川田将雅騎手が14勝&複勝率50%記録、キズナ産駒は単複回収率100%超 阪神芝2200mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

阪神芝2200mコースデータ,ⒸSPAIA

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宝塚記念の舞台

15日、春のGⅠシリーズを締めくくる宝塚記念が阪神芝2200mを舞台に行われる。レースレコードで大阪杯を連覇したベラジオオペラ、日経新春杯を3馬身差で圧勝し大阪杯でも2着に入ったロードデルレイ、直近2戦の雪辱を誓う昨年の菊花賞馬アーバンシック、復帰戦を迎える有馬記念勝ち馬レガレイラなど、今年も楽しみなメンバーが揃った。

まずはコースの紹介から。阪神芝2200mは正面のポケット地点からスタート。直線に入るといきなり高低差2m近い急坂を通過して1コーナーへ。3コーナーにかかるまでの長い平坦な道のりを進むと、最後の直線(359.1m)半ばまではだらだらと下りが続き、ゴールまで200mの地点で2度目の急坂を駆け上がる。

当該コースの重賞はGⅠ・宝塚記念のみ。今回はこの阪神芝2200mについて徹底分析する。なお、使用するデータは2015年6月14日~2025年6月7日とする。


基本的には内有利

阪神芝2200m・枠番別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2200m・枠番別成績>
・1枠【7-13-13-86】
勝率5.9%/連対率16.8%/複勝率27.7%/単回収率30%/複回収率85%

・2枠【14-15-7-87】
勝率11.4%/連対率23.6%/複勝率29.3%/単回収率109%/複回収率80%

・3枠【13-13-10-93】
勝率10.1%/連対率20.2%/複勝率27.9%/単回収率53%/複回収率74%

・4枠【11-9-7-110】
勝率8.0%/連対率14.6%/複勝率19.7%/単回収率32%/複回収率43%

・5枠【13-13-10-113】
勝率8.7%/連対率17.4%/複勝率24.2%/単回収率97%/複回収率55%

・6枠【10-10-15-124】
勝率6.3%/連対率12.6%/複勝率22.0%/単回収率104%/複回収率77%

・7枠【12-16-18-137】
勝率6.6%/連対率15.3%/複勝率25.1%/単回収率77%/複回収率116%

・8枠【16-8-15-149】
勝率8.5%/連対率12.8%/複勝率20.7%/単回収率94%/複回収率67%
※集計期間:2015年6月14日~2025年6月7日

まずは枠順別成績について。1〜4枠の複勝率が26.0%なのに対し、5〜8枠の複勝率は23.0%となっており、コーナーがタイトな内回りコースらしく内枠がやや優勢だ。特に2枠は【14-15-7-87】で複勝率は29.3%と3割近い値を記録。単勝回収率も109%とプラス域をマークしている。

過去10年の宝塚記念(京都開催を除く9回)でデータを見ると、1〜4枠が勝率5.0%、複勝率21.7%で単回収率31%、複回収率97%なのに対し、5〜8枠が勝率7.8%、複勝率18.2%で単回収率77%、複回収率67%を記録。勝ち馬は外から、2着や3着に食い込む穴馬は内から、といったイメージだ。

ちなみに、8枠は【5-0-1-16】勝率22.7%、単回収率262%と圧倒的な成績である。ただし、今年の宝塚記念はスケジュールの変更により開幕2週目の開催に。例年よりもインが使える可能性があるため、外枠有利を鵜呑みにしないようにしたい。


逃げ馬は単回収率200%超

阪神芝2200m・脚質別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2200m・脚質別成績>
・逃げ【12-16-5-64】
勝率12.4%/連対率28.9%/複勝率34.0%/単回収率290%/複回収率140%

・先行【46-36-36-215】
勝率13.8%/連対率24.6%/複勝率35.4%/単回収率92%/複回収率95%

・差し【28-29-35-306】
勝率7.0%/連対率14.3%/複勝率23.1%/単回収率62%/複回収率78%

・追込【6-14-16-301】
勝率1.8%/連対率5.9%/複勝率10.7%/単回収率14%/複回収率33%

・マクリ【4-2-3-12】
勝率19.0%/連対率28.6%/複勝率42.9%/単回収率123%/複回収率116%
※集計期間:2015年6月14日~2025年6月7日

次に脚質別成績について。こちらも内回りコースらしく、逃げ先行馬が有利。特に逃げ馬は単回収率200%オーバーと妙味たっぷりだ。マクリも決まりやすく、こちらも単複回収率が100%オーバーである。

また、前走で見ても4角3番手以内だった馬は単回収率101%とベタ買いでプラス。迷ったらとにかく前の馬を狙うのが吉だ。

一方、過去10年の宝塚記念では逃げ【0-2-1-6】複勝率33.3%、先行【6-0-2-25】複勝率24.2%に対して差し【3-3-5-40】複勝率21.6%、追込も【0-3-1-37】複勝率9.8%と、差しもまずまずやれる。

妙味の面でも先行が単回収率129%、複回収率57%とアタマで狙うべきなのは前だが、差しは単回収率69%も複回収率は117%で、後方から飛んで来る人気薄に要警戒だ。


ベタ買いOKのキズナ産駒

阪神芝2200m・種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2200m・種牡馬別成績>
・キズナ【7-5-3-31】
勝率15.2%/連対率26.1%/複勝率32.6%/単回収率221%/複回収率101%

