【神戸新聞杯】日本と欧州の血統を併せ持つ馬が強い 中京替わりで注目のビザンチンドリーム

坂上明大

2024年の神戸新聞杯の注目血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

阪神競馬場の改修工事の影響により、今年の神戸新聞杯は2020~22年と同じく中京芝2200mで行われます。

阪神芝2400mと中京芝2200mは回りの方向は違いますが、長い直線を舞台に行われる芝中距離戦という日本の主流カテゴリーである点は変わりません。

中京開催の3年間はディープインパクト持ちが3連勝で2着2回。日本の主流血統が強い条件となっています。

ディープインパクト内包馬の成績(2020~22年),ⒸSPAIA


<ディープインパクト内包馬の成績(2020~22年)>
該当馬【3-2-0-17】
勝率13.6%/連対率22.7%/複勝率22.7%/単回収率68%/複回収率132%

ただ、中京芝2200mの神戸新聞杯は開催後半の荒れた馬場で行われるうえ、スタートから1角までの距離が長く、先行争いが長引きやすいのも特徴。そのため、東京や阪神の2400m戦とはレースの質が微妙に異なり、欧州血統からスタミナや底力を強化できているかがポイントとなっています。

その代表的な血統がNureyev≒Sadler’s Wells。21年と22年はディープインパクトの血と、Nureyev≒Sadler’s Wellsの血を持つ馬が1~2着を独占。中京の神戸新聞杯では、日本血統と欧州血統の両方を持つ配合が結果を残しています。

Nureyev内包馬≒Sadler's Wells内包馬(2020~22年)の成績(2020~22年),ⒸSPAIA


<Nureyev内包馬≒Sadler's Wells内包馬の成績(2020~22年)>
Nureyev【2-0-2-13】
勝率11.8%/連対率11.8%/複勝率23.5%/単回収率82%/複回収率100%
Sadler's Wells【0-2-0-11】
勝率0.0%/連対率15.4%/複勝率15.4%/単回収率0%/複回収率173%

また、脚質面でも後方有利という特殊なレース傾向になっています。一般的には前有利のデータ傾向になることがほとんどの日本競馬ですが、これほど明確に後方待機馬の好走率が高い重賞も珍しいです。

最後の直線までいかにスタミナを温存できるかが中京芝2200m戦のポイントとなっています。

初角位置別成績(2020~22年),ⒸSPAIA

<初角位置別成績(2020~22年)>
5番手以内【1-0-1-15】
勝率5.9%/連対率5.9%/複勝率11.8%/単回収率64%/複回収率68%
6番手以降【2-3-2-21】
勝率7.1%/連対率17.9%/複勝率25.0%/単回収率14%/複回収率140%


有力馬の血統解説

・ジューンテイク
父キズナはディープインパクト系の最優良後継種牡馬。日本の主流適性は疑いようがなく、現3歳世代ではジャスティンミラノが皐月賞1着→日本ダービー2着とクラシック路線をけん引しました。

ただ、本馬はLyphardの5×4を持つ機動力型で、小回り中距離戦で立ち回りの上手さを生かしたいタイプ。母アドマイヤサブリナは芝1400m以下で3勝を挙げたスプリンターという点からも、スタミナ勝負は分が悪そうです。

・メイショウタバル
芝中長距離に強い種牡馬ゴールドシップの産駒ではあるものの、本馬はスピード豊富な牝系譲りのコンパクトな馬体。スピード能力に優れ、脚質は中京芝2200m傾向に反する競馬になりそうです。

父の産駒らしく重馬場の毎日杯を制しており、ひと雨降れば好走確率は上がるでしょうか。

・ビザンチンドリーム
4代母ラスティックベルに遡る名牝系に属し、本馬はエピファネイア産駒らしい胴長脚長の中長距離馬体型。同産駒は神戸新聞杯で苦戦していますが、中京芝2200m全体では単勝回収率130%と高水準を記録しています。

Sadler's Wells≒Nureyevの4×4を持ち、スタミナや底力も上々。追い込み脚質でもあり、この舞台での一変に期待したい素質馬です。

2024年の神戸新聞杯の有力馬と血統,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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