【府中牝馬S】実績よりも勢いが大事 前走重賞2着と勢いに乗るコスタボニータに注目

貴シンジ

府中牝馬Sの前走着順別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は10月14日(月)東京競馬場で行われる府中牝馬Sについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった17頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:クラスに関わらず前走連対馬が好成績

前走着順別成績,ⒸSPAIA


府中牝馬SはGⅡだが、春のGⅠを走っていた馬、夏に重賞やOP・Lで活躍した馬、3勝クラスから挑戦してくる馬など、前走で様々なクラスを走ってきた馬が出走してくる。

牝馬限定戦ということもあり、重要視したいのはこれまでの実績よりも勢い。それはデータにも表れており、前走で連対していた馬の成績は【8-3-1-26】で単勝回収率309%、複勝回収率93%となっている。

前走3~5着だった馬の成績は【1-4-3-29】で単勝回収率21%、複勝回収率41%。6着以下の着順だった馬の成績は【1-3-6-52】で単勝回収率14%、複勝回収率55%と振るわない。回収率だけでなく、全ての率で前走連対している馬が好成績だ。

今回上位人気が予想されるフィアスプライドは春にヴィクトリアマイル2着の実績があるが、前走は安田記念7着。マスクトディーヴァに関しても昨年の秋華賞2着、阪神牝馬S勝ちの実績はあるが、前走ヴィクトリアマイルは3着で連対をはずしている。

【前走連対している出走予定馬】
・コスタボニータ
・シンティレーション
・ブレイディヴェーグ

前走内容:コスタボニータの小倉記念

コスタボニータの前走は小倉記念2着。ハンデ戦で斤量は56kg。牝馬で実質的にはディープモンスターの58.5kgに次ぐハンデを見込まれていたと言える。

レースは前半5F57.6秒、後半5F58.9秒も逃げたテーオーシリウスが飛ばしたこともあり、後続馬群は前後傾ほとんどなく走っていた。

レースは早めに仕掛ける馬が多かったなか、最後まで仕掛けを待った川田将雅騎手のリフレーミングが勝利。コスタボニータ以外の掲示板内は全て差してきた馬たち。レース全体の動き出しが早かったことで、番手追走していた本馬にとっては少し厳しい流れだった。

勝ったリフレーミングとはクビ差だったことから、ハンデが違えば逆転していた可能性もある。また今年の小倉記念は勝ち時計1分56秒5のレコード。高速馬場だったこともあるが、優秀な時計であることは間違いない。

なにより本馬にとっては高速馬場にしっかり対応したことが大きい。高速馬場が予想される今回の東京競馬場も十分に対応できるだろう。昨年より勢いのあるローテで、実績ある上位人気馬たちに挑む。

血統解説:コスタボニータ

コスタボニータの血統表,ⒸSPAIA


・コスタボニータ
日本での牝祖は母レディイン。同馬は競走馬としても実績を残しているが、重賞制覇には至らなかった。ただ繁殖としては非常に優秀。本馬の他に阪神牝馬SやクイーンC2着のイチオクノホシ(父ゼンノロブロイ)を輩出した。また同馬は今年のフェアリーS勝ち馬イフェイオン(父エピファネイア)を出しており、牝系として勢いが出てきている。

フランスのファミリーらしく一気にギアを上げ、切れるというよりはジワジワと脚を使うのが本馬の特徴。牝馬であれば芝のマイル~2000mくらいを主戦場とするタイプが多い。 本馬の父はイスラボニータ。5代アウトの配合もイスラボニータと母のタイプが似ており、粘り強さとジワジワとした脚が本馬の特徴だ。

前走は2000mだったが、福島牝馬S勝ちや初音S勝ちの実績からも分かる通り、ベストは1800m。今回好走すれば次走エリザベス女王杯の可能性もあるが、レースレベルを度外視しても今回の方が条件は良い。買うとしたら今回だ。

Cアナライズはコスタボニータを推奨

今回のCアナライズではコスタボニータを推奨する。今年の上位人気想定馬には実績のあるタイプが多いが、勢いなら本馬が一歩リードだ。

ブレイディヴェーグは前走が去年のエリザベス女王杯勝ち。こちらは好走データに該当して実力も十分だが、今回は約1年ぶりのレースで軸としての信頼度は下がる。実績のある馬に隠れてそこまで人気しないであろうコスタボニータは好走データ、前走内容、血統面から見ても買い要素があり、狙いたい一頭だ。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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