・ハービンジャー【4-5-6-45】
勝率6.7%/連対率15.0%/複勝率25.0%/単回収率97%/複回収率95%

・ドゥラメンテ【4-2-3-11】
勝率20.0%/連対率30.0%/複勝率45.0%/単回収率113%/複回収率92%
※集計期間:2015年6月14日~2025年6月7日

■キズナ
このコースで7勝を挙げ、単回収率221%に複回収率101%と単複ともにプラス域をマーク。見かけたらベタ買いでOKだ。同コースで開催された2011年エリザベス女王杯でも、アカイイトが10番人気で優勝している。

なかでも狙い目は末脚自慢で、前走上がり3ハロン3位以内の馬は【5-2-0-7】で複勝率50.0%、複回収率192%と素晴らしい成績だ。

■ハービンジャー
最近ではすっかり京都巧者のイメージがついているハービンジャー産駒だが、このコースでも複勝率25.0%で単回収率97%、複回収率95%と優秀な成績を残している。

こちらは良馬場だと【3-3-6-32】単回収率129%で複回収率102%とプラス域へジャンプアップ。GⅠでは【0-0-0-5】と馬券に絡むことができていないが、1勝Cと2勝C合算の成績は【3-3-3-14】単回収率228%、複回収率136%と大活躍中。下級条件で積極的に狙っていきたい。

■ドゥラメンテ
こちらも複勝率45.0%に単回収率113%、複回収率92%と素晴らしい成績。2022年の宝塚記念ではタイトルホルダーが2分9秒7のレコードを打ち立てた。

特徴としては前走からの距離短縮がハマりやすく、該当馬は【2-1-2-1】でほぼパーフェクト。単回収率243%に複回収率143%と妙味も十分だ。

最後に、今週末の宝塚記念の出走予定馬について見ていこう。

<キズナ産駒>
ジューンテイク
ショウナンラプンタ
リビアングラス

<ハービンジャー産駒>
ローシャムパーク

<ドゥラメンテ産駒>
ドゥレッツァ

大阪杯好走組のベラジオオペラ、ロードデルレイの父であるロードカナロアは【1-1-0-12】で複回収率15%と低調な成績。2020年の宝塚記念ではサートゥルナーリアが1番人気で4着に敗れた。

このほか、プラダリアやヨーホーレイクの父ディープインパクトは【15-12-12-103】勝率10.6%、複勝率27.5%で複回収率70%となっている。また、アーバンシックやレガレイラの父であるスワーヴリチャード産駒は出走例がなかった。


川田将雅騎手が断トツの14勝

阪神芝2200m・騎手別成績,ⒸSPAIA


<阪神芝2200m・騎手別成績>
・川田将雅【14-5-5-24】
勝率29.2%/連対率39.6%/複勝率50.0%/単回収率122%/複回収率78%

・武豊【9-7-5-26】
勝率19.1%/連対率34.0%/複勝率44.7%/単回収率98%/複回収率93%

・幸英明【6-3-3-40】
勝率11.5%/連対率17.3%/複勝率23.1%/単回収率449%/複回収率184%
※集計期間:2015年6月14日~2025年6月7日

■川田将雅騎手
勝利数「14」は2位の武豊騎手に5勝差をつけて独走中。複勝率50.0%という驚異的な数値を誇り、宝塚記念も2015年に6番人気ラブリーデイとのコンビで制している。

全14勝中11勝は逃げ先行馬で挙げたものとなっており、このコースで逃げ先行策をとった時は【11-4-2-10】勝率40.7%、単回収率198%とさらに数字がアップする。好位置が取れる馬に騎乗した際の信頼度は非常に高い。

■武豊騎手
こちらも単回収率98%、複回収率93%と優秀な成績。こちらも逃げ先行で【5-3-4-9】複勝率57.1%、複回収率104%とプラス域を叩き出している。

一方、差しでは【4-2-0-10】で勝率25.0%、複勝率37.5%だが、こちらは単回収率の方が181%とプラス域にある。どんな脚質でも信頼度が高く、レジェンドの万能さが光る。

■幸英明
このコースで単回収率449%、複回収率184%と妙味たっぷり。2021年のエリザベス女王杯を10番人気アカイイトで制したのが大きなインパクトを残している。

その一撃に限らず、10番人気以下【3-0-1-14】複勝率22.2%、複回収率412%と2ケタ人気で4回も馬券に絡んでおり、決して軽視してはならない。

ちなみに、3番人気以内でも【3-1-0-1】で複勝率80.0%、複回収率124%の好成績。人気馬でも人気薄でも狙える騎手だ。

今週末の宝塚記念も上述した3名は全員騎乗予定あり。川田将雅騎手はロードデルレイ、武豊騎手はメイショウタバル、幸英明騎手はショウナンラプンタとのコンビで大一番に挑む。

この他、ベラジオオペラに騎乗予定の横山和生騎手は【2-0-0-4】で単回収率158%に複回収率65%をマーク。レガレイラに騎乗予定の戸崎圭太騎手は【1-1-1-10】で複回収率30%と妙味が薄く、アーバンシックに騎乗予定のC.ルメール騎手も【5-2-1-22】で複回収率32%に留まっている。


阪神芝2200mコースデータ詳細,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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