【ユニコーンS】「前走中山ダ」は位置取りが重要 伏竜S組ルヴァンユニベールやクレーキングが有力
勝木淳

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スタミナ勝負の舞台
ダート三冠路線整備に伴い、昨年から舞台を京都ダート1900mに移したユニコーンS。前年を振り返ると、勝ったラムジェットは東京ダービーを制し、ジャパンダートクラシック4着、東京大賞典3着と結果を残した。
また、2着サトノエピックも東京ダービー2着。さらに3着ミッキーファイトはレパードSを制してジャパンダートクラシックでも2着。古馬相手にも名古屋大賞典1着にフェブラリーS3着、そして先日アンタレスSを圧勝した。東京ダービーを意識できる前哨戦であり、その先を見通せるハイレベルな戦いに期待しよう。
とはいえ、積みあがったデータは1年分だけ。普段のように過去10年データは通用しない。そこで今回はコースに注目し、京都ダート1900mの傾向について探っていく。
データは2015年以降、京都ダート1900m、3勝クラス以上46レースを使用(なお、1レースだけ1着同着があるため、1着馬は47頭、2着馬は45頭)。高額条件のデータを使用することで、3歳限定とはいえ、重賞レベルの好走傾向をつかむ。
大前提として京都ダート1900mは1800mより4コーナー方向にゲートが100m動いただけ。しかし、求められる適性はかなり違う。
3勝クラス以上に限定した2015年以降の種牡馬データをみると、1800mの着度数別トップ5はクロフネ、キングカメハメハ、キズナ、ゴールドアリュール、ハーツクライ。対する1900mはキングカメハメハ、アグネスデジタル、ゴールドアリュール、カジノドライヴ、エンパイアメーカー。共通するキングカメハメハ、ゴールドアリュールを除くと、1800mは芝でも活躍馬を送るマルチな種牡馬が目立つが、1900mはダートで強い馬たちの名が並ぶ。
これは1900mがパワー志向のスタミナ勝負になりやすいからだ。
前走中山ダ1800mは前での経験が重要
基本、京都ダートはスピード色の濃いコースだが、1900mはイメージとして中山に近い。ゴール前200mで時計を要し、最後は我慢比べに持ち込まれる。苦しいなかでも力を発揮できる根性が試されるコースだ。
前走距離傾向をみる。1800m【27-25-31-302】勝率7.0%、複勝率21.6%以上からは出走数が多く、確率はどうしたって低く出てしまうが、それでも前走1900mは【2-3-4-39】勝率4.2%、複勝率18.8%と目立たない。
古馬のレースでは1900m戦に出走する馬のレベルが低い場合があり、1900m経由でほかの距離から来る馬と対戦すると、力の差が出てしまうからでもある。同距離が低いのは気になるところだが、ライバルとの力関係を測れば、それなりに序列はつけられそうだ。
一方で頭数が少ないとはいえ、前走1600m【4-4-2-15】勝率16.0%、複勝率40.0%は注目に値する(東京ダ1600mなら【4-3-1-9】勝率23.5%、複勝率47.1%)。スタミナ勝負になるコースながら、マイルからの延長が強いのは不思議だ。
好走確率が比較的高いのは前走マイル中団【0-2-1-3】複勝率50.0%、後方【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%と差しに回った馬。その馬たちが距離延長で流れが緩くなり、先行すると【0-2-0-1】、差しても中団で追走できると【1-0-2-3】。距離を延ばし、前半で余裕をもてることが好走につながる。
出走馬の大半を占める前走1800m組について競馬場別成績を。同舞台京都【12-7-8-81】勝率11.1%、複勝率25.0%、中京【5-2-3-35】勝率11.1%、複勝率22.2%が上位。中山は【4-7-8-66】勝率4.7%、複勝率22.4%とスタミナ勝負の舞台ながら好走確率は高くない。
また阪神も【5-9-10-101】勝率4.0%、複勝率19.2%と同じ関西圏であってもつながりは薄い。
ただ、伏竜S2着、4着メイショウズイウン、ルヴァンユニベールなど前走中山ダ1800m組がカギを握るので、軽くも扱えない。絞るなら、中山ダ1800mで逃げ【2-0-3-6】勝率18.2%、複勝率45.5%、先行【2-3-2-14】勝率9.5%、複勝率33.3%と前で競馬した馬たち。
伏竜Sはケンタッキーダービーに挑戦する世代最上位ルクソールカフェが好位から抜け出し完勝。先行馬はみんな苦しくなり、2着メイショウズイウンは追い込み、4着ルヴァンユニベールは中団から脚を伸ばした。データ上はちょっと苦しいが、イメージはルヴァンユニベールか。
1勝クラス組なら前走先行して圧勝のクレーキングや、ゴッドエスパーダがぴったりだ。
カナルビーグルらが該当する阪神ダート1800mは逃げ【0-2-0-11】複勝率15.4%、先行【3-3-1-30】勝率8.1%、複勝率18.9%、中団【1-2-8-33】勝率2.3%、複勝率25.0%なので、もう少し差し寄り。好位から中団ぐらいがよく、後方も【1-2-1-27】勝率3.2%、複勝率12.9%で追い込んだ馬の好走まである。カナルビーグル、テスティモーネは評価できる。
《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。
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