皐月賞に大挙4頭参戦、「ドゥラメンテ産駒の牡馬」は単回161% 中山芝2000mを徹底検証
東大ホースメンクラブ

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コース紹介
今週は中山芝2000mを舞台に、牡馬クラシック開幕戦のGⅠ皐月賞が行われる。「最もはやい馬」が勝ち取るとされる第一冠。今年の主役はなんといってもGⅠホープフルS覇者クロワデュノールだ。
今年は、弥生賞をファウストラーゼン、共同通信杯をマスカレードボール、スプリングSをピコチャンブラック、若葉Sをジョバンニ、きさらぎ賞をサトノシャイニングと、クロワデュノールに敗れた馬たちが次々に前哨戦を勝ったことから、クロワデュノール一強の様相となっている。
クロワデュノールが無敗で第一冠を制するのか、はたまた待ったをかける馬が登場するのか。非常に楽しみな一戦だ。
中山芝2000mが舞台の重賞は中山で最多の6レース。グレード順に、GⅠは皐月賞と暮れの2歳中距離王決定戦ホープフルS、GⅡは皐月賞トライアルの弥生賞、GⅢは正月の伝統レース中山金杯、その翌週に行われる3歳限定戦の京成杯、秋華賞トライアルの紫苑Sが行われる。
このコースがどのような特徴を持つのか、ここからはデータで分析していく(使用するデータは2020年4月18日〜2025年4月13日)。
まずはコース形態。4コーナーの終わりからスタートし、最初のコーナーまで400m程度続く直線で1度目の登坂となる。その後2コーナー前まで上り、内回りコースへ。向正面の平坦な直線を走る。3~4コーナーのきついカーブを下ると310mの直線に入り(直線距離は中央4場で最短)、2度目の急坂の先に栄光のゴールが待ち受ける。
意外と内枠は...

<中山芝2000m・過去5年の枠別成績>
1枠【25-32-25-276】
勝率7.0%/連対率15.9%/複勝率22.9%/単回収率43%/複回収率71%
2枠【29-17-28-302】
勝率7.7%/連対率12.2%/複勝率19.7%/単回収率69%/複回収率53%
3枠【24-24-28-317】
勝率6.1%/連対率12.2%/複勝率19.3%/単回収率47%/複回収率68%
4枠【31-26-29-322】
勝率7.6%/連対率14.0%/複勝率21.1%/単回収率77%/複回収率65%
5枠【31-34-26-331】
勝率7.3%/連対率15.4%/複勝率21.6%/単回収率46%/複回収率60%
6枠【35-31-41-331】
勝率8.0%/連対率15.1%/複勝率24.4%/単回収率110%/複回収率85%
7枠【32-45-36-397】
勝率6.3%/連対率15.1%/複勝率22.2%/単回収率53%/複回収率72%
8枠【37-35-31-451】
勝率6.7%/連対率13.0%/複勝率18.6%/単回収率53%/複回収率52%
枠別成績では、8枠が唯一複勝率19%を割っており、大外枠の不振が目立つ。ただし、8枠を除けば、外枠勢は悪くない。大まかに内、中、外と分けると、以下のようになる。
内枠(1~3枠)複勝率20.6%、複回収率64%
中枠(4~5枠)複勝率21.3%、複回収率62%
外枠(6~8枠)複勝率21.5%、複回収率68%
ほぼ互角だが、不振の8枠を含めても外枠が複勝率、妙味の両方でわずかに優勢。小回りコースとしては意外な結果となった。
ちなみに8枠を除いた外枠(7、8枠)の成績は、複勝率23.2%、複回収率78%と優秀。外枠が理由で嫌われている馬がいたら、裏をかいて積極的に狙っていこう。
では、過去10年の皐月賞ではどうなのか。同様に内、中、外で分けて成績を見る。
内枠(1~3枠)【3-2-2-52】複勝率11.9%、複回収率23%
中枠(4~5枠)【2-3-5-30】複勝率25.0%、複回収率95%
外枠(6~8枠)【5-5-3-60】複勝率17.8%、複回収率63%
中枠有利、内枠不利の傾向がハッキリ出ている。一生に一度のクラシックとあって、馬群がタイトになりやすく、馬群を捌く必要が出てくる内枠は不利になりやすいのだろう。
ただし、今年の皐月賞はCコース替わり。ラチ沿いに走りやすい綺麗な馬場が出現することが予想され、例年より内枠が有利になる可能性は頭に入れておきたい。

<中山芝2000m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【34-26-26-169】
勝率13.3%/連対率23.5%/複勝率33.7%/単回収率151%/複回収率105%
先行【118-113-103-538】
勝率13.5%/連対率26.5%/複勝率38.3%/単回収率103%/複回収率101%
差し【76-84-89-1042】
勝率5.9%/連対率12.4%/複勝率19.3%/単回収率60%/複回収率70%
追込【6-9-21-956】
勝率0.6%/連対率1.5%/複勝率3.6%/単回収率4%/複回収率12%
マクリ【10-12-5-21】
勝率20.8%/連対率45.8%/複勝率56.3%/単回収率106%/複回収率190%
次に脚質別成績について。最終直線の短い小回りコースということで、逃げ先行が圧倒的に有利。4コーナーで前目のポジションが確保しているという点から、マクリもかなりの好成績だ。他の小回りコースと同様に、器用に前目を立ち回れる馬を狙っていきたい。
過去10年の皐月賞では、以下の通りとなる。
逃げ【0-1-0-12】複勝率7.7%
先行【4-5-4-24】複勝率35.1%
差し【5-3-5-58】複勝率18.3%
追込【1-1-1-47】複勝率6.0%
マクリ【0-0-0-1】複勝率0.0%
逃げのアドバンテージが消え、先行馬が圧倒的に優勢。極端な追込も決まりにくく、厳しいペースを先団~中団で追走できるスピードは必須だ。マクリはサンプル数がほぼない。皐月賞がマクリの決まりにくいペースになりやすいことも関係していそうだ。
大舞台に強いドゥラメンテ産駒、内枠の戸崎圭太騎手

