【チャンピオンズC】ロスなく立ち回れる器用さと自在性が武器 京大競馬研の本命はウィルソンテソーロ
京都大学競馬研究会
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レモンポップは連覇で引退の花道を飾れるか
12月1日(日)にチャンピオンズC(GⅠ)が行われる。GⅠ・5勝の国内絶対王者レモンポップをはじめ、JBCクラシック勝ち馬ウィルソンテソーロ、フェブラリーS勝ち馬ペプチドナイルなど豪華メンバーが集結した。
秋のダート王決定戦に相応しい混戦模様の一戦。昨年の勝ち馬であるレモンポップはここを最後に引退が発表されており、連覇で花道を飾れるかも注目となる。
以下では、本レースが行われる中京ダート1800mのコース形態と、それに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
内ラチ沿いを走ることが鉄則
まずは中京ダート1800mのコース形態をみる。ホームストレッチ真ん中よりやや左寄りからスタート。ほぼ平坦な1~2コーナーを回ると、バックストレッチ半ばまで緩やかな上り坂で、そこから3~4コーナーにかけて全て下り坂。また3~4コーナーはスパイラルカーブとなっている。
最後の直線は410.7m。JRAダートでは東京競馬場に次いで2番目に長い。ゴール手前380m地点から220m地点にかけては中山ダートに次いで傾斜がきつい高低差1.8mの急な上り坂。ラスト220mは平坦な直線だ。コーナー4回、坂3回という全体を通してタフなコースレイアウトとなっている。
まず注目すべきは初角までの距離が短いこと。序盤の先手争いは長引きにくく、ペースは上がりにくい。またポジション争いでは内枠の馬が有利だ。その後も平坦な1、2コーナーから緩やかな上り坂となる向正面半ばまでペースは上がりにくい。
ペースアップするのは3コーナー入り口から。ここから最後の直線半ばまで全て下り坂となるため、序盤、中盤で脚を溜めた先行勢が一気に加速していく。直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。加えて3、4コーナーは下り坂かつ急カーブとなっているため、このポジション差を無理に外からマクって埋めに行くと、すごく大きなロスが生まれる。
さらに4コーナーはスパイラルカーブとなっているため、先行勢がスピードに乗ったまま直線に向かうと馬群が一気に広がり、この先行勢のさらに外を回す後方勢はこれだけでもかなり厳しい競馬となる。3、4コーナーで無理に外から位置を上げようとした後方勢はさら厳しく、その時点でほぼノーチャンスと言っていい。
直線も半ばで急な上り坂があり、それを登り切った後も平坦な直線が続くタフなコース形態。全馬終盤の脚色は鈍り、上がりに差が生まれにくい。したがって序盤、中盤で積極的に前に位置を取り、出来るだけ内ラチ沿い走れる器用な先行馬が恵まれやすいというのが、このコースが持つレースの質だ。
<チャンピオンズC 4角6番手以内馬の成績(過去10年)>
【7-5-9-43】勝率10.9%、連対率18.8%、複勝率32.8%、単勝回収率154%、複勝回収率147%
この傾向は数字にも表れている。チャンピオンズCにおける4角6番手以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。馬券内となった30頭中21頭を占めている。また、その中でも内ラチ沿いを走りやすい1~4枠の馬だけでみれば【5-2-5-20】勝率15.6%、連対率21.9%、複勝率37.5%、単勝回収率255%、複勝回収率157%と、さらに数字は上昇する。
ただ、補足しなければならないのは、本レースは国内ダート最上位条件だということ。ダート戦は基本先行有利のため、先行して結果を出してきた実力馬が毎年多く揃う。そのため本レースや上級条件に限れば、圧倒的な先行有利というほどでもない。
むしろ、先行有利なダートで差して結果を出し、ここに出走してくる馬の方が高い地力を持っているとも言える。重要なのは脚質以上に、内ラチ沿いを走れるかということ。ペース次第では道中内で脚を溜めた差し馬にもチャンスはある。
それが過去10年で4角7番手以下から馬券内に入った9頭の好走パターンだ。今回のメンバーでいかに先行馬が揃い、差し馬が好走してくるか。次の展開予想で考察していく。
