【ホープフルS】能力は間違いなくGⅠ馬級　京大競馬研の本命はクロワデュノール

2024/12/28 06:00

京都大学競馬研究会

ⒸSPAIA

この記事のレース

ホープフルステークス

GⅠ

12月28日(土)　中山11R

能力が試されるコース

本日、中山競馬場でホープフルS（GⅠ）が行われる。昨年は先日の有馬記念を制覇したレガレイラが大外一気で勝利し、その素質の高さを示す一戦だった。

今年も東スポ杯2歳S勝ち馬クロワデュノールをはじめ、アイビーS勝ち馬マスカレードボール、札幌2歳S勝ち馬マジックサンズなど多くの素質馬が集結。混戦模様の難解な一戦となった。

以下では、本レースが行われる中山芝2000mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは中山芝2000mのコース形態をみる。正面スタンド前の右端からスタートし、初角までの距離は約400m。スタート直後に急坂があり、1～2コーナー中間まで上り坂となっている。

そこから内回りコースを使用し、バックストレッチ途中までは下り坂。3～4コーナーにかけて平坦となっている。これを回り切ると中央４場の中で最短となる310mの最終直線。ゴール前に高低差2.4ｍの急坂がある。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約400mとそれなりに長い点と、スタート直後に急坂がある点だ。初角までの距離が長いコースは通常、序盤の争いが激化しやすいが、中山芝2000mはスタート直後の坂で最初のダッシュが付きにくく、ペースはそこまで上がらない。

またホープフルSは世代限定戦らしく、スローペースからの瞬発力戦を勝利してきた馬が多く集まるため、先行馬が揃っても序盤の先手争いはあまり激しくならない。

加えて、本レースの場合は短距離やマイル向きの馬が朝日杯FSへ流れるため、大幅距離延長の短距離馬やマイル向きの先行馬が例年少ない。これも本レースの序盤ゆったりとした流れを作る一因となっている。

1～2コーナーまで上り坂が続くため、ここでもペースは上がりにくい。一気にペースが上がるのは3コーナーに入ってからで、序盤、中盤で脚を溜めた先行勢が一気に加速していく。

コース形態としては、後方勢が直線に入るまでに先行勢とのポジション差を埋めにくい。しかし本レースに限れば、序盤～中盤の追走ペースが緩いため、3コーナー時点で馬群が凝集しており、そこまでポジション差がない。したがって後方勢が不利というわけではない。

特筆すべきは3コーナーからゴールまで、ラスト4～5Fのロングスパート戦になりやすい点。一瞬のキレ味よりも持続した末脚が求められる。

もちろん最後の直線が短いため、4角で前目に付けている方が有利ではある。しかし、それ以上にコーナーでの加速力を含め持続する末脚、ロングスパート戦で最後の急坂をものともせず伸び続けるタフさという、現時点でのポテンシャルの高さとレースセンスが要求される。

中山で長く脚を使うと、力のない馬は最後の急坂で一杯になり、止まってしまう。各馬の現時点でのポテンシャルの高さが試される。それが本コースの持つレースの質だ。

ホープフルSの上がり6位以内馬成績,ⒸSPAIA

＜ホープフルS　上がり3F6位以内馬の成績（過去10年）＞
【8-7-9-37】勝率13.1%、連対率24.6%、複勝率39.3%、単勝回収率41%、複勝回収率102%

この傾向は数字にも表れている。ホープフルSにおける上がり3F6位以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。馬券内30頭中24頭を上がり上位馬が占めており、中山のレースながら速い上がりを使えない先行馬の残り目はかなり少ない。急激にメンバーレベルが上がる中でも、速い上がりを使えるポテンシャルが好走の条件だ。

また複勝回収率に対して単勝回収率がかなり低いことからも分かるように、14年と22年を除き、既に能力が評価されて人気になった実力馬が順当に力を発揮して勝利している。

反対に現時点の能力で見劣りするが、内枠の残り目が期待されて人気になる先行馬は嫌いたい。

各馬の現時点でのポテンシャルを見極めた上で、順当に力を発揮できれば勝ち負けできる馬を中心に印を打っていく。

先行馬の数ほどペースは流れない

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が12頭。出走馬全18頭に対してかなり多い。

ただ、その多くが1000m通過62～63秒のスローペースの瞬発力戦を先行してきた馬で、自分から積極的に飛ばしていくような先行馬はいない。先述のコース形態とも相まって1000m通過が60秒を切るようなハイペースにはならないとみる。

