【カペラS】4番人気以内が計9勝 データで優勢なのは3歳馬チカッパ、古馬OP勝利組
勝木淳
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大混戦でも波乱度少
今年11月24日までにJRAでは3000以上のレースが行われた。芝とダートはほぼ同数で(わずかに芝の方が多い)、もっとも多く組まれたのはダート1800m、次が芝2000mで、3番目が芝1800m、芝1200m、ダート1200mと続く。
ダート1200mは多く組まれているイメージだが、実施されない競馬場が札幌、函館、福島、東京、小倉と5場もあり、意外と少ない。施行回数上位に入るダート1800mとダート1200mは重賞が少なく、とりわけ1200mはカペラSしかない。
年に一度のダート短距離重賞とあって、メンバーは毎年豪華。ダートのスプリンターはみんな、このレースを狙っているといっていい。それも舞台は中山ダート1200m。芝スタートから下り坂が続くレイアウトのため、実施される5場のなかでも、もっともスピードが出る設定だ。
GⅠの裏とはいえ、スピード自慢がそろう迫力あるレースは必見。データは過去10年分を使用する。
1番人気は【1-2-1-6】勝率10.0%、複勝率40.0%。こう書くとさぞ荒れそうだが、2番人気【3-2-3-2】勝率30.0%、複勝率80.0%をはじめ、4番人気以内が9勝と穴馬の単勝は期待できない。
10番人気以下【1-2-0-66】勝率1.4%、複勝率4.3%、6~8番人気は複穴に期待できそうだが、大混戦という下馬評であっても、案外荒れない。
3歳が【3-0-1-9】勝率23.1%、複勝率30.8%。上半期は目標がない3歳ダート短距離戦線。下半期に古馬と戦い、重賞出走までたどり着くのは、実力の裏返しでもある。年内最大目標のここでその実力がはじける。そんなイメージだ。
インユアパレス、インビンシブルパパ、ガビーズシスターなどオープン昇級初戦が並ぶ。出走ラインが微妙だが、一発で重賞を手にできるか注目だ。
古馬は4歳【4-3-1-23】勝率12.9%、複勝率25.8%が中心も、5歳【2-2-4-36】勝率4.5%、複勝率18.2%らベテランも馬券圏内に多数入っており、短距離戦とはいえ年齢で切るのは危険だろう。
1200mでOP勝ちの古馬
近況なら3歳チカッパ。前走JBCスプリント2着。北海道スプリントC、東京盃とダートグレードを連勝しており、実績最上位の存在だ。
前走距離から傾向をつかんでみる。同距離【5-7-5-78】勝率5.3%、複勝率17.9%、延長【0-0-0-5】、短縮【5-3-5-46】勝率8.5%、複勝率22.0%。分母が大きい同距離は確率こそ低いが、短縮と互角かそれ以上。まずは前走1200mの好走パターンをつかむ。
クラスを問わず、前走1200mだった馬の着順内訳は1着【3-2-1-22】勝率10.7%、複勝率21.4%とまずは前走勝った馬に注目だ。条件クラス1着は【1-0-1-10】勝率8.3%、複勝率16.7%とトーンダウン。3勝クラスと重賞の壁はレースによって異なるが、さすがに年に1度の重賞となると、壁は自然と高くなる。
昇級初戦の3歳馬は出走枠に入り、この壁を越えられるかどうか。イスラアネーロ、クインズメリッサ、サンライズアムールらOPを突破したばかりの古馬が優勢か。ちなみに、OPの中山ダート1200m1着は【1-0-0-1】、京都なら【1-1-0-6】で、どちらも連勝はある。
一方、1200mで負けた馬も巻き返す。2着【0-3-0-6】、3着【0-0-2-5】、5~9着【2-2-0-16】、10着以下【0-0-2-26】。9着以内はひとつの目安になる。エティエンヌ、クロジシジョー、ハコダテブショウら候補は多い。
短縮は競馬場別で。チカッパの地方は【2-2-1-10】勝率13.3%、複勝率33.3%。JBCスプリントは競馬場によって施行距離が変わる。今年は佐賀1400mだった。前走JBCスプリントかつ短縮は【1-1-1-1】。JBCスプリントに関係なく、前走地方2着の距離短縮は【2-0-0-4】。チカッパは好走条件がそろっている。
2走前の東京盃は外回りの大井1200mらしく前後半600m34.2-37.1の前傾ラップだった。ラップバランスは中山と近い。だが、大井外回りは中山よりも直線は長い。差し届かずといった場面も想定できる。この場合、波乱は前で粘る馬だろう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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