改修後の京都芝2000mで川田将雅騎手は複勝率88% 東大HCがコースデータを検証

東大ホースメンクラブ

京都芝2000mコース図,ⒸSPAIA

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コース紹介

京都芝2000mは牝馬三冠のGⅠ秋華賞とGⅢ京都2歳Sの2つの重賞が開催されるコース。どちらも世代限定重賞だが、GⅠである前者はもちろん、京都2歳Sも菊花賞馬ワールドプレミアやダービー馬ダノンデサイルなどを輩出した重要なレースだ。

スタート地点はメインスタンド前。Aコース時は1コーナーまでの距離が約300mある。1コーナーから2コーナーにかけては平坦。その先にある約400mのバックストレッチで高低差3.1mの坂を上った後、3〜4コーナーにかけて下ってゆく。最終直線は再び平坦となり、Aコース時の長さは328.4m。中山コースに次ぐ短さとなっている。

小回り≠内枠有利

京都競馬場改修後の2023年4月22日〜2024年6月23日のデータを基にコース傾向を紹介する。なお、京都競馬場には芝2000mの外回りコースも存在するが、1993年のローズSを最後に、使われたことはない。

京都芝2000m 競馬場改修後の枠別成績,ⒸSPAIA


<京都芝2000m 競馬場改修後の枠別成績>
1枠【3-9-7-55】
勝率4.1%/連対率16.2%/複勝率25.7%/単回収率18%/複回収率51%
2枠【7-6-7-57】
勝率9.1%/連対率16.9%/複勝率26.0%/単回収率26%/複回収率41%
3枠【8-7-11-56】
勝率9.8%/連対率18.3%/複勝率31.7%/単回収率54%/複回収率62%
4枠【14-6-4-61】
勝率16.5%/連対率23.5%/複勝率28.2%/単回収率95%/複回収率64%
5枠【10-12-4-67】
勝率10.8%/連対率23.7%/複勝率28.0%/単回収率85%/複回収率131%
6枠【5-9-12-71】
勝率5.2%/連対率14.4%/複勝率26.8%/単回収率41%/複回収率86%
7枠【11-6-12-83】
勝率9.8%/連対率15.2%/複勝率25.9%/単回収率80%/複回収率70%
8枠【7-10-8-88】
勝率6.2%/連対率15.0%/複勝率22.1%/単回収率56%/複回収率96%

まずは枠別成績について。複勝率ベースで見ると中枠が好調で、内枠と大外枠が成績を落としている。極端な枠はやや割引が必要だ。注目すべきは内枠の回収率が低い点。京都芝2000mは小回りコースとあって内枠有利と思われがちだが、実際の傾向は逆。「小回り=内枠有利」のイメージで内枠の馬が人気してしまうため、回収率が低くなっている。馬券的には買いづらいことを覚えておきたい。

京都芝2000m 競馬場改修後の脚質別成績,ⒸSPAIA


<京都芝2000m 競馬場改修後の脚質別成績>
逃げ【11-7-9-38】
勝率16.9%/連対率27.7%/複勝率41.5%/単回収率271%/複回収率154%
先行【34-31-23-134】
勝率15.3%/連対率29.3%/複勝率39.6%/単回収率69%/複回収率87%
差し【11-20-24-174】
勝率4.8%/連対率13.5%/複勝率24.0%/単回収率16%/複回収率76%
追込【6-6-7-180】
勝率3.0%/連対率6.0%/複勝率9.5%/単回収率21%/複回収率29%
マクリ【3-1-2-12】
勝率16.7%/連対率22.2%/複勝率33.3%/単回収率126%/複回収率247%

次に脚質別の成績について。こちらは最終直線が短いこともあって、逃げ、先行が優勢となっている。狙い目は外枠の逃げ馬。7、8枠に入った馬が逃げた場合は【4-1-1-10】勝率25.0%、単回収率600%と素晴らしい成績を叩き出している。

