【安田記念】能力最上位にして充実期、ソウルラッシュが本命 対抗は“末脚強烈”ウォーターリヒト

京都大学競馬研究会

安田記念 上がり3F5位以内馬の成績(過去10年)

ⒸSPAIA

春の最強マイラー決定戦は差し脚確かな馬を中心に

8日に安田記念(GⅠ)が行われる。ドバイターフで香港最強馬ロマンチックウォリアーを破ったソウルラッシュをはじめ、春の最強マイラー決定戦にふさわしい、多くの実力馬が集結した。

以下では、本レースが行われる東京芝1600mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは東京芝1600mのコース形態をみる。向正面の(スタンドから見て)右奥からスタートし、初角までの距離は約540m。3コーナーにかけてはおおむね下り坂、最終直線には高低差2.1mのなだらかな上り坂があり、長さは525.9m。これが今回のコースレイアウトだ。

注目すべきは初角までの距離が約540mと長い点だ。これは東京芝コースの中で最も長い。スタートしてから序盤の隊列は定まりづらく、先手争いが長引きやすい。序盤のペースは流れ、コーナーにかけて中盤でペースが緩む。

先行勢が再び加速するまでの区間では後方勢が下り坂の惰性で進出できるため、直線に入るまでに先行勢とのポジション差を縮めやすい。したがって、序盤~中盤は脚を温存しながら追走し、最後に速い上がりを使うことができる差し脚確かな馬が有利となっている。

安田記念の上がり5位以内馬成績,ⒸSPAIA


<安田記念 上がり3F順位別成績>
5位以内【8-5-8-35】
勝率14.3%、連対率23.2%、複勝率37.5%、単勝回収率284%、複勝回収率101%
※過去10年

この傾向は数字にも表れている。安田記念における上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。馬券内30頭中21頭を上がり上位馬が占めており、速い上がりを使うことができない先行馬の残り目はやや少ない。マイル最高峰の舞台で、メンバーレベルが高い中でも上位の上がりを使えることが好走の条件だ。脚質を問わず、高い瞬発力を持つかを吟味する必要がある。

明確な逃げ馬不在のメンバー構成

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬(※前走海外除く)が1頭。距離延長馬も少なく、直近で逃げる競馬をしたのはウインマーベル(1351ターフスプリント)だけ。序盤のペースが上がりやすいコース形態とはいえ、激しい先手争いは考えづらく、比較的スローペースになるとみる。

この展開でも恵まれるのは速い上がりを使うことができる差し脚確かな馬だ。スローペースからの瞬発力戦で、タフな末脚より一瞬のキレ味が重要になる。

また、今回想定される展開では直線を向く時点で前目の馬の脚も溜まっているため、全体としてペースが上がり始める時のポジションが大事になる。最後方大外から一気に差し切る競馬は難しく、序盤からある程度前目に位置取れる先行力や、コーナーで位置を上げられる機動力も重視して印を打っていきたい。

さらなる本格化の兆し

◎ソウルラッシュ
前走のドバイターフは好スタートから中団につけ終始ロマンチックウォリアーの後ろでの競馬。外目からスムーズな追い出しで能力を最大限発揮し、香港最強馬を差し切った。

2走前の中山記念は超高速かつ内有利な馬場で1、2着馬は終始、内ラチ沿いを通す競馬。対して、本馬はそれより外目を回されながら上がり3F3位の脚を使い0.2秒差3着だった。 直線で前が壁になりやや追い出しを待たされたこと、キャリア最重量タイの斤量を背負っていたこと、海外遠征前の叩きであったこと、加速に時間がかかるタイプでコーナー4つかつ小回りはベストでなかったことを考えれば、全く評価を下げる内容ではなかった。

昨秋のマイルCS1着、香港マイル2着の実績を考えても、現在の国内マイル路線ではポテンシャルが一枚以上抜けている。今年で7歳だが今が充実期であり、追い切りの内容からも遠征帰りとは思えない完成された状態だ。さらなる本格化の兆しが伺える。

想定オッズの段階では乗り替わりが過度に疑われている印象で、このままなら十分にオッズ妙味が見込まれる。スタートを決めて好位~中団で追走し、外目の枠からスムーズな追い出しで持ち前の末脚を生かせれば順当に勝ち負け必至とみて本命を打つ。

◯ウォーターリヒト
前走の東京新聞杯はGⅢとしてはハイレベルなメンバーの中、内有利な馬場を後方大外から上がり最速の脚を使っての快勝だった。2走前の京都金杯は内有利な馬場の中京で大外枠、後方脚質という絶望的な条件の中、ただ一頭モノが違う末脚を使い0.1秒差2着。負けはしたものの全く評価を下げる内容ではなかった。

3歳秋から本格化の兆しを見せ、メンバーの揃った直近4走全てで上がり最速とまだまだ能力の底を見せていない。東京芝1600mはベストとも言える得意条件で、持ち前の強烈な瞬発力を発揮できれば十分に勝ち負けできる。

▲ジャンタルマンタル
前走の香港マイルは何度もぶつけられてバランスを崩す不利があり、直線で早々に手ごたえをなくしていた。13着は能力を出し切っての結果ではなく、度外視可能な敗戦とみる。富士Sを熱発で回避し、マイルCSも使わなかった後のぶっつけ本番であり、状態面もベストとは言えなかった。

2走前のNHKマイルCでの快勝をはじめ、2歳時から世代屈指のマイラーとしてのポテンシャルを示していたように、今回のメンバーでも能力は上位だ。前回と同様に長期休養明けとなるが、自己ベストを記録した追い切りを見ても状態面は万全。好スタートから好位を追走し、ポテンシャルを発揮すれば十分勝ち負け可能とみる。

△ブレイディヴェーグ
直近3走は嚙み合わない競馬が続いているものの能力は上位。一気に人気を落としそうで高いオッズ妙味が見込まれる。

×ウインマーベル
3走前のマイルCSでハイペースを残し切った内容が優秀。2枠4番の好枠を引き、スムーズに先行すれば十分に残し得る。

×シックスペンス
前走内容から見てベストは1600~1800m。最内から先行するイメージで。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲馬連2点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。

▽安田記念予想▽
◎ソウルラッシュ
◯ウォーターリヒト
▲ジャンタルマンタル
△ブレイディヴェーグ
×ウインマーベル
×シックスペンス

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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