【武蔵野S】エンペラーワケアが挑む“200m”の壁 ペリエールらグリーンCC組は取り扱い注意

勝木淳

過去10年のデータから見る武蔵野S,ⒸSPAIA

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目指すはフェブラリーS

秋の東京、土曜日は2歳重賞を中心にGⅠの前哨戦がつづく。武蔵野SもチャンピオンズC挑戦をかけた重賞だが、前走武蔵野Sは過去10年で【0-2-0-25】。好走2頭も寂しいが、そもそも出走する馬が少ない。21と23年は1頭だけ。22年も3頭だった。

ダート界の主力はマイルCS南部杯やJBC、ブリーダーズCへ回り、ここはその下に位置する馬たちによる争いだが、真の狙いはチャンピオンズCではなく、来年2月フェブラリーSにある。2年前2着に敗れたレモンポップは根岸Sを経て、フェブラリーSでGⅠタイトルを射止めた。他場とは明らかに異なる形状の東京ダート。その象徴といっていいダート1600mは馬によって好き嫌いがはっきり出る。

東京ダートGⅠは東京ダート重賞から。ユニコーンSが京都に移り、根岸Sと武蔵野Sは東京を得意とする若駒にとっても最初の目標といってもいい。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【1-2-1-6】勝率10.0%、複勝率40.0%は不安な数字だが、2番人気【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%で3番人気も【2-0-0-8】勝率・複勝率20.0%なので、上位人気はまずまず。ただ、JBCなどダートのビッグレースが多い時期でもあり、強力な実績馬が出てこないケースが多いため、6~9番人気も各1勝と適性を武器に穴馬も走る。10番人気以下も【0-1-3-64】複勝率5.9%。2、3着に大穴が入る可能性もある。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢では6歳【4-1-2-25】勝率12.5%、複勝率21.9%が目立つ。3番人気が2勝、残りは8、9番人気が各1勝と穴気配も強い。2ケタ人気3着3頭のうち2頭が6歳。年齢的に厳しいと切り捨てるのは危険で、むしろ6歳の人気薄は買いたいぐらいだ。5歳【2-4-3-35】勝率4.5%、複勝率20.5%も上位人気は当然として、こちらも6、7番人気や2ケタ人気で走っており、総じてダート重賞常連組から穴が出る。

グリーンCCは距離変化に注意

根岸Sを勝ったエンペラーワケア、カズペトシーン、ショウナンライシンら4歳に対しペイシャエス、サヴァといった5、6歳がどこまで対抗できるか。適性を重視しつつ、確実に穴馬も仕留めよう。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走地方【6-4-1-21】のうち、マイルCS南部杯は【2-3-0-12】勝率11.8%、複勝率29.4%。4着以内【2-2-0-6】でキタノヴィジョンは候補だ。マイルより長い距離に良績が集まるスタミナ型だが、前走はマイルでしぶとく伸びた。

レモンポップとペプチドナイルが後ろをどんどん離していく展開になり、3着争いがスタミナ勝負になったのも大きかった。東京だと切れ味で劣る印象だが、前走と同じく最後に時計を要する形にさえなれば、突っ込んでくる。

JRA重賞ではサヴァやペイシャエスの前走エルムSは【0-0-2-9】複勝率18.2%。勝ち馬ペイシャエスは小回り1700mとの相性は必ずしもよくないが、ユニコーンSの勝ち馬でもある。東京はそれ以来の出走であり、適性がハマる可能性は捨てられない。

前走グリーンチャンネルC・着順別成績,ⒸSPAIA


前走OP・L【4-4-4-62】勝率5.4%、複勝率16.2%は秋開催東京のグリーンCCが【3-0-3-26】。こう書くとゴルフ場(カントリークラブ)のようで違和感がある。実際、名古屋や埼玉にグリーンカントリークラブは実在する。混同してはいけないので、グリーンチャンネルCと記す。

その着順内訳は3着以内【3-0-2-9】、4着【0-0-1-2】で5着以下【0-0-0-15】。なにはともあれ重賞挑戦にあたり、好走は条件だ。ショウナンライシン、ペリエールは狙いごろだろう。

だが、ここまで書いておいてなんだが、グリーンチャンネルCは1400m【2-0-3-19】勝率8.3%、複勝率20.8%に対して1600m【1-0-0-7】勝率・複勝率12.5%。2022年から同じマイルになり、ちょっとつながらなくなっている。好相性だと飛びつきにくくなりつつある。

前走1400m・OP/L・着順別成績,ⒸSPAIA


1400mだったグリーンチャンネルCも入っているので強調しづらいところだが、前走1400mのOP・L経由について傾向をみる。

やはり総じて4着以内には入っておきたい。5着以下からの巻き返しはない。エニフS組のエンペラーワケアも出番はありそう。根岸Sの勝ち馬であり、東京適性は文句なし。残るは距離だろう。1400m巧者にとって200mの延長は壁だったりもする。

過去10年のデータから見る武蔵野S,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。

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