2024年新種牡馬の結果分析 「サートゥルナーリア×2戦目」複勝率50.0%、単回率110%など好条件発見
東大ホースメンクラブ
ⒸSPAIA
9月終了時点の新種牡馬成績を確認
今週末は東京競馬場でGⅢサウジアラビアロイヤルカップが開催される。前走を7馬身差で完勝して臨む超良血馬アルレッキーノ、新馬戦で3着以下を5馬身引き離してワンツー決着だったアルテヴェローチェとヒシアマンなど、暮れの2歳GⅠに向け楽しみな馬たちが集結した。
今週から2歳重賞戦線が本格的にスタートする。そこで今回は「2024年の新種牡馬たち」をテーマにデータ分析を行っていく(データは2024年9月29日時点)。
サートゥルナーリア産駒が最多勝
<2024年 主な新種牡馬の全体成績>
サートゥルナーリア【12-5-4-35】
勝率21.4%/連対率30.4%/複勝率37.5%/単回収率76%/複回収率63%
アドマイヤマーズ【10-8-4-28】
勝率20.0%/連対率36.0%/複勝率44.0%/単回収率79%/複回収率76%
ナダル【9-9-4-30】
勝率17.3%/連対率34.6%/複勝率42.3%/単回収率40%/複回収率58%
タワーオブロンドン【6-4-5-44】
勝率10.2%/連対率16.9%/複勝率25.4%/単回収率69%/複回収率64%
ルヴァンスレーヴ【4-6-2-48】
勝率6.7%/連対率16.7%/複勝率20.0%/単回収率34%/複回収率165%
モズアスコット【4-5-3-27】
勝率10.3%/連対率23.1%/複勝率30.8%/単回収率26%/複回収率67%
ウインブライト【3-2-11-58】
勝率4.1%/連対率6.8%/複勝率21.6%/単回収率127%/複回収率54%
まずは新種牡馬たちの全体成績を確認する。
最多の産駒勝利数を記録しているのは、現役時代に無敗で皐月賞を制したサートゥルナーリア。複勝率は3割の大台に乗っており、先日の新潟2歳Sではコートアリシアンが2着に入った。産駒は1200~2000mで勝利を挙げ、幅広い距離適性を示している。9月に入ってからも4勝を挙げており、この秋にデビューする産駒たちにも注目だ。
勝利数2位は、香港マイルを含むGⅠ・3勝のアドマイヤマーズ。現役時にグランアレグリアを2度撃破した能力は伊達ではない。注目産駒はエンブロイダリーだ。先週のサフラン賞こそ出遅れが響いて5着に負けたが、新潟芝1800mを2歳コースレコードで駆け抜けた素質は本物。必ず次走で巻き返してくるだろう。
続いてはケンタッキーダービーでも最有力候補の1頭だったが、骨折により4戦4勝のまま引退したナダル。故障がなければ日本で種牡馬として繋養されることはなかっただろう大物だ。現在の産駒勝利数は芝で3勝、ダートで6勝を挙げているが、現状はダートの方が好成績。2歳ダートの番組が増えてくる秋こそ注目したい種牡馬だ。
19年のスプリンターズS勝ち馬タワーオブロンドンは2頭を小倉2歳Sに送り出し、アーリントンロウが3着、レイピアが4着に入った。今のところ勝ち鞍の全てが1400m以下であり、生粋のスプリンター気質が見て取れる。来年以降のスプリント戦線で産駒の活躍を期待したい。
GⅠ、JpnⅠ計4勝のダート王者ルヴァンスレーヴは産駒の複勝回収率が165%と妙味たっぷり。ダート短距離で苦戦している産駒が多く、ある程度距離はあった方が良さそうだ。ダート中距離の番組が増える秋競馬で勝ち星の量産が期待できる。
現役時代はフェブラリーSと安田記念を制した芝ダート二刀流のモズアスコット。札幌開催での産駒成績は【2-0-2-3】複勝率57.1%、複回収率124%と素晴らしい結果を残した。通算での勝利内訳は芝で3勝、ダートで1勝。今後、父のように芝ダートの二刀流で活躍する馬が登場するかにも注目したい。
香港GⅠ・2勝のウインブライト産駒は1、2着数に対して3着数の多さが目立つ。北海道では【2-0-7-8】複勝率52.9%、複回収率121%と優秀な成績を残しており、このデータは来年まで覚えておきたい。また父は古馬になっても活躍していたことからも、産駒たちも長い目で見る必要があるかもしれない。
アドマイヤマーズ産駒は1400m以下が狙い目
<2024年 主な新種牡馬の条件別成績>
サートゥルナーリア×2戦目【6-1-1-8】
勝率37.5%/連対率43.8%/複勝率50.0%/単回収率110%/複回収率78%
アドマイヤマーズ×1400m以下【4-2-1-4】
勝率36.4%/連対率54.5%/複勝率63.6%/単回収率172%/複回収率107%
ナダル×ダート【6-5-4-6】
勝率28.6%/連対率52.4%/複勝率71.4%/単回収率70%/複回収率103%
ルヴァンスレーヴ×ダート1700m以上【2-4-1-19】
勝率7.7%/連対率23.1%/複勝率26.9%/単回収率36%/複回収率195%
次に各種牡馬について好条件となるデータをピックアップする。
サートゥルナーリア産駒は初戦【6-4-2-25】勝率16.2%、単回収率68%に対して、2戦目【6-1-1-8】勝率37.5%、単回収率110%と、一度使われてパフォーマンスを上げている。新馬戦で3着に敗れたクライスレリアーナが次走の未勝利戦を5馬身差で圧勝したように、2戦目での上昇に注目したい。
アドマイヤマーズ産駒は短い距離の方が好走傾向で、妙味もある。成績は1500m以上【6-6-3-24】勝率15.4%、単回収率52%に対して、1400m以下【4-2-1-4】勝率36.4%、単回収率172%。これに関連して、前走から距離短縮の馬が【3-0-0-3】単回収率143%と好調だ。
ナダルは芝でも勝ち馬を輩出しているが、狙い目はやはりダート。その成績は【6-5-4-6】で複勝率71.4%、複回収率は107%とプラス域だ。となると芝からのダート替わりを狙いたくなるが成績は【1-2-1-2】で複回収率96%。好走こそしているが、プラス域に届くほどの妙味はない。
ルヴァンスレーヴ産駒は上記でも触れているが、ダートの中距離でこそ輝く。ダート1400m以下【2-1-0-13】複勝率18.8%、複回収率29%に対して、ダート1700m以上【2-4-1-19】複勝率26.9%、複回収率195%となっている。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
《関連記事》
・【競馬】2024年に産駒がデビューする種牡馬まとめ ダート馬ルヴァンスレーヴが種付け数トップ
・【競馬】2023年新種牡馬リーディングをチェック スワーヴリチャードら10頭の覚えておきたい「買い条件」
・【サウジアラビアRC】複勝率66.7%「ノーザンファーム生産」のアルレッキーノ 前走の勝ち時計からここは通過点
おすすめ記事