【フェブラリーS】ルメール騎手の狙い目は乗り替わり 東大HCが東京ダ1600mを徹底解析
東大ホースメンクラブ
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コース分析
今週は東京ダ1600mを舞台に、年内最初のJRA・GⅠフェブラリーSが行われる。春秋ダート王者のレモンポップ、東京大賞典を連覇したウシュバテソーロがサウジへ飛び、3連勝で根岸Sを圧勝した新星・エンペラーワケアも回避とあって混戦模様に。同コースのグリーンチャンネルCを好時計で制したオメガギネスや、2戦連続ダートGⅠ馬券内のウィルソンテソーロ、ドゥラエレーデが中心のメンバー構成だ。
当該コースが舞台の重賞は3レース。グレード順に今週のGⅠフェブラリーS、GⅢは3歳限定戦のユニコーンS(2024年は京都開催)、チャンピオンズCの前哨戦である武蔵野Sが行われる。コースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは2019年2月16日〜2024年2月11日)。
まずはコース紹介。2コーナー奥の芝をスタートし、そのまま150mほど芝を走る。コースレイアウト上、内枠に比べて外枠の馬のほうが芝を走る距離が長く、スピードに乗りやすい。向正面を上って3コーナーで緩やかに下り、4コーナーからダートコースでは日本一長い500mを超える直線を走り抜ける。大箱を生かしたワンターンの形態だ。
芝スタート、外枠有利
<過去5年の東京ダ1600m・枠別成績>
1枠【52-54-38-756】勝率5.8%/連対率11.8%/複勝率16.0%
2枠【60-64-61-779】勝率6.2%/連対率12.9%/複勝率19.2%
3枠【63-59-59-826】勝率6.3%/連対率12.1%/複勝率18.0%
4枠【57-64-71-862】勝率5.4%/連対率11.5%/複勝率18.2%
5枠【59-80-78-860】勝率5.5%/連対率12.9%/複勝率20.1%
6枠【86-82-91-840】勝率7.8%/連対率15.3%/複勝率23.6%
7枠【83-76-75-885】勝率7.4%/連対率14.2%/複勝率20.9%
8枠【104-83-92-836】勝率9.3%/連対率16.8%/複勝率25.0%
中央ダートのチャンピオンコースながら芝スタートといういびつな設定で、スピードの出やすい芝コースを長く走れる外枠有利の傾向が強い。特に外枠に入った逃げ馬、先行馬は要マーク。7、8枠×逃げ【20-16-10-64】勝率18.2%、単勝回収率318%、7、8枠×先行【104-64-66-382】勝率16.9%、単勝回収率118%とベタ買いするだけでプラスだ。
過去10年のフェブラリーSでも2014年に16番人気で勝ったコパノリッキーが7枠13番、2020年に同じく16番人気で2着に激走したケイティブレイブが8枠15番と穴を提供しており、好枠を引き当てた馬は必ずチェックしておきたい。
<過去5年の東京ダ1600m・脚質別成績>
逃げ【80-73-53-357】勝率14.2%/連対率27.2%/複勝率36.6%
先行【252-218-194-1379】勝率12.3%/連対率23.0%/複勝率32.5%
差し【176-203-230-2461】勝率5.7%/連対率12.3%/複勝率19.8%
追込【55-68-88-2437】勝率2.1%/連対率4.6%/複勝率8.0%
脚質別では逃げ>先行>差し。ただし直線の長い東京コースらしく逃げと先行の成績にはそれほど差がなく、控えて競馬をするタイプも十分にチャンスがある数字だ。極端な馬場にならない限り、脚力さえあればポジションは問わない。また、上がりを使える馬がとにかく強く、上がり3F最速を記録した馬は勝率35.4%、複勝率65.4%、単勝回収率420%、複勝回収率220%という驚異的な成績だ。
過去10年のフェブラリーSでは逃げ【1-1-0-8】複勝率20.0%、先行【6-1-2-31】複勝率22.5%、差し【2-6-4-45】複勝率21.1%と一層フェアな数字に。最高峰の舞台では位置取りよりも末脚の重要性が増しており、上がり3ハロン最速が【2-5-3-1】複勝率90.9%とほとんど馬券圏内を外していない。迷ったら末脚自慢一択だ。
乗り替わりに強いルメール騎手
<過去5年の東京ダ1600m・種牡馬別成績>
ヘニーヒューズ【44-43-46-232】勝率12.1%/連対率23.8%/複勝率36.4%
ロードカナロア【22-13-19-150】勝率10.8%/連対率17.2%/複勝率26.5%
ドゥラメンテ【17-12-12-94】勝率12.6%/連対率21.5%/複勝率30.4%
ドレフォン【16-13-10-98】勝率11.7%/連対率21.2%/複勝率28.5%