ただし、3勝クラス以上の上級条件では、逃げ【2-1-0-9】複勝率25.0%、先行【5-3-4-29】同29.3%、差し【4-7-7-43】同29.5%。先行勢と差し馬の差がグッと詰まってほぼ互角となる。上がり3F1位【2-5-2-6】複勝率60.0%のデータが示しているように、厳しいペースになりやすい上級条件では末脚が重要になってくる。


川田将雅騎手×◯◯で複勝率100%

京都芝2000m 競馬場改修後の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<京都芝2000m 競馬場改修後の種牡馬別成績>
キズナ【10-2-1-37】
勝率20.0%/連対率24.0%/複勝率26.0%/単回収率152%/複回収率55%
レイデオロ【4-1-2-14】
勝率19.0%/連対率23.8%/複勝率33.3%/単回収率359%/複回収率128%
サトノダイヤモンド【4-1-1-11】
勝率23.5%/連対率29.4%/複勝率35.3%/単回収率178%/複回収率58%

次に種牡馬別成績を見ていく。勝利数トップはキズナの産駒。2位のレイデオロに6勝差をつけており、抜群のコース適性を示している。重賞では、変則開催で京都開催となったマーメイドSをアリスヴェリテが勝利。多くの条件で回収率プラスと、見かけたら即買いレベルなのだが、未勝利戦で【0-0-0-10】と一度も馬券に絡めていない点には注意だ。

レイデオロの産駒は苦戦が続いているが、当該コースの適性は高い。8枠だと【1-1-1-1】。8頭立ての新馬戦で7番人気のサンライズアースが勝利したことで単回収率は1257%となっている。現状では気性に課題のある産駒が多いイメージで、馬群に包まれる心配がなくのびのびと競馬ができる大外枠の恩恵は大きいのかもしれない。

3位はサトノダイヤモンドの産駒。前走からの距離短縮だと【2-0-0-3】単回収率は438%を記録している。また、前で粘る競馬を得意とする産駒が多く、前走先行した馬は【3-1-0-3】勝率42.9%、単回収率382%。妙味と安定感の両方を兼ね備えている。

ほか、エピファネイアの産駒は【1-4-3-38】複勝率17.4%、複回収率23%と苦戦している。反対にハービンジャーの産駒は【2-11-2-25】複勝率37.5%。勝ちきれない面はあるが穴馬が度々好走しており、複回収率144%と妙味は十分だ。

京都芝2000m 競馬場改修後の騎手別成績,ⒸSPAIA


<京都芝2000m 競馬場改修後の騎手別成績>
川田将雅【11-7-4-3】
勝率44.0%/連対率72.0%/複勝率88.0%/単回収率106%/複回収率131%
岩田望来【9-2-1-29】
勝率22.0%/連対率26.8%/複勝率29.3%/単回収率147%/複回収率89%
坂井瑠星【5-2-3-22】
勝率15.6%/連対率21.9%/複勝率31.3%/単回収率90%/複回収率65%

最後は騎手別成績を確認する。勝利数トップは川田将雅騎手で、複勝率はなんと8割超え(京都巧者で知られる武豊騎手でも【5-1-1-5】勝率41.7%、複勝率58.3%)。2番人気以下(6番人気以下は該当馬なし)に騎乗すると【2-4-3-0】複勝率100%、9戦してすべて3着以内に入っている。マークする側に回った川田騎手は恐ろしいほど強い。

2位は岩田望来騎手。差し馬での信頼度が高く【3-2-1-4】複勝率60.0%、複回収率187%を記録している。また、騎乗馬が上がり最速をマークした場合は【5-1-0-2】勝率62.5%、単回収率396%と抜群だ。末脚自慢とタッグを組んだ際は必ず買い目に入れておこう。

3位の坂井瑠星騎手は先行馬での信頼度が高く【3-2-1-11】勝率17.6%、単回収率139%と黒字域だ。先行意識が強く、不利な内枠も苦にしない。1、2枠では【1-0-2-1】複回収率172%を記録している。

ほか、リーディング上位のC.ルメール騎手は【1-3-2-3】複勝率は66.7%。ここでも安定感が光っている。

京都芝2000mのコースデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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