【宝塚記念】勝利の女神は「3月生まれのGⅠ馬」に微笑む 勝ち馬に共通する“4つの絶対条件”を完全クリアしたのは?
SPAIA編集部

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
過去10回(阪神開催)の勝ち馬を徹底検証
今週は春のグランプリ宝塚記念が開催される。今年はファン投票1位で大阪杯連覇のベラジオオペラ、2位で昨年暮れのグランプリ有馬記念を制したレガレイラ、3位で昨年の菊花賞馬アーバンシックが出走予定だ。
GⅠ馬6頭が揃うも絶対的な主役は不在。そこで今回は宝塚記念勝ち馬を導き出すため、過去10回(阪神開催)の勝ち馬10頭を徹底的に洗い出し、4つの共通点を発見した。これを“勝ち馬の絶対条件”として、全てを満たす一頭を探していく。
条件① 若さが最大の武器
絶対条件1つめは年齢だ。過去10回(阪神開催)で勝ち馬を輩出した年齢は、4歳(3勝)と5歳(7勝)のみ。4、5歳の成績は【10-5-10-67】で馬券圏内30頭中25頭を占めている。
4、5歳以外の成績は【0-5-0-52】複勝率8.8%でかなり厳しい成績。宝塚記念で4、5歳以外の勝ち馬は2011年の6歳馬アーネストリー(ノースヒルズマネジメント産)まで遡る。
近年活躍が目立つノーザンFと社台Fを含む社台グループ生産馬は、デビューも早くクラシックを最大目標とした馬作りをしている印象がある。そのため成績のピークが以前よりも早まっている可能性が高い。
実際に1986年以降、社台グループ生産馬で6歳以上の勝ち馬は一頭も出ていない。今年の登録馬18頭中13頭が社台グループ生産馬。多くの有力馬が含まれることを考えると、4、5歳が優勢だ。
今回の登録馬で4、5歳以外の年齢に該当するのは8頭。GⅠ馬ジャスティンパレス、前走大阪杯3着ヨーホーレイクは脱落となる。
【該当馬】
アーバンシック(4歳)
ジューンテイク(4歳)
ショウナンラプンタ(4歳)
ソールオリエンス(5歳)
ドゥレッツァ(5歳)
ベラジオオペラ(5歳)
メイショウタバル(4歳)
リビアングラス(5歳)
レガレイラ(4歳)
ロードデルレイ(5歳)
条件② 前走大敗は論外
絶対条件2つめとして取り上げるのは前走着順。過去10回(阪神開催)は「前走7着以内」からしか勝ち馬が出ていない。
春のグランプリで海外帰りの一線級も含め、多くの有力馬が出走してくる。勝ち馬10頭中8頭の前走はGⅠ(海外含む)でそのほとんどが3着以内に好走していた。
前走7着に負けていたのは2014年のゴールドシップ。その前走は天皇賞(春)で、出遅れが負けの大きな原因だった。しかも同馬はこの時点ですでにGⅠ・4勝。前年の宝塚記念の勝ち馬で超一流馬。こういった馬でなければ前走から巻き返すのは難しいと言える。
条件2つめもクリアしたのは8頭。ジューンテイク(前走エプソムC16着)、ソールオリエンス(前走大阪杯10着)の2頭は脱落となった。
【該当馬】
アーバンシック(前走日経賞3着)
ショウナンラプンタ(前走天皇賞春3着)
ドゥレッツァ(前走ドバイシーマクラシック3着)
ベラジオオペラ(前走大阪杯1着)
メイショウタバル(前走ドバイターフ5着)
リビアングラス(前走日経賞4着)
レガレイラ(前走有馬記念1着)
ロードデルレイ(前走大阪杯2着)
条件③ 強敵との戦いは勝利への糧
絶対条件3つめは「重賞勝ち馬でGⅠ(2200m以上)7着以内の経験」があること。先程も述べたが春のグランプリで一線級が揃うレース。すでに重賞を勝っているような実力馬でなければ勝ち切ることは難しい。
1986年以降の勝ち馬で重賞未勝利の勝ち馬は1986年パーシャンボーイのみ。39年前ということを考えれば、例外といえる。
また2200m以上のGⅠに出走した経験も必要だ。過去10回(阪神開催)の勝ち馬で、GⅠ未勝利だったのは2015年ラブリーデイと2018年ミッキーロケットの2頭だけ。
しかしラブリーデイは日本ダービー7着の経験があり、ミッキーロケットは天皇賞(春)4着の実績があった。このことからも2200m以上のGⅠ出走歴は重要だ。
絶対条件2つをクリアした8頭の中で、3つめをクリア出来ていないのは、ショウナンラプンタ、メイショウタバル、リビアングラス、ロードデルレイの4頭。ショウナンラプンタは天皇賞(春)3着の実績馬も重賞は未勝利。人気を集めそうなロードデルレイも2200m以上のGⅠには未出走。いきなりのGⅠ制覇は難しいとみる。
【該当馬】
アーバンシック(菊花賞勝ちなど重賞2勝)
ドゥレッツァ(菊花賞勝ち)
ベラジオオペラ(大阪杯勝ちなど重賞4勝)
レガレイラ(有馬記念勝ちなど重賞2勝)
条件④ 勝利の女神は3月生まれに微笑む
絶対条件4つめは生まれ月。過去10回(阪神開催)は1月生まれ(2勝)、2月生まれ(2勝)、3月生まれ(6勝)の1~3月生まれからしか勝ち馬が出ていない。それではまず残った4頭の生まれ月を確認する。
アーバンシック(3月16日)
ドゥレッツァ(4月24日)
ベラジオオペラ(4月7日)
レガレイラ(4月12日)
4頭の中で一番勝ち馬を出している3月生まれにアーバンシックが該当。他の3頭は勝ち馬が出ていない4月生まれに該当した。
そもそも宝塚記念の4月生まれの勝ち馬は2010年ナカヤマフェスタまで遡らなければならない。また2011年以降の4月生まれの出走馬を見ると、昨年ベラジオオペラ3着、2022年デアリングタクト3着、2013年フェノーメノ4着などGⅠ馬で人気を背負っていた馬も多い。
また1986年以降でみると、4月生まれは全生まれ月最多の155頭が出走。しかし勝率は最低の4.5%となっている。ちなみに最高勝率は3月の10.7%だ。
宝塚記念においてなぜ4月生まれが不振なのか、明確な根拠を示すことは難しい。ただデータは事実として受け止める必要がある。
アーバンシックは過去10回(阪神開催)で一番勝率の高い3月生まれ。勝ち馬は勝利の女神のハートを射止めた “アーバンシック” に決まりだ。
《ライタープロフィール》
編集部ヤマ
YouTubeチャンネルのSPAIA競馬chにメインで出演中。決してYouTuberではなく、れっきとした会社員です。5週連続で行ったGⅠライブ配信予想は見事に最後のダービーを的中。6月は運が向いてきました。
私の思い出に残る宝塚記念はクロノジェネシスが勝った2020年。同馬の3連単1着固定を的中させ、特大馬券をゲットした個人的には相性の良いレース。今年も乞うご期待!
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