種牡馬別成績ではヘニーヒューズが無二の立ち位置を確保している。44勝は2位のロードカナロア(22勝)を大きく引き離し、全体の複勝回収率98%も高水準。また前走が芝だと【1-5-1-6】で複勝率53.8%、複勝回収率151%と妙味十分。ダート替わりは必ずヒモに入れておきたい。ただ、GⅠでは【0-0-0-5】と、サンプルは少ないが一頭も馬券に絡めていない。
2位は22勝でロードカナロア。良馬場よりも稍重や重といった湿ったダートでパフォーマンスを上げる産駒が多い。良馬場【9-4-12-81】勝率8.5%、単勝回収率58%に対して、稍重【7-3-5-35】勝率14.0%、単勝回収率92%、重【5-5-1-26】勝率13.5%、単勝回収率176%だ。GⅠではレッドルゼルが23年に3番人気で2着に入っている。
3位は17勝でドゥラメンテ。芝馬の印象が強い同産駒であるが、新馬戦からダートを使われている馬には要注目。【2-3-1-9】で複勝率40.0%、複勝回収率103%とベタ買いするだけでプラスだ。また、初ダートよりはダート2戦目以降を狙うのがオススメ。前走芝は【3-2-3-29】勝率8.1%に対して、前走ダートは【12-7-7-55】勝率14.8%と6.7%もの差がついている。継続してダートを使われている産駒を狙いたい。ちなみにGⅠにはまだ出走例がない。
4位は16勝でドレフォン。こちらはダート替わりを積極的に狙っていきたい。前走芝は【2-1-1-13】で勝率11.8%、単勝回収率159%とプラス域をマーク。また冬のタフな馬場が合うのか、1-3月は【6-1-2-21】で勝率20.0%、単勝回収率242%と非常に優秀な成績。4-6月は単勝回収率24%、10-12月は同43%であるため、これらと比較すると冬ダートへの適性の高さが際立つ。今の時期がまさに狙い目だ。なおこちらもGⅠには出走例がない。
今年のフェブラリーSでは、セキフウやタガノビューティーがヘニーヒューズ産駒、レッドルゼルがロードカナロア産駒、ドゥラエレーデやシャンパンカラーがドゥラメンテ産駒。ほか、ミックファイアやキングズソードが該当するシニスターミニスター産駒は【10-12-14-122】で複勝率22.8%、ウィルソンテソーロやガイアフォースが該当するキタサンブラック産駒は【3-2-4-9】で複勝率50.0%、オメガギネスが該当するロゴタイプ産駒は【1-2-1-26】で複勝率13.3%だ。
<過去5年の東京ダ1600m・騎手別成績>
ルメール【63-47-35-133】勝率22.7%/連対率39.6%/複勝率52.2%
戸崎圭太【42-35-29-195】勝率14.0%/連対率25.6%/複勝率35.2%
田辺裕信【37-33-23-202】勝率12.5%/連対率23.7%/複勝率31.5%
騎手別成績トップはC.ルメール騎手。20年はモズアスコット、21年はカフェファラオでフェブラリーS連覇を果たしている。1枠では【6-4-5-20】で単勝回収率48%と妙味が無くなるので、逆らうならここだろう。また、継続騎乗よりも乗り替わりが狙い目。継続騎乗では【22-28-13-59】で勝率18.0%、単勝回収率52%なのに対し、乗り替わりだと【36-18-17-61】で勝率27.3%、単勝回収率82%と好走率、妙味ともにアップする。
2位は戸崎圭太騎手。平場に比べて、重賞を除いたオープンの成績が抜群に良いのが特徴だ。リステッドを含むオープンでは【5-1-1-12】で勝率26.3%、単勝回収率115%と黒字域をマーク。また8枠とそれ以外での成績差が大きく、8枠以外では勝率11.5%、複勝率32.4%なのに対し、8枠では勝率30.8%、複勝率53.8%を記録している。
3位は田辺裕信騎手。14年のフェブラリーSを16番人気のコパノリッキーで制し、GⅠ初制覇を果たしている。そんなコパノリッキー産駒とのコンビでは【3-0-0-3】で単勝回収率1726%を記録。今後も要注目の組み合わせだ。また、1番人気に騎乗した際は【10-7-4-8】で複勝率は72.4%。これはルメール騎手を上回る成績であり、人気馬に騎乗した際は信頼したい。
今年のフェブラリーSでは、ルメール騎手がオメガギネスに騎乗予定。戸崎騎手からの乗り替わりはデータ上ではプラスだが、今回はどう転ぶかに注目だ。そのほかウィルソンテソーロに騎乗予定の松山弘平騎手は【9-10-8-49】で複勝率35.5%、ドゥラエレーデに騎乗予定のB.ムルバザエフ騎手は【0-1-0-2】で複勝率33.3%、キングズソードに騎乗予定の岩田望来騎手は【5-8-7-49】で複勝率29.0%だ。
《ライタープロフィール》
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約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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