【宝塚記念】成長重ね充実期、阪神内回りはベスト条件 京大競馬研の本命はベラジオオペラ

京都大学競馬研究会

阪神芝2200mOPクラス以上×4角5番手以内馬の成績(過去10年、連続開催除く1~4日目)

ⒸSPAIA

例年と異なる条件に注意

6月15日(日)に宝塚記念(GⅠ)が行われる。昨年は阪神競馬場の改修工事のため京都での開催となったが、今年は阪神に帰ってきた。有馬記念勝ち馬レガレイラをはじめ、日本の中距離路線を代表する多くの実力馬が集結した。

以下では、本レースが行われる阪神芝2200mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは阪神芝2200mのコース形態をみる。正面スタンド前右端からスタートし初角までの距離は約520m。内回りコースを使用して1周回り、勾配1.8mの急坂が設けられた356.5mの最終直線(Aコース使用時)を駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約520mと非常に長い点だ。大阪杯などが施行される阪神芝2000mから200m分そのまま初角までの距離が長くなっている。先手争いは長引きやすく、スタートしてから200mほどで急坂があるもののペースはあまり落ちない。したがって序盤のペースが流れやすいのが特徴だ。

1、2コーナーから向正面で一旦ペースは緩み、3コーナー過ぎから再度ペースアップする。ここから直線の急坂を登りきるまで激しいロングスパート戦になりやすい。コーナーで外からの押し上げが利きにくい内回り、かつ直線も比較的短く急坂があることから、最後の末脚だけで後方勢が逆転するのは難しい。一方で、序盤の先手争いに加えて2回も急坂を上る非常にタフなコースのため、高い地力がなければ先行して残すこともこれまた難しい。

そのため脚質以上に、高い追走負荷の中でも長くタフな末脚を使えることが重要である。これがこのコースが持つレースの質だ。高い瞬発力や一瞬のキレ味より、持続力やスタミナ、パワーが高い水準で要求される。

また、今年は例年と条件が異なり、開催2週目のAコースで施行されることに注意したい。例年は開催4週目のBコースという内側がかなり荒れた馬場で施行されている。外伸び馬場をイクイノックスが大外一気で勝利した2年前や、競馬場は違えど超外伸び馬場で直線外ラチ沿いを走った馬が上位を独占した昨年が記憶に新しい。開催終盤の外伸び馬場が近年の宝塚記念を印象づけている。

今年は打って変わって、内側が比較的キレイな馬場で行われる。内前をロスなく立ち回れる先行馬は例年以上にチャンスがある。例年の外差しの印象もオッズに反映されそうで、妙味の観点からも内ラチ沿いを追走できる馬や好位~中団前目で運べる馬の評価を上げたい。

阪神芝2200mOP以上の4角5番手以内馬、日別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2200mOPクラス以上 4角5番手以内馬の成績>
開催1~4日目
 【11-10-7-44】
 勝率15.3%、連対率29.2%、複勝率38.9%
 単勝回収率152%、複勝回収率90%
開催5~8日目
 【5-4-3-41】
 勝率9.4%、連対率17.0%、複勝率22.6%
 単勝回収率80%、複勝回収率48%
 ※過去10年。連続開催を除く

この傾向の違いは数字にもよく表れている。阪神芝2200mのOPクラス以上における4角5番手以内馬の成績を開催日別に見ると、上記の通り開催1~4日目では優秀な一方、5~8日目になると格段に数字は落ちる。各馬のテンの速さを適切に比較し、枠の並びから内をロスなく追走できる馬を見極めて印を打っていく。

メイショウタバルの単騎逃げで2番手以下はそこまで流れない展開

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が8頭(※前走海外含む)と出走馬全18頭に対して多い。ただその多くが距離短縮で徹底先行馬は多くない。メイショウタバルのテンの速さが一頭抜けている点も考慮すれば、同馬の単騎逃げで2番手以下はそこまで流れない展開が考えられる。

この展開で最も恵まれるのはやはり内ラチ沿いを追走できる馬や、先手をとって好位か中団の前目につけられる馬だ。宝塚記念が中距離路線で最高峰の一戦ということもあり、メンバー間で大きく地力の差があるため、地力次第で差し馬にもチャンスはある。ただ、能力が抜けていても大外最後方からの差し切り勝ちはさすがに厳しいと予想される。

基本的には内前をロスなく立ち回れる地力の高い先行馬を高く評価し、差し馬は中団から立ち回れるような追走力を重視して印を打っていく。

歳を重ねるごとに成長し今が充実期

◎ベラジオオペラ
安定した先行力で常に好位から堅実に末脚を使える一頭。前走の大阪杯は内有利な馬場だったとはいえ、1000m通過57.5秒、離れた番手集団でも同58秒台の超ハイペースを先行。2、3、4着に4角8番手以下の馬が来る差し展開の中、4角3番手から残し切り、2着に0.2秒差の快勝で大阪杯連覇を決めた。

ロードカナロア産駒らしく晩成傾向であり、歳とレースを重ねるごとに成長を遂げている。阪神内回りコースはこの馬のベストとも言える条件で、想定される重い馬場も全く苦にしない。例年と異なる開幕2週目の内有利な馬場で最内枠から先行し、内ラチ沿い好位をロスなく追走、スムーズに追い出すことができれば勝ち負け必至とみて本命を打つ。

◯ロードデルレイ
前走の大阪杯は差し有利な展開が向いたとはいえ、内有利な馬場で3頭分外を回して上がり3位の脚を使い0.2秒差2着。最後は勝ち馬を差し切る勢いを見せており、1コーナーで寄られる不利があったことも含めて着順、着差以上に評価できる内容だった。

中団から常にメンバー上位の上がりを使える優等生タイプで、近2走の内容、相手関係を見ても今回のメンバーでは能力上位の一頭だ。距離延長もプラス材料であり、川田将雅騎手への鞍上戻りで能力を最大限発揮できれば好走してくる。

▲メイショウタバル
今回の逃げ馬。近走は着順、着差以上には評価できない内容と、度外視可能な敗戦が続いている。ただ、本馬の持ち味といえる持続力が発揮されやすい重い馬場での逃げは印象的だ。

今回はその持続力が生きやすい阪神内回り。内有利の馬場、想定される重い馬場で折り合いをつけてマイペースで逃げることができれば十分に残し得るとみる。想定オッズ段階ではここに賭けてみたいほどのオッズ妙味が見込まれる。

△レガレイラ
日本の中距離路線では最上位の能力を持つ一頭。骨折があり休養明けの一戦となるが、状態面も悪くない。スタートがやや遅い点で大外枠はやや割引評価。

×ショウナンラプンタ
ロードデルレイ、レガレイラの後方を追走する形でスムーズに持ち前の末脚を生かせれば。

×ソールオリエンス
想定される重い馬場は明らかにプラス材料。高いオッズ妙味が見込まれる。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。

▽宝塚記念予想▽
◎ベラジオオペラ
◯ロードデルレイ
▲メイショウタバル
△レガレイラ
×ショウナンラプンタ
×ソールオリエンス

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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