【宝塚記念】「天皇賞(春)で4着以下に負けた馬」が複回収率132%! データで導く穴馬候補3頭

鈴木ユウヤ

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データで見る「穴候補3頭」

今週の日曜メインは宝塚記念。上半期GⅠシーズンの大トリを務めるグランプリレースだ。昨年まで安田記念から中2週のインターバルが設けられていたが、2025年はこの週に変更となる。梅雨による馬場悪化や酷暑を避ける狙いがあるのだろう。

その施策の甲斐あってか、今年はグランプリに恥じない豪華メンバーが集結した。そのぶん伏兵陣にもGⅠで十分チャンスがありそうな実力派が揃っている。様々な切り口のデータを駆使して、3頭の穴候補を導き出した。

宝塚記念と直結する「京都記念」の優勝馬 ヨーホーレイク

まず1頭目はヨーホーレイク。屈腱炎による2年以上の長期離脱を乗り越え、7歳を迎えた今年は京都記念1着、大阪杯3着と結果を出してここに参戦する。

宝塚記念 同年京都記念での着順別成績,ⒸSPAIA


宝塚記念を占う上でキーとなるレースはいくつかあるが、まずはGⅡ・京都記念に着目しよう。過去10年で「同年京都記念の連対馬」は【3-0-1-4】複勝率50.0%、複回収率185%と高確率で好走している。 どちらも関西圏の芝2200m戦ということに加え、京都記念は年初から続く連続開催終盤の荒れ馬場により、宝塚記念は梅雨時の馬場と内回りのコース形態により、理由は少し違うが両者とも上がりの遅い消耗戦になりやすい。この2レースは質的に類似しているのだ。

今年は京都記念1、2着のヨーホーレイクとリビアングラスが出走してくる。中でも「京都記念を5番人気以内で勝った馬」【3-0-0-1】というデータからヨーホーレイクを強調したい。新潟外回りや東京など上がり33秒台の瞬発力が問われる競馬では見劣るタイプで、内回り系の持続力勝負が得意。国内GⅠで最も条件がマッチするのは宝塚記念だろう。京都記念を稍重で優勝したほか、2歳時に重馬場での勝ち鞍もあり、週末ちらほら出ている雨予報も歓迎だ。

天皇賞(春)組は「中~上位人気で大敗した馬」を狙え ジャスティンパレス

続いてはジャスティンパレスを選ぶ。昨年は秋古馬三冠に皆勤し、いずれも展開が向かない中で4着、5着、5着と地力は示しての敗戦。前走は天皇賞(春)に出走し、マクリを敢行するも3番人気6着に終わった。

宝塚記念 同年天皇賞(春)での着順別成績,ⒸSPAIA


先ほどとは反対の意味で、天皇賞(春)も宝塚記念を予想する上でキーになる。というのも、過去10年で「同年の天皇賞(春)3着以内馬」が【2-0-2-11】複勝率26.7%、複回収率49%と低調なのに対し、同4着以下馬は【2-3-1-22】複勝率21.4%、複回収率132%。好走率は同程度で前者がやや優勢、回収率は着順が悪かったグループの方が断然上だ。また、後者のうち天皇賞(春)で10番人気以下だった馬を除くと【2-3-1-13】で複回収率は194%までアップする。

距離が1000mも違う天皇賞(春)の着順は、宝塚記念での好走率にほぼ影響しない。であれば、大きく負けて人気を落とした馬こそ馬券的には狙い目となる。

今年の該当馬はジャスティンパレスとシュヴァリエローズの2頭だが、推したいのはやはりジャスティンパレスの方。前走はレースラップ自体が残り1400mから11.8-12.2-12.1-11.8……とかなり締まっていたにもかかわらず、2周目向正面で一気に仕掛ける騎乗。鞍上にも意図はあったのだろうが、さすがに無茶だったと言わざるを得ない。

最近は中距離戦だと位置がとれず、後半もジリジリとしか伸びないが、それでもトップクラスのGⅠで0.5秒差以内圏内にいる。展開の助けさえあればいつ馬券に絡んできてもおかしくない。

鞍上に複回収率300%超の「グランプリ男」 ローシャムパーク

ラストはローシャムパークを取り上げる。これまでは主にルメール騎手と戸崎騎手を起用してきたが、今回は池添謙一騎手との初コンビが予定されている。

池添謙一騎手の宝塚記念成績,ⒸSPAIA


池添騎手は宝塚記念で通算【3-2-2-10】複勝率41.2%、複回収率311%を誇る「グランプリ男」。ドリームジャーニーやオルフェーヴルといった人気馬での勝利もあるが、単勝オッズ30倍以上の伏兵に限っても【1-2-2-4】複勝率55.6%、複回収率551%と上位に食い込んでいる。このレースでは常に警戒が必要なジョッキーだ。

ローシャムパーク自身、昨年の大阪杯でベラジオオペラとタイム差なしの2着、BCターフでシャフリヤールに先着しての2着があり、能力的にはここでもヒケをとらない。折り合いを欠いた有馬記念、オーストラリア遠征だった前走の敗戦だけで人気を落とすなら、印を回しておくべきだろう。

《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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