【弥生賞】同舞台の「平場1勝クラス組」は勝率50% 昨年覇者も該当、データはアロヒアリイを後押し

三木俊幸

25年弥生賞ディープインパクト記念に出走予定のアロヒアリイ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

参考レース振り返り

3歳クラシック皐月賞に向けた重要な前哨戦、弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ・芝2000m)。朝日杯FS2着のミュージアムマイルなどGⅠ好走組に加え、葉牡丹賞をレコード勝ちしたヴィンセンシオ、若駒Sを勝利したジュタなど14頭が今年は登録している。

ここでは、主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返る。

3歳1勝クラス(中山芝2000m・1月)【データ:A メンバーレベル:C】

過去10年の成績【3-0-0-3】勝率50.0%、連対率50.0%、複勝率50.0%

年明けの中山開催に組まれる1勝クラス・芝2000m戦から参戦する馬は、過去10年で最多の3勝をマークしている。今年は同レースで2着だったアロヒアリイが登録。2024年にはコスモキュランダが同じく2着から臨戦し、6番人気で勝利を果たした。

小雨が降る中で行われたレースは、ハナを切ったスタイラスメソッドとサノノロンドンが3番手以下を大きく引き離す展開。1000m通過59.1と流れるも、3角手前で後続との差は徐々に縮まっていった。

ゴール前で大外から豪快に突き抜けて勝利したのは、スタートで後手を踏み最後方から運んだゴーソーファー。勝ちタイムは2:00.7での決着だった。

1番人気に推されたアロヒアリイは道中6、7番手を追走。仕掛けてからの反応が良いタイプではなく鞍上の手も早めに動き始めたが、残り600〜400mの区間ラップが12.9まで落ち込んで包まれたこともあり、スムーズに加速してきた勝ち馬との追い比べに3/4馬身競り負けて2着に終わった。相手は強くなり試金石の一戦となるが、どこまでやれるか注目したい。

朝日杯FS【データ:B メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-3-2-1】勝率14.3%、連対率57.1%、複勝率85.7%

朝日杯FS組の勝利は2018年ダノンプレミアムのみだが、出走7頭のうち6頭が3着以内に好走と堅実な走りが目立つ。複回収率も230%を記録している。

レースは最内枠からスタートしたダイシンラーが逃げる展開となり、800m通過48.0のスローペース。2番手から運んだアドマイヤズームは直線で馬場の四分どころへ持ち出すと後続を寄せ付けない強さを見せ、勝ちタイム1:34.1での完勝だった。

2馬身半差の2着となったミュージアムマイルは、スタートで出遅れ、すぐさま好位までポジションを巻き返すというロスがあった。勝ち馬には及ばなかったが、3着に2馬身半差をつけており、敗れはしたが強い内容と言える。

2走前、芝2000mの黄菊賞では前残りの展開を中団追走から早めに動き、後続に3馬身差をつける好内容。このことからも距離延長はプラス材料。適条件で結果を出してクラシックへと向かいたいところだ。

25年弥生賞ディープインパクト記念に出走予定のミュージアムマイル,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


ホープフルS【データ:B メンバーレベル:A】

過去10年の成績【1-3-6-8】勝率5.6%、連対率22.2%、複勝率55.6%

GⅡ時代も含めた過去10年では2021年タイトルホルダーによる1勝のみだが、朝日杯FS組と同様に3着内への好走率は高い。

ジュンアサヒソラが逃げるも、600〜1000mまでのラップが12.7-12.7と落ち込んだことで後方3番手からファウストラーゼンが一気に捲り、次の区間は12.0-11.6とペースアップする。

そうした展開に動じることなく、3角では中団から4番手までポジションを押し上げたクロワデュノールが直線残り200mで堂々先頭へ。勝ちタイムは2:00.5。2馬身という着差以上の完勝だった。

捲る競馬を見せた17番人気ファウストラーゼンは、最後までしぶとい脚を見せて勝ち馬から0.5秒差の3着に粘った。先週末の中山芝コースは前有利の高速馬場だっただけに、前走同様に捲り切って持久力勝負に持ち込めるかがカギとなる。

クラウディアイは5番手のインを追走。レースが動いた後半の勝負所では7番手にポジションを下げたが、直線は外からジリジリ伸びて5着だった。重賞で堅実な走りを披露している2着ジョバンニを物差しにすると京都2歳Sでは0.1秒差、ホープフルSでは0.6秒差と小差であり、ここでも十分通用する力はある。

アスクシュタインは中団追走で4角では10番手、直線だけ外に持ち出すレースだった。5着とは0.1秒差、勝ち馬とは1.0秒差ついたが、道中のポジションを考慮すると力は出し切ったと言えるだろう。

若駒S【データ:B メンバーレベル:C】

過去10年の成績【1-0-1-4】勝率16.7%、連対率16.7%、複勝率33.3%

2016年にマカヒキが優勝、直近では2023年にワンダイレクトが3着という成績を残している。

10頭立てとなったレースは、メイショウアイナがハナを奪う。400〜800m区間のラップが13.1-13.4と遅く、1000mを1:03.4で通過したところではサラコスティ、ミッキーゴールドも接近して前3頭が並んでいた。

それらを見る形の4番手から運んだジュタは、直線で間を割って抜けてくると残り300mを切ったところで先頭へ。外から迫ったミッキーゴールドを半馬身振り切り、勝ちタイム2:02.3で勝利した。

先述のホープフルSでは5番手追走から4着に入っており、ここでは順当勝ちと言っていい。今の馬場状態を考えると先行してしっかりとした脚も使えることはプラスに働きそうだ。

葉牡丹賞【データ:C メンバーレベル:B】

過去10年の成績【0-0-0-4】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

12月の中山開催1日目に行われた2歳1勝クラス、芝2000m戦の葉牡丹賞。好スタートを切ったエンペラーズソードを外からエルムラントが一気に交わしていき、スタンド前は12.2-10.4(22.6)の速い入りとなる。隊列が決まってからはペースが落ち着き、1000mは59.4で通過した。

道中6番手追走から4角で徐々に外へと持ち出されたヴィンセンシオは直線でゲルチュタール、リトルジャイアンツと3頭による追い比べをハナ差で制し勝利。勝ちタイムは1:58.8のレコード決着で、ラスト11.7-11.6と最後まで加速しながら、勝負根性を見せつけた内容も評価できる。

エリカ賞【データ:C メンバーレベル:C】

過去10年の成績【0-0-0-1】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

京都芝2000mで行われた2歳1勝クラスのエリカ賞は、7頭立てで争われた。レースの主導権を握ったイガッチが後続に3馬身ほどのリードをつけて1000mを1:01.4で通過。2番手を追走していた1番人気ナグルファルは直線に向いたところで早め先頭に立つと、後続を寄せ付けず4馬身差をつける完勝でデビューから2連勝とした。勝ちタイムは2:00.6だった。

同じ京都芝2000mだった新馬戦でも2:00.7で勝利したように時計面の裏付けもあり、能力は高い。相手強化となるが先行力も兼ね備えており、あっさりと通用しても不思議ではない。

25年弥生賞ディープインパクト記念に出走予定のナグルファル,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


ライタープロフィール
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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