着【0-1-0-1】。データの根拠は乏しいが、ペリエール(前走1着)は前走同様、時計が出る馬場状態なら期待できる。馬場と流れの見極めで判断したい。

マリーンSの傾向をみると、前走1着【3-1-0-5】勝率33.3%、複勝率44.4%を中心に3着以内が【7-3-1-12】。4着以下は【0-0-2-21】。重賞組と互角以上に戦うには3着以内の好走が条件になる。マリーンS2着テーオードレフォンが該当する。昨年は大沼S4着、マリーンS3着ときて、エルムSは3着だった。1700mはオープンの福島民友C1着もあり、スピードも問われる中距離戦は得意。昨年以上の成績も期待できる。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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