【CBC賞】ヤマニンアルリフラらシリーズ好走馬が中心 距離短縮組バルサムノートに“反転攻勢”データ

勝木淳

15年以降の中京芝1200mデータから見るCBC賞,ⒸSPAIA

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イメージより上位人気は堅実

サマースプリントシリーズはレースラインアップこそ変わらないものの、その順番はこれまでとまるで違う。今年は函館スプリントS、北九州記念、アイビスサマーダッシュ、CBC賞、キーンランドC、セントウルSの順で進む。

CBC賞のデータには「前走アイビスサマーダッシュ」は存在するが、 「前走北九州記念」は存在しない。データの柱になる部分が欠けている以上、コースやハンデ戦といった条件面が同じであっても、かつてのCBC賞と同列には扱えない。そこで本稿では中京芝1200m、古馬オープン・重賞(2015年~2025年3月末、計31レース)のコースデータをとりあげ、好走パターンを探っていく。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別成績では、1番人気【7-5-2-17】勝率22.6%、複勝率45.2%、2番人気【9-7-5-10】勝率29.0%、複勝率67.7%と上位2頭の数字が抜けており、中京コースの荒れるイメージはあるものの、まずまず人気通りに収まってくる。

反面、3番人気【4-4-5-18】勝率12.9%、複勝率41.9%以下は数字が落ち着いていき、5番人気以下はほぼ横一線。10番人気以下【1-4-6-232】勝率0.4%、複勝率4.5%など2、3着には大穴が突っ込んでくることもある。堅実に上位人気に本命を打ったとしても、連下は幅広くいきたい。

脚質別成績,ⒸSPAIA


位置取りに優位なゾーンはあるだろうか。逃げは【2-0-8-21】勝率6.5%、複勝率32.3%と3着に残れる可能性は考えられるが、逃げ切りは簡単ではない。やはり先行が【12-11-9-77】勝率11.0%、複勝率29.4%と好成績。数字も1着から3着にかけてきれいに下がっており、先行タイプの信頼度は高い。

中京芝1200mはスタートから3コーナーまでが短く、ハイペースを呼びにくい。一方で、3コーナーから4コーナーにかけて下りが入るので、早めにペースが上がりやすい。ここで置かれると最後の急坂で挽回するのは容易ではない。

差しが【14-18-12-187】勝率6.1%、複勝率19.0%とそこそこ数字を伸ばすのは、仕掛けが少し早くなりやすいことも要因だろう。好位に控えながら、直線まで脚を残せるかどうか。仕掛けのタイミングが難しいコースといえる。

バルサムノートに反転攻勢のチャンス

今年は北九州記念1着ヤマニンアルリフラ、函館スプリントS2着ジューンブレアなどシリーズ優勝を狙える面々が出走。サマースプリントシリーズのなかでもハイレベルな一戦になりそうだ。

前走距離別成績,ⒸSPAIA


では出走馬のなかでデータ上、優位な馬はどの馬か。前走距離別成績では、同距離【20-15-21-276】勝率6.0%、複勝率16.9%は距離変化がなく、当然、数字も出る。特徴は1200m超の距離短縮組【11-16-8-141】勝率6.3%、複勝率19.9%だろう。

中京芝1200mは前半600mがスプリント戦にしては忙しくないため、少し長い距離を経由した馬でも流れに乗りやすい。序盤で速い流れのなか、無理をすると、馬も終いまで脚を残せない。スプリント戦経由の馬たちと互角の数字を残せるのはコース形態も関係している。

前走1200m・着順別成績,ⒸSPAIA


まずは同距離組の傾向から。前走着順を調べると、前走2着【5-2-3-22】勝率15.6%、複勝率31.3%を中心に前走5着【4-1-3-15】勝率17.4%、複勝率34.8%までの掲示板以内がひとつ目安になる。

6~9着【2-5-3-70】勝率2.5%、複勝率12.5%も悪くないが、確率的には手を出しにくい。前走1200mで掲示板以内となると、ヤマニンアルリフラ、ジューンブレアなど上位人気候補が合致する。

前走1200m超・着順別成績,ⒸSPAIA


対して距離短縮組は前走1着こそ【4-6-1-16】勝率14.8%、複勝率40.7%だが、2~5着【1-4-3-38】と掲示板以内は目安にならない。反面、6~9着【4-2-1-33】勝率10.0%、複勝率17.5%、10着以下【2-4-3-54】勝率3.2%、複勝率14.3%と敗退からの巻き返しもみられる。ちょっと長めの距離で冴えなかったが、距離を縮めて反転する。いわゆる短縮の王道のような狙い方でいい。

パラダイスS8着のバルサムノートは中京開催の淀短距離Sで2着とコース実績もある。高松宮記念は相手が悪かったが、GⅢならチャンスだ。母エピセアロームはセントウルS(2012年)、小倉2歳S(2011年)とスプリント重賞で2勝をあげた。2014年のCBC賞では2着。母のリベンジの場でもある。

15年以降の中京芝1200mデータから見るCBC賞,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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