【エリザベス女王杯】展開分析から大波乱の予感 京大競馬研の本命は条件好転のライラック

京都大学競馬研究会

コンクシェルが出走した1800m戦の上位馬の4角通過順位

ⒸSPAIA

展開予想:コンクシェルの逃げは差し決着

11月10日(日)に京都競馬場でエリザベス女王杯(GⅠ)が行われる。ホープフルSを勝ったレガレイラを中心に、府中牝馬S2着のシンティレーションや新潟記念を勝ったシンリョクカなど17頭が集まった。

近年は牝馬のトップホースがジャパンカップや香港に行くようになり、強いメンバーが集まりにくくなっている。今年も少し寂しいメンバー構成で、前走2桁着順の馬も多く能力比較が難しい。その分、2021年のような高額配当が期待できるのも確かだ。今回は展開予想を中心に混戦を抜け出す馬を見つけていく。

今年の出走馬の中で前走逃げた馬はコンクシェル1頭だけ。馬群に入れられず極端な競馬しかできないため、今回も単騎で逃げると予想される。

そこでコンクシェルの直近のレースのうち本レースにより近い距離である1800mだった中山牝馬S、クイーンS、府中牝馬Sのレースラップを調べた。

コンクシェルが出走した1800m戦のレースラップ,ⒸSPAIA


4走前中山牝馬Sのラップが【13.0-12.0-12.4-12.2-11.9-11.3-11.9-11.7-12.6】となっており、前半1000m61秒5の超スローペースを刻んで逃げ切った。残り800mからハロン11秒3を出してペースを上げるが、ここからさらにギアが上がることはなく、坂を登った後のラスト1ハロンは12秒6と完全に脚が上がっている。

相手が手薄だった中山牝馬Sはこれでも勝ち切ることが出来たが、軽斤量3歳馬が出走したクイーンS、格の上がった府中牝馬Sでは馬券に絡めていない。秋華賞シンガリ負けの馬で2200mが合うとは思えず、さらに馬場も先週の雨の影響で荒れているため、中山牝馬Sのようなスローペースになると想定できる。

コンクシェルが出走した1800m戦の1~3着馬通過順位,ⒸSPAIA


ところが先述した重賞3戦の好走馬は差し馬が多い。スロー=前残りのイメージに反する結果だ。これは前半のペースが遅すぎる上に道中のスピードアップも緩いことが原因で、瞬発力のある馬が簡単に道中でポジションアップできるからと考える。上がりの速かった府中牝馬Sは鋭い末脚のない先行馬は総崩れだった。

今回の予想は荒れた馬場にも対応できる差し馬を中心に組み立て、外枠を引いた馬は評価を上げる。

連続好走のレースで一変に期待

◎ライラック
前走の府中牝馬Sは見せ場なしの13着だったが、休み明けでプラス18kg、スピードが問われる東京は合うはずもなく叩きと考えてよい。

本レースは2、4着と結果を出しており舞台替わり、距離延長は好材料。2回とも雨の影響が残る荒れ馬場で健闘していることから今の馬場もプラスだ。

今回の内枠は痛いが、人気が下がる点は良い方向に考えたい。無理にイン突きをすることなく、外を回してのびのび走る方が好走の可能性は高い。

◯ハーパー
昨年の牝馬三冠全てで4着以内に入り、エリザベス女王杯も3着。実力は最上位で能力通り走れば今年のメンバーなら突き抜ける。

問題はメンタル不調を起こしてしまった点にある。府中牝馬Sも一切抵抗することなくシンガリ負け。本来買うつもりはなかったが、他馬の影響が少ない外枠はプラスと判断して印を回した。

武豊騎手は力の足りない馬や、メンタル不調の馬に乗った際は最後だけ頑張らせて見せ場を作ることがある(2019年のジャパンCマカヒキ、2021年の有馬記念アリストテレス等)、レース途中からでも馬に気合いが入れば一変する可能性があり、ブリンカーの効果にも期待したい。

▲シンティレーション
府中牝馬Sは上がり最速タイで追い込んで2着。馬場が良かったことを考慮しても32秒8は驚きで、ここに来て馬が急激に成長している。

今年の馬場であれば外枠もプラス。ギリギリまで溜めて最後に外を通る競馬が出来れば2200mにも問題なく対応できる。ただ、鞍上のマーカンド騎手は日本の重賞では展開をあまり考えずに乗る印象があり、この点が心配だ。

△ルージュリナージュ
府中牝馬Sは上がり32秒9で追い込んで5着と見せ場を作った。2000mのローズSで不向きな展開を頑張って6着まで追い上げたことや、東京芝2000mで圧倒的人気に応えて勝利した経験から、距離延長はプラスに出ると考える。

×モリアーナ
府中牝馬S8着。一瞬しか脚を使えない馬で、直線が長い東京は合わなかった。稍重馬場の秋華賞5着、不良馬場のAJCC4着で、ライラックと同様に今の馬場と距離延長は向く。

×キミノナハマリア
前走は2600mのOP3着でスタミナ豊富なところをみせた。荒れ馬場はプラスだが末脚に欠ける。早め先頭ならチャンスあり。

×シンリョクカ
新潟記念を勝ってここに参戦。稍重馬場だった中山牝馬Sはスローながら差を詰め切れなかった点を見ると荒れ馬場は苦手な印象だ。

馬券はどれが勝ってもプラスが確定する◎〇▲の単勝と、三連複ボックス35点で勝負する。順番を当てるのは難しいため馬単、三連単には手を出さない。ただ三連複でも超高配当が期待できる。

記事執筆を初めて4年、ここまでの荒れ予想は最初で最後になるだろう。見事的中させて読者の皆様に還元したい。(文:福山)

エリザベス女王杯 予想印
◎ライラック
◯ハーパー
▲シンティレーション
△ルージュリナージュ
×モリアーナ
×キミノナハマリア
×シンリョクカ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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