【葵S】好データ複数該当、ポッドベイダーを高評価　伏兵サウスバンクの一撃も警戒

2025/05/25 18:00

勝木淳

ⒸSPAIA

この記事のレース

葵ステークス

GⅢ

5月31日(土)　京都11R

ダービー前日にある3歳スプリント重賞

ダービー前日にはその半分の距離1200mで争う葵Sが開催。この日程、個人的には競馬の多様性を表現しており、競馬の奥深さを感じる。頂点は2400mかもしれないが、その半分だけを得意とする馬たちもいる。スプリンターだって未来は明るい。

昨年の勝ち馬ピューロマジックは北九州記念を勝ち、2着ペアポルックスはオーシャンS2着、高松宮記念で展開のカギを握った。なにより2年前の2着馬はスプリントGⅠを制したルガル。破ったモズメイメイも翌年、アイビスSDを勝ち、サマーシリーズで活躍と、スプリント戦線の未来を担う馬たちが集まる。

ここからは重賞格付後の2018年以降7回分のデータを使用して葵Sを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA

まずは年齢別成績から。1番人気は【3-0-1-3】勝率42.9%、複勝率57.1%と大混戦で、波乱期待大のレースながら、意外と手堅い。世代限定唯一のスプリント重賞とあって、明らかな実績馬が出走してくるため、実力差でねじ伏せるといった場面は多い。

とはいえ、2番人気【0-2-1-4】複勝率42.9%以下は人気の差がほぼない。8番人気以下の激走もあり、1番人気から人気薄といった組み合わせがおいしい。

前走着順別成績,ⒸSPAIA

クラス別の細かいデータを確認する前に、ざっくり前走着順別の成績をみる。前走勝った馬が【3-2-4-32】勝率7.3%、複勝率22.0%と世代限定戦らしく連勝狙いは数が多く、絞りにくい。

前走1200m1着が【2-1-4-22】、それ以外が【1-1-0-10】。1200m1着は逃げ【0-0-0-8】、先行【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%なので、逃げて勝った馬は重賞の速い流れでリズムを乱しやすい。できればひと溜めして好位から抜け出した馬がいい。

それ以外の距離では1400m1着が【1-1-0-9】。これも逃げ【0-0-0-3】、先行【1-1-0-4】であり、好位抜け出しはキーワードになる。

一方、6着以下に負けた馬は1200mが【0-0-0-7】、距離短縮が【2-4-1-33】勝率5.0%、複勝率17.5%。1600m組が【1-2-1-7】勝率9.1%、複勝率36.4%なので、マイル大敗もキーワードだ。

穴はサウスバンク

今年も登録馬の大半は収得賞金900万円の2勝馬。抽選突破が大前提であり、一週前に占うのは難しい。抽選対象馬は抽選を潜り抜ければという条件がつく点には注意だ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA

前走クラス別成績は重賞組からチェック。前走桜花賞は【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%。マイルの最上級レースから、適距離を求めてここへ転戦するのはパターンのひとつ。

この桜花賞組もそうだが、前走重賞は5着以内【0-0-0-8】、6着以下【2-2-1-24】。桜花賞10着以下は【1-1-1-4】なので、16着ダンツエランは買い。スプリンター寄りのハイペースだったフィリーズレビュー6着は気になるところだが、距離短縮で再考したい一頭だ。

前走OP/L・レース別成績,ⒸSPAIA

前走オープン・Lは【4-5-3-36】勝率8.3%、複勝率25.0%。取捨ポイントはここだろう。内訳はマーガレットSが【2-1-3-11】勝率11.1%、複勝率35.3%。ここは1、2着【2-0-2-4】を含め、5着以内【2-1-3-6】、6着以下【0-0-0-5】と重賞組とは逆で、好走馬が狙い。勝ったポッドベイダーを評価しよう。

マーガレットSは前後半600m35.5-34.1のスロー。2番手から上がり33.8で抜け出したポッドベイダーは前走先行1着という前記の好条件をクリアした。ペースが変わってパフォーマンスを上げるのか、注目だ。

前走橘Sは【2-4-0-21】勝率7.4%、複勝率22.2%。こちらは1着【1-1-0-4】など3着以内なら【2-2-0-6】、6着以下は【0-2-0-7】で、基本は好走馬に注目も、敗退から負け返すパターンもある。これも1400mだからこそ。距離短縮で目覚めるスプリンターもいる。

橘S勝利のムイも注目だが、7着サウスバンクは競走中止したマーガレットSの前は中山芝1200mの黒松賞で1着。距離短縮は大歓迎だ。

最後に前走1勝クラス【1-1-2-27】勝率3.2%、複勝率12.9%について。1200m【1-1-2-21】、1400m以上【0-0-0-6】となっており、1勝クラス経由は1200m組に絞っていい。

前走1勝クラス・1200m組の脚質別成績を出すと、逃げ【0-0-0-7】、先行【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%とやはり逃げた馬は危険で、好位抜け出しが狙い。レイピア、ソーダーンライト、オンザブルースカイ、ワースあたりが候補だ。

《ライタープロフィール》
勝木淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説　世界を驚かせた金色の暴君』（星海社新書）に寄稿。