【きさらぎ賞】高回収率データ該当!ランスオブカオスに注目 朝日杯FSが好内容、血統から距離延長も好感

貴シンジ

きさらぎ賞「前走OPクラス以上」の好データ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は2月9日(日)に京都競馬場で行われるきさらぎ賞について、下記3つのファクターを組み合わせるコンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった12頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:OPもしくは重賞からの臨戦馬に注目

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


きさらぎ賞は皐月賞のトライアルレースではないが、春の大一番に向けて賞金を加算しておきたいメンバーが顔を揃える。ここ数年は好走馬からGⅠ級が出ていないが、少しさかのぼればサトノダイヤモンドやルージュバックもこのレースを勝利して後の活躍に繋げている。

注目したいデータは、前走クラス別成績。新馬戦が【2-1-1-12】で単勝回収率57%、複勝回収率61%という成績。1戦1勝馬は底が見えていないため人気しやすい傾向にあるが、多くはその期待に応えられていないというのが現状だ。

続いて未勝利戦。こちらは【0-0-2-10】で単勝回収率0%、複勝回収率42%となっている。人気も出にくいが、好走馬も出にくい。

1勝クラス組は【4-5-3-21】で勝ち馬は多く出ているが、単勝回収率29%で複勝回収率95%となっている。また、勝利した4頭はいずれも前走1勝クラスで勝利している馬だった。今年の登録馬ではサウンドバッハとスリーキングス、ヒルノハンブルクが1勝クラスからの臨戦となるが、いずれも前走は敗れている。

最後はOP以上のグループだ。前走OP・Lは【0-1-0-3】で、GⅢ【2-1-1-7】にGⅡ【0-1-0-2】、そしてGⅠが【2-1-3-8】。全て合わせると【4-4-4-20】となる。単勝回収率174%、複勝回収率66%とこれだけでも優秀なグループになるのだが、もう少し深掘りしよう。

前走OP以上かつ1~3着に好走した馬で絞り込んでみると、【2-3-1-7】単勝回収率265%、複勝回収率93%となり、さらに優秀な数字となる。

ちなみに、この中に前走で勝利していた馬は1頭もいない。2着、3着に負けてしまった馬たちでこれだけ回収率が良いのは、能力の底が見えてしまったと判断する人が多いからだろう。

今年はシンザン記念3着のウォーターガーベラや東京スポーツ杯2歳ステークス2着のサトノシャイニング、京成杯3着のミニトランザット、朝日杯フューチュリティステークス3着のランスオブカオスがこの好走データに当てはまる。

【前走OP以上で3着以内だった出走予定馬】
・ウォーターガーベラ
・サトノシャイニング
・ミニトランザット
・ランスオブカオス


前走の内容:ランスオブカオスの朝日杯FS

ランスオブカオスの前走は朝日杯FS3着。昨年の朝日杯FSはかなりのスローペースで、最初の4Fが48.0秒、上がりの4Fが46.1秒で後傾1.9秒だった。

勝利したアドマイヤズーム、2着ミュージアムマイルはともに前々で競馬した馬たちだったが、ランスオブカオスは少し出負けして後方からの競馬となった分、3着までとなってしまった。

とはいえ、新馬戦よりもスタートは良くなっており、距離延長も良い方向に出ていた。今回はさらに1F延長となるが、前走の走りを見る限りプラスに出そうだ。


血統解説:ランスオブカオス

ランスオブカオスの血統表,ⒸSPAIA


・ランスオブカオス
日本での牝祖は3代母ヘヴンリーアドヴァイス。叔母アッシェンプッテルは船橋のクイーン賞2着や門別のブリーダーズゴールドカップ3着などの実績がある活躍馬だ。

本馬の母ハイドランも芝の中距離でJRA2勝をあげており、今回のメンバーでは活力がある牝系を持った一頭。スタミナと持続性能が高いファミリーで、ここまでは短い距離を使われてきているが、決して短距離馬の血統ではない。馬体を見ても2000mくらいがベストに見える。

本馬は父にシルバーステートを迎え、パワー型に出ているため渋った馬場も歓迎。あまり時計が速くなりすぎると辛いが、下り坂を使える京都はベストコースだろう。


Cアナライズではランスオブカオスを推奨

今回のCアナライズではランスオブカオスを推奨する。

前走・朝日杯FSの内容が素晴らしく、メンバーレベルが落ちるここなら通用していい。距離が不安視されそうだが、血統や馬体面から見ても全く問題ないだろう。

少し完成が遅めの血統で、トモもパンとしていないから本格化はまだ先と見るが、成長した姿をこのきさらぎ賞で見せてほしいところだ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

《関連記事》
【きさらぎ賞】複勝率54.5%「前走重賞4着以内」が中心 東スポ杯2歳S2着サトノシャイニングなど3頭に注目
【注目2歳馬】雨の新馬戦をキズナ産駒サトノシャイニングがV 馬場も苦にせず上がり33.7の瞬発力を見せる
【きさらぎ賞】過去10年のレースデータ

おすすめ記事