この展開で恵まれるのはやはり好位から競馬できる馬だ。ポジション以上に現時点でのポテンシャルの方が重要であることは念押しするが、最後に着順を分かつのはポジション差だ。

より前目の位置で折り合い、スムーズに追い出して長く良い脚を使える馬が最も展開に恵まれる。

まだ能力の底を見せていない素質馬が多くいるが、その上で先行力という点にも重きを置いて印を打っていく。

GⅠ級のポテンシャル

◎クロワデュノール
2走前は数々の名馬を輩出してきた東京芝1800m新馬戦のなかでも史上最速タイムで勝利。後半のラップがあまりにも優秀で、東京芝1800mの2歳戦で「勝ち時計1:47.9以下かつ後半5F57.9秒以内」のレースを勝利したのは世界最強馬イクイノックス、無敗の三冠馬コントレイルなど、本馬を含めて4頭のみ。間違いなくGⅠ級のポテンシャルを持っている。

前走の東スポ杯2歳Sはプラス24kgと、調教からも明らかに甘い仕上げの中、スローペースからの瞬発力戦を上がり3Fをメンバー中最速33.3秒の脚を使い完勝。天性の競馬センスとも言える衝撃の内容だった。

これだけの瞬発力を使うことができるが、前走は早めに仕掛けていたように、その最大の武器は持続力。長く良い脚を使いたい本馬にとって中山替わりはプラス材料だ。

折り合いの不安もなく、好スタートからスッと好位に付けられるのも強み。今回も内目の偶数枠から出たなりに好位が確保できる可能性が高い。

本仕上げで挑む今回は前走からさらなる上積みが期待でき、全く隙がない。来年のクラシックの主役となることが約束された一頭であり、ここは通過点とみて本命を打つ。

◯マスカレードボール
2走前の新馬戦は後に重賞で2回馬券内に入るマイネルチケットに上がり最速の脚で完勝。能力の高さを示した。

前走のアイビーSが衝撃の内容。前半1000m59.4秒のハイペースを3番手で追走し、伸びない内から上がり3F33.4秒を使い、一頭だけモノが違う末脚で勝利した。

東京芝1800mの2歳戦を「勝ち時計1:46.2以内かつ上がり3F33.4秒以内」で勝利した馬は本馬とイクイノックス、コントレイルの3頭のみ。こちらもGⅠ級のポテンシャルを持つ。素質で言えば本命対抗の2頭が今回のメンバーでは完全に突き抜けているとみる。

2頭の印の上下は、本馬が大外枠でロスが大きい競馬になりそうという点と、クロワデュノールの方が中山適性が高そうという点で決めた。

どちらも来年のクラシックでは主役を担うことを確信している。それほど現時点では2頭とも能力の底を全く見せておらず、日本ダービーでの再戦を既に妄想してしまうほど。今回は非常に楽しみで試金石の一戦だ。

▲ピコチャンブラック
2走前の新馬戦は逃げて上がり最速の脚を使い圧勝。ラスト4F12.2-11.9-11.8-11.3の加速ラップで勝利しており、まだまだ上積みに期待できる内容だった。

前走アイビーSはマスカレードボールに内容は劣るものの、ハイペースを2番手で追走して最後まで粘っており、能力の高さを示した。瞬発力よりも持続力を武器とする馬であり、中山替わりはプラスだ。

外目の枠であるものの、本馬の先行力であれば2列目の好位まで取り付ける。ここでも能力上位とみて3番手評価とする。

△デルアヴァー
スタートに課題があるものの、前走の東スポ杯2歳Sはクロワデュノールと同じ上がり最速の脚を使うことが出来ており、ポテンシャルは今回のメンバーでも上位の一頭だ。

×マジックサンズ
前走の札幌2歳Sで破った2着アルマヴェローチェが次走の阪神JFを勝利しているように、本馬もこの世代屈指の実力を持つことは確か。今回も上がりがかかる舞台であることはプラス材料だ。

買い目は◎単勝1点、◎-◯馬連1点、◎-◯-▲△×3連複3点で勝負する。（花田）

▽ホープフルS予想▽
◎クロワデュノール
◯マスカレードボール
▲ピコチャンブラック
△デルアヴァー
×マジックサンズ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。