【ヴィクトリアマイル】東大HCの本命はボンドガール 渋った馬場では後方脚質を重視、武豊騎手に“先週の再現”期待
東大ホースメンクラブ

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春の女王決定戦
今週日曜、東京競馬場ではヴィクトリアマイル(GⅠ)が行われる。一昨年の2歳女王アスコリピチェーノや、昨年の桜花賞馬ステレンボッシュ、1勝馬ながら重賞2着5回のボンドガールに加え、アドマイヤマツリ、クイーンズウォーク、クリスマスパレードなど有力4歳馬が集結。そこに3連勝中のシランケドら5歳馬が挑む。
14番人気・単勝オッズ208.6倍のテンハッピーローズが勝利する大波乱が起きた昨年の印象が強いが、それ以前にも2桁人気の激走がたびたびあった難解なレース。今年も波乱はあるのだろうか。データから検討する。
例年よりも後方脚質重視で

<稍重~不良の東京芝1600m重賞 1~5番人気馬の条件別成績>
追込【3-6-2-5】勝率18.8%/連対率56.3%/複勝率68.8 %
前走上がり3ハロン3位以内【6-8-5-18】勝率16.2%/連対率37.8%/複勝率51.4%
うち前走同距離【3-7-5-9】勝率12.5%/連対率41.7%/複勝率62.5%
武豊騎手【1-2-1-2】勝率16.7%/連対率50.0%/複勝率66.7%
※過去10年の12レース
2週連続で芝のレコードタイムが更新されている東京競馬場。しかし、今週末も雨予報となっている。まずは馬場が渋った場合はどのような傾向になるのか見ていこう。
ヴィクトリアマイル自体のデータだと、過去10年で稍重施行が2回。重・不良はなし。2017年は4角7番手アドマイヤリード、11番手デンコウアンジュの順で決まり、2018年は同8番手ジュールポレール、13番手リスグラシューの1、2着。どちらも差しが届いた。
このように後方脚質が有利になる傾向は、ヴィクトリアマイルだけに限らない。過去10年の東京芝1600m重賞に範囲を拡げて、稍重~不良馬場時の1~5番人気馬のデータを見てみる。
まず、5番人気以内馬の全体成績が【8-10-7-35】複勝率41.7%であるところ、追込馬が【3-6-2-5】複勝率68.8%をマーク。4角位置では10番手以下が【1-5-3-8】複勝率52.9%で、13番手以下【0-4-1-2】同71.4%と、普通なら絶望的な位置からでも届いている。
また、前走上がり3Fが3位以内だった馬は【6-8-5-18】複勝率51.4%で、その前走がマイルであれば【3-7-5-9】複勝率62.5%だ。一方、距離延長馬は【2-0-0-5】と苦戦している。
今回上位人気が想定される中で、この傾向に合致しているのはボンドガール。また、前走では末脚が使えなかったステレンボッシュも見限れない。一方、クイーンズウォークらの先行馬は評価を落とす。
その他、騎手別データではC.ルメール騎手【1-4-0-4】複勝率55.6%と武豊騎手【1-2-1-2】同66.7%に注目。ルメール騎手は良馬場も含め【13-18-5-22】複勝率62.1%なので道悪だからといって成績を上げるわけではないが、武豊騎手は【3-4-2-13】複勝率40.9%に比べて数値がアップする。先週のNHKマイルC(良だが前日は稍重)ではマジックサンズで4角16番手から2着。あの競馬の再現に期待したい。
差し届かずの惜敗にピリオドを
◎ボンドガール
未だ1勝馬だが、唯一の勝利となった新馬戦では後の二冠牝馬チェルヴィニアを破った。その後も1600m~2000mで場所を問わず好走している。4角10番手以降から末脚だけで上位に食い込んでくるあたり、能力は確かだ。
前走阪神牝馬Sでは久しぶりに馬券圏外に敗れたが、4角で10頭分くらい外を回しており、距離ロスは相当のものがあった。上がり3F32秒9をマークしたものの、内を走った馬にも33秒台前半の脚を使われては差し切れない。追込有利なコンディションになる今回は前進確実。2勝目に向けて舞台は整った。
○アスコリピチェーノ
オーストラリア遠征の2走前を除けば連を外しておらず、東京芝1600mではNHKマイルCで直線ゴチャつきながら2着に入った実績がある。1600mの持ち時計(中山・1分30秒8)もトップだ。
懸念点は脚質と距離延長。ヴィクトリアマイルは距離延長組が【2-0-2-27】と振るわない。自身もマイルは8か月ぶりであり、前走の1351ターフスプリントは先行策での勝利。長い直線で後続に飲み込まれる可能性があると考え、2番手に留めた。
▲アルジーヌ
オープン入りを決めた博多Sから5戦連続で馬券圏内。1800m戦では先行しているが、1600m戦の近2走は中団から差す競馬をしており、前述の脚質傾向と合う。ターコイズSはトップハンデタイを背負い、上位が先行馬かつ3~7着馬がタイム差なしという団子決着の中で、2着以下にしっかり1馬身差をつけた。GⅠは初挑戦でメンバーも格段に強化されるが、一発あってもおかしくない。
以下シランケド、シンリョクカ、ステレンボッシュまで印を回す。買い目は◎軸の馬連で勝負する。
▽ヴィクトリアマイル予想▽
◎ボンドガール
○アスコリピチェーノ
▲アルジーヌ
△シランケド
×シンリョクカ
×ステレンボッシュ
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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