道中内目で脚を溜めた差し馬が狙い目
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が10頭と、出走馬全16頭に対してかなり多い。これまで書いてきた予想記事の中でも過去最大の先行馬比率だろう。とにかく先行力のあるメンバーが揃っている。またその中には距離延長馬もいる。
絶対にハナまで取り切りたいミトノオーが外枠、最上位のテンの速さを持つクラウンプライド、レモンポップ、ドゥラエレーデが内枠に入った。初角までの距離が短いコース形態とはいえ、内3頭に外からミトノオーが競りかける形で序盤の先手争いは激化する可能性が高く、超ハイペースが想定される。
この展開で恵まれるのは道中内目で脚を溜められる差し馬だ。中団からやや後方の内目で脚を溜め、最後に馬群を捌き、抜け出すような形で速い上がりを使える差し馬が最も展開に恵まれると考える。ただ、内ラチ沿いを走れる器用な先行馬はハイペースでも好走できる。
外からマクっていくような機動力より、道中内で砂を被りながら追走しても物怖じしないタフさを重視して印を打っていく。
堅実な末脚で差し切る
◎ウィルソンテソーロ
前走のJBCクラシックは勝たなければいけない相手関係だったとはいえ、4番手から内を突く競馬で0.8秒差の圧勝。2走前のコリアCは楽逃げを打った勝ち馬を捉えきれずの2着だったが、評価を下げる内容ではなかった。
近8走のGⅠのうち掲示板を外したのは展開不利を受けた今年のフェブラリーSのみ。逃げから差す競馬まで脚質は自在で、国内ダート路線では最上位の能力を持つ。
特に昨年の本レースは超前残り展開の中、ただ一頭4角13番手から大外を伸びて0.2秒差の2着。同2位を0.7秒上回る上がり最速の脚を使った。
ペースが流れる展開は中団から堅実な末脚を使える本馬に間違いなく向く。枠も良く、出たなりで内ラチ沿いのポジションを確保可能。砂被りも全く問題なく、展開利を生かして実力を発揮できれば勝ち負け必至と見て本命を打つ。
◯ハギノアレグリアス
前走シリウスSは内有利な中京コースで最内から馬群を捌く形とはいえ、斤量59.5kgを背負っての完勝。2走前の平安Sは内前有利の展開の中、4角10番手から外を回し、上がり3位の脚を使って0.6秒差7着。近2走は着差以上に評価できる内容だ。
中団から堅実な末脚を使え、砂被りをものともしないタフで器用な馬であり、前走内容からも中京コースとの相性は抜群。2枠3番と枠にも恵まれ、内2頭、外1頭はテンが速い馬であるため、容易に内ラチ沿いを確保できる。前走同様、持ち前の末脚を内から発揮できれば勝ち負けに加わる。
▲サンライズジパング
前走みやこSは初の古馬との対決で終始外を回される厳しい競馬の中、上がり最速の脚で完勝。着差以上に評価できる内容だった。2走前のJDクラシックは実力馬フォーエバーヤング、ミッキーファイトに負けはしたものの、能力の高さを示した。また3走前の不来方賞は鳳雛Sを驚異的なタイムで勝利したカシマエスパーダ相手に圧勝した。
やはり世代屈指の実力がある。初の古馬GⅠであるが、今年の3歳ダート路線のレベルの高さを考えれば余裕で通用するだろう。内に先行馬が並んでおり、外目の枠も大きい不安材料ではない。
△ペプチドナイル
前潰れの展開を4角4番手から勝利したフェブラリーSの内容がかなり優秀。近2走の内容を見ても能力は高い。この内目の枠であれば買わなければいけない一頭だ。
×レモンポップ
実績は今回のメンバーでも随一。展開が向かない中でも好走するだけの地力はある。
×クラウンプライド
前走コリアCは楽逃げであったとはいえ、ウィルソンテソーロに完勝した。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△×馬連5点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。(花田)
▽チャンピオンズC予想▽
◎ウィルソンテソーロ
◯ハギノアレグリアス
▲サンライズジパング
△ペプチドナイル
×レモンポップ
×クラウンプライド
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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