【ヴィクトリアマイル】「芝1400m以下で勝利歴あり」なら複回収率194% データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ

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データで見る「穴候補3頭」
今週日曜の東京メインはヴィクトリアマイル。古馬の牝馬にとって上半期の大目標となるレースだが、同時に中央競馬屈指の「荒れるGⅠ」としても知られている。
5番人気ストレイトガールが制した2015年には、最低人気ミナレットの逃げ粘り(3着)もあって3連単2070万円という高配当が飛び出したほか、昨年は単勝オッズ208.6倍のテンハッピーローズが優勝した。
今年ももちろん伏兵には要警戒だ。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。
「芝1400m以下で勝ったことがある馬」が高回収率 ソーダズリング
まず1頭目はソーダズリング。きょうだいにこのレース3着のマジックキャッスルほか、複数の活躍馬が名を連ねる良血だ。
ヴィクトリアマイルは非常に速い時計が出る馬場で行われることが多い。その影響か、短距離向きの馬がしばしば穴を開け、逆に中長距離路線の実績馬は苦戦しがちだ。
過去10年の当レースにおいて「芝1400m以下で勝ったことがある馬」の成績は【5-2-3-55】複勝率15.4%、複回収率194%。一方「ない馬」は【5-8-7-87】複勝率18.7%、複回収率76%となっている。好走率はほぼ互角だが、人気以上に走るのは「短距離実績がある馬」の方だ。
連覇を果たしたストレイトガールは元々1200mのGⅠで戦っていた馬であり、昨年のテンハッピーローズも戦前の時点ではキャリア5勝全て1400m以下だった。さらに言えば先週のNHKマイルCも1400m重賞の連対馬が1、3、4着。高速決着の東京マイルではスプリント寄りの資質がキーになるようだ。
また「芝1400m以下で勝ったことがある馬」のうち、前走でマイル以上のレースに出走していると【3-2-2-31】複勝率18.4%、複回収率305%。短めの距離に適性がありつつ、マイルに慣らしてきた馬。ここを狙いたい。
ソーダズリングは昨年1400mで京都牝馬Sを勝っている。3走前には牡馬含めGⅠ級のメンバーが揃った阪神Cで0.3秒差の6着と健闘した。前走も負けたとはいえ0.3秒差。内が良好な馬場で4角外めを回った点も加味すれば内容は及第点。スピードがモノを言う競馬になれば面白い。
「東京マイル重賞勝ち馬」は複回収率137% ラヴェル
続いてラヴェルを取り上げる。3歳秋以降は一時不振に陥ったが、昨秋エリザベス女王杯2着、チャレンジC勝ちと復調気配を見せている。
ヴィクトリアマイルは「リピーター」の好走が多いレースでもある。先に名前の挙がったストレイトガールは5歳時から3着→1着→1着。ほかにもソダシ、ノームコア、ジュールポレールがそれぞれ2回ずつ馬券に絡んだ。ただ、今年は該当馬不在。そこで少し解釈を広げてみる。
過去10年のヴィクトリアマイルで「東京芝1600m重賞の勝ち馬」は【4-3-1-15】複勝率34.8%、複回収率137%と上々の成績だ。同コースで既に重賞を勝っていた馬は素直に評価したい。
なお、そのうち「前走2着以内馬」は【0-0-0-7】と好走がなく、同「3着以下馬」が【4-3-1-8】複回収率198%であった。直近で着順が悪かった馬の方がむしろ走っている。このあたりはさすが「荒れるGⅠ」らしいデータといえる。
ラヴェルは2歳時に当地でアルテミスS勝ち。近2走は敗れたが、金鯱賞は道悪に泣いて競馬にならず、大阪杯はシンプルに相手が強かった。牡馬王道のGⅠで0.7秒差なら悪くはない。三冠牝馬を破った東京マイルに戻り、久々の大仕事に期待したい。
今春GⅠは「短期免許騎手」が無双状態 アルジーヌ
ラストは阪神牝馬Sの2着馬アルジーヌを選んだ。鞍上には先日天皇賞(春)を勝ったダミアン・レーン騎手が予定されている。
ここ最近ビッグレースで猛威を振るっているのが「短期免許」の外国人ジョッキーたち。過去5年のJRA・GⅠ全体(※海外馬に騎乗したケースを除く)でも【12-17-10-69】複勝率36.1%、複回収率123%と黒字だが、今年はなんとここまで【5-1-1-2】複勝率77.8%、複回収率302%ともはや手が付けられない。
ちなみに、レーン騎手単体で見ても過去5年で【3-6-3-14】複勝率46.2%、複回収率142%としっかりプラス域にいる。GⅠでは問答無用で買い目に入れておきたいレベルだ。
アルジーヌは昨年6月の博多Sから5戦連続の馬券圏内。3着に終わったクイーンSも今回上位人気に推されるであろうボンドガールと0.1秒差だった。前走はこれまで良績のなかった瞬発力勝負にも対応し、上がり33.0秒の末脚で勝ち馬とはハナ差。今の充実ぶりに頼もしい鞍上の手腕も加われば、ここでもいい勝負ができるだろう。
《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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