<中山芝2000m・過去5年の種牡馬別成績>
ハーツクライ【17-13-12-115】
勝率10.8%/連対率19.1%/複勝率26.8%/単回収率103%/複回収率85%
ハービンジャー【14-8-11-104】
勝率10.2%/連対率16.1%/複勝率24.1%/単回収率108%/複回収率57%
ドゥラメンテ【11-15-19-96】
勝率7.8%/連対率18.4%/複勝率31.9%/単回収率123%/複回収率77%
■ハーツクライ
期間内17勝で、単回収率103%とプラス域をマークしている。下級条件での活躍が目覚ましく、1勝クラス【3-0-3-18】単回収率315%が狙い目だ。一方、重賞では【2-3-3-26】で勝率5.9%、単回収率18%とやや物足りない。
■ハービンジャー
京都巧者のイメージが強い同産駒であるが、このコースでは、単勝ベタ買いでプラスだ。特に重馬場の際は【2-1-2-11】で勝率12.5%、単回収率195%と大幅にプラス。雨が降った時に覚えておきたい。
こちらも下級条件が活躍の中心で、新馬戦【5-1-1-18】単回収率244%、1勝クラス【6-3-1-23】単回収率228%辺りが好成績。重賞では【0-1-2-12】で複勝率20.0%、複回収率42%と妙味は薄い。
■ドゥラメンテ
大舞台でこそ狙いたいタイプで、GⅠは【1-1-0-11】で単回収率696%。これは14番人気でホープフルSを制したドゥラエレーデが数字を跳ね上げている側面はあるが、GⅡでも【1-1-1-3】で単回収率298%、複回収率105%と優秀だ。
また妙味の面では牡馬が狙い目で、牝馬が単回収率19%なのに対し牡馬は単回収率161%となっている。
なお、今年の皐月賞に出走を予定しているのは上記3頭の産駒ではドゥラメンテ産駒だけだ。
<皐月賞出走予定のドゥラメンテ産駒>
・マスカレードボール
・アロヒアリイ
・キングスコール
・ジュタ
ほか、クロワデュノールやピコチャンブラックが該当するキタサンブラック産駒は【11-5-2-49】で複勝率26.9%、ジョバンニが該当するエピファネイア産駒は【14-12-19-112】で複勝率28.7%、エリキングらが該当するキズナ産駒は【12-7-7-92】で複勝率22.0%となっている。

<中山芝2000m・過去5年の騎手別成績>
横山武史【28-19-17-91】
勝率18.1%/連対率30.3%/複勝率41.3%/単回収率81%/複回収率73%
C.ルメール【27-14-19-52】
勝率24.1%/連対率36.6%/複勝率53.6%/単回収率56%/複回収率77%
戸崎圭太【20-21-15-98】
勝率13.0%/連対率26.6%/複勝率36.4%/単回収率100%/複回収率91%
■横山武史騎手
トップ28勝で、GⅠでは期間内3勝を挙げている生粋の中山芝2000mマイスターだ。重賞では【5-3-1-16】で勝率20.0%、単回収率130%と大舞台で成績を上げてくる。逃げ先行策で結果を残しており、前走先行した馬では【12-4-6-30】勝率23.1%、単回収率103%と単勝ベタ買いでOKだ。
■C.ルメール騎手
27勝で2位、GⅠではレガレイラで23年のホープフルSを制している。重賞では【2-4-5-12】で勝率8.7%、単回収率26%となっており、単勝で狙うには妙味が薄い。一方、複回収率は93%と全体成績よりも高い。特にGⅠでは【1-2-2-4】複回収率130%とプラス域に突入しており、大舞台ではヒモに入れておいて損はない。
■戸崎圭太騎手
20勝で3位。昨年の皐月賞をジャスティンミラノで制している。前章でこのコースはやや外枠有利と紹介したが、戸崎騎手に関してはその逆。以下のように、内枠の方が好成績となっている。
1~4枠【14-10-9-44】勝率18.2%、単回収率164%
5~8枠【6-11-6-54】勝率7.8%、単回収率36%
<皐月賞の騎乗予定>
横山武史騎手:マスカレードボール
ルメール騎手:ヴィンセンシオ
戸崎圭太騎手:カラマティアノス
クロワデュノールに騎乗予定の北村友一騎手は【2-0-0-9】で複勝率18.2%、エリキングに騎乗予定の川田将雅騎手が【3-3-6-16】複勝率42.9%、ミュージアムマイルに騎乗予定のJ.モレイラ騎手は【2-2-2-0】で複勝率100%と驚異的な成績を残している。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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