【朝日杯FS】前走は勝ち馬を上回る好内容 東大HCの本命は鋭い末脚を持つタイセイカレント

東大ホースメンクラブ

朝日杯FSの主な前走レース別成績(過去10年)

ⒸSPAIA

2歳マイル王決定戦

今週日曜日、京都競馬場でGⅠ・朝日杯フューチュリティステークスが行われる。サウジアラビアRCを勝利したアルテヴェローチェ、新潟2歳Sを制したトータルクラリティ、京王杯2歳S勝ち馬のパンジャタワーら2戦2勝の重賞ウイナー3頭を中心に16頭が出走予定だ。

昨年3戦3勝でこのレースを制したジャンタルマンタルはその後皐月賞3着、NHKマイルC勝利と3歳でも活躍。今年はどの馬が本レースを制するのか。過去10年のレースデータと、京都芝1600m世代限定重賞の傾向を参考に検討していく。

サウジアラビアRC組は信頼

朝日杯FSの前走レース別成績,ⒸSPAIA


<朝日杯FS・前走レース別成績>
サウジアラビアRC【3-2-2-6】勝率23.1%/連対率38.5%/複勝率53.8%
京王杯2歳S【0-2-2-24】勝率0.0%/連対率7.1%/複勝率14.2%
デイリー2歳S【2-4-2-20】勝率7.1%/連対率21.4%/複勝率28.6%
※サウジアラビアRCは前身の「いちょうS」含む

まず前走レース別成績を確認する。最も好成績なのはサウジアラビアRC組で、半数以上が馬券に絡んでいる。その勝ち馬は【3-1-2-0】、本番で1番人気なら【3-0-1-0】と、前走で結果を残した馬はしっかり期待に応えている。当日1番人気の可能性があるアルテヴェローチェは信頼できそうだ。

パンジャタワーら3頭が出走予定の京王杯2歳S組は【0-2-2-24】。出走数は最多タイにもかかわらず勝利例がない。馬券圏内に入ったのは前走3着以内のみ。

勝ち馬【0-2-1-5】。また距離延長となるため、前走を前で運んでいた馬が苦戦しており、逃げ先行【0-0-1-17】。しかし中団【0-2-1-4】、中団から上がり最速だと【0-2-1-1】まで信頼度が高まる。パンジャタワーはこれを満たす。

デイリー杯2歳Sは【2-4-2-20】と悪くないが、今年に関しては頭数が少なく、勝ち馬ランフォーヴァウが阪神JFで11着に敗れた。ドラゴンブーストとダイシンラーは見送りたい。

残りはクラス別でまとめて確認する。前走新馬は【1-0-2-3】。意外にも好走例が多く、着差が小さくても頑張っている。ランスオブカオスは中1週、距離延長と懸念材料はあるが穴として押さえるのは面白そうだ。

一方、前走未勝利は【1-0-1-14】と一気に苦しくなる。着差0秒5以上で勝っていれば【1-0-1-1】で、アドマイヤズームはクリアしているが、新馬戦の内容が物足りない。

1勝クラス組も【2-0-0-31】と大苦戦。2着以下は【0-0-0-9】で勝ちが絶対条件だ。ただし勝ち馬も17年以降で15頭出走して馬券絡みなし。ミュージアムマイルに立ちはだかる壁となる。

オープン・リステッドは【1-1-1-20】。今年はクローバー賞からニタモノドウシが参戦する。札幌から4か月空けて直行という意味では昨年エコロヴァルツ2着の例がある。ただ同馬のコスモス賞は1秒0差をつけての勝利だった。

対するニタモノドウシは着差0秒3差。距離延長、負かした相手もそこまで強くない。続けるかは疑問符がつく。また、クラス不問で前走札幌は【0-1-0-3】。14年ブライトエンブレム2番人気7着、21年ジオグリフ2番人気5着と人気馬が敗れた例もある。

今回も末脚重視

京都芝1600m、世代限定重賞の上がり3F順位別成績,ⒸSPAIA


<京都芝1600m世代限定重賞 上がり3F順位別成績>
1位【9-2-4-1】勝率56.3%/連対率68.8%/複勝率93.8%
2位【3-8-1-5】勝率17.6%/連対率64.7%/複勝率70.6%
3位【2-1-4-10】勝率11.8%/連対率17.6%/複勝率41.2%
4~5位【1-3-4-20】勝率3.6%/連対率14.3%/複勝率28.6%
6位以下【0-1-2-103】勝率0.0%/連対率0.9%/複勝率2.8%
※過去10年の15レース

先週も触れたが、京都マイルの世代限定重賞は上がり3F順位が着順と直結しやすい。阪神JFも上がり1位が勝利、2位タイの馬が2着という結果だった。1~3着のアルマヴェローチェ、ビップデイジー、テリオスララはいずれも前走で上がり最速をマークしていた。

今回の出走メンバーのうち、前走上がり最速だったのはアドマイヤズーム、タイセイカレント、ニタモノドウシ、パンジャタワー、ミュージアムマイル、ランスオブカオス。特にサウジアラビアRC2着のタイセイカレントは評価を上げたい。

また阪神JFは上位3頭が全て距離短縮組だった。今回の有力どころで距離短縮となるのはミュージアムマイルのみ。これも加点材料となる。

阪神JFは距離延長馬が6頭いて、最先着は16番人気5着スリールミニョン。ほとんど最後方からの競馬で追い上げてきた。距離延長組は差しに徹すればチャンスありと考える。やはりパンジャタワーは押さえておきたい。

前走のリベンジへ

◎タイセイカレント
新馬戦は危なげなく逃げきり。2、3着馬が芝、4着馬はダートで勝ち上がった。前走サウジアラビアRCは最後方から内を選んで急追、上がり最速をマークした。

この日の後半芝レースはいずれも外を回った馬が勝っており、馬場が外有利であったとみる。末脚の魅力は勝ち馬以上にある。上がりが着順に繋がるこの舞台ならリベンジ可能だ。

◯トータルクラリティ
新馬戦はラスト1F10秒9という驚きのタイムで勝利。1986年以降の京都芝1600m2歳戦でラストが10秒台だったのは過去2例だけ。勝ち馬はどちらも後の重賞馬(ドナウブルー、アズマシャトル)だ。

新潟2歳Sはコートアリシアン(阪神JF6着)に一度は抜かれたものの差し返して勝利。本馬は前で競馬できる安定感があり、今回も安定した走りが期待できる。

▲アルテヴェローチェ
新馬戦はクビ差勝利だったが、3着には5馬身差をつけた。2着ヒシアマンは次走の未勝利戦を圧勝、京王杯2歳Sでは1番人気に推され4着だった。

前走は外有利の馬場で外を回ったとはいえ快勝。キャリア2戦でサウジアラビアRCを勝った馬【3-1-1-0】のデータもある。王道ローテを順調に走っており軽視はできない。

以下パンジャタワー、ミュージアムマイル、ランスオブカオスまで印を回す。馬券は◎軸、◯以下相手の3連複で勝負する。

▽朝日杯FS予想▽
◎タイセイカレント
◯トータルクラリティ
▲アルテヴェローチェ
△パンジャタワー
×ミュージアムマイル
×ランスオブカオス

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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