【秋華賞】クロノジェネシス、ジェンティルドンナ…「ノーザンF生産馬」が28戦12勝 牝馬三冠最終戦の「記録」を振り返る

緒方きしん

秋華賞に関する「記録」,ⒸSPAIA

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勝ち馬28頭のうち12頭がノーザンファーム生産馬

今週は秋華賞が開催される。初代女王のファビラスラフインから始まり、過去にはファレノプシスやブゼンキャンドル、ファインモーションなどが勝利してきた。牝馬三冠の最終戦として、競馬ファンの注目が集まる一戦。今回は秋華賞の記録を振り返る。

今年29回目を迎える秋華賞だが、過去の勝ち馬28頭のうち12頭がノーザンファーム生産馬だ。2位の社台ファーム生産馬が3勝であることからも圧倒的な成績といえる。2008年ブラックエンブレムの勝利に始まり2023年リバティアイランドまで多くの勝利を積み上げた。リバティアイランドだけでなくアパパネ、アーモンドアイ、ジェンティルドンナと三冠牝馬に輝いた名馬を4頭も送り出しており、アパパネは2021年アカイトリノムスメで秋華賞の母娘制覇も達成した。

そのノーザンファーム生産馬からピックアップしたいのはクロノジェネシス。通算GⅠ・4勝を挙げる名牝のGⅠ初制覇は秋華賞だった。2、3歳シーズンは阪神JFで2着、桜花賞、オークスで3着と悔しいレースが続いていたが、秋華賞で2馬身差の快勝。以降は4歳時に宝塚記念、有馬記念を制覇、5歳になってからも宝塚記念を制して、牝馬では初のグランプリ3連覇を達成するなど牡馬顔負けの活躍を見せた。2021年には道悪巧者の面も買われて凱旋門賞に挑戦。7着に敗れたが、堂々の競馬だった。ラストランの有馬記念でも3着。とにかくグランプリに強いタフな牝馬として歴史に名を残した。

クロノジェネシスは前走から20kg増で秋華賞を勝利したが、これは歴代秋華賞馬における最大の馬体重増でのものだった。他にもアーモンドアイ、デアリングタクトが14kg増、ディアドラが12kg増、リバティアイランドが10kg増と名牝がズラリと並ぶ。ちなみに、1番人気で秋華賞を制した馬は過去に9頭いるが、6頭は馬体重増で勝利。馬体重減で制した1番人気馬は全て4kg減と、大幅に減らした馬はいなかった。

逆に最も馬体重を減らして勝利したのは、2000年10番人気のティコティコタック。この年は1番人気シルクプリマドンナの単勝オッズが4.2倍と混戦ムード漂う一戦で、10番人気馬でも単勝オッズは20倍台だった。

近年こそ堅い決着が多いものの、2000年頃は波乱が多かった秋華賞。勝ち馬の単勝オッズが高い順でランキングにすると、3位が前述のティコティコタック(10番人気27.1倍)、2位がブラックエンブレム(11番人気29.9倍)、1位が1999年のブゼンキャンドル(12番人気57.6倍)となる。

ブゼンキャンドルが勝利した年は2着が10番人気クロックワークで、馬連は946.3倍と高い配当がついた。3着は2番人気ヒシピナクル(1番人気トゥザヴィクトリーは13着)。この時代に3連単があれば100万円超えの配当になっていたかもしれない。


産駒勝利ランキング1位はディープインパクト

ティコティコタックはサッカーボーイ産駒、ブラックエンブレムはウォーエンブレム産駒、ブゼンキャンドルはモガミ産駒と、個性派種牡馬の産駒が活躍するケースもある。

しかし、勝ち馬を種牡馬別でランキングにするとサンデーサイレンス、キングカメハメハが各2頭で2位タイ、ディープインパクトが5頭で1位と見慣れた並びになっている。ディープインパクト産駒の勝ち馬ではノーザンファーム産が4頭、白老ファーム(社台系)産が1頭と顕著な傾向が出ている。

その「ディープインパクト産駒×ノーザンファーム産」の秋華賞馬であるジェンティルドンナは上がり33.1での勝利。これは上がり3Fの速さで歴代トップである。2位は同じ組み合わせのヴィブロスが記録した33.4となっている。

レースレコードにおいても、「ディープインパクト産駒×ノーザンファーム産」のミッキークイーンがマークした1:56.9。今後出てくることはないが、ディープインパクト産駒は秋華賞と非常に相性がよかった。後継種牡馬の産駒たちにも期待したい。

秋華賞の「2着」を出している種牡馬ランキングでは、3位タイがサンデーサイレンス、ダンシングブレーヴ、ダンスインザダークの2頭、2位がハーツクライの3頭、1位はディープインパクトの5頭。3着馬の父としては2位タイがディープインパクト、トニービン、ブライアンズタイムの2頭、1位はキングカメハメハの4頭となっている。

1、2着馬数ではトップのディープインパクトも、3着馬の数では2位タイに後退。キングカメハメハ産駒が、2012年アロマティコ、2014年タガノエトワール、2015年マキシマムドパリと、4年で3頭が馬券圏内に入り意地を見せた。

今年はどこの生産馬、どの種牡馬の産駒が秋華賞を制するだろうか。マイナー系の逆襲か王道の勝利か──。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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