【注目2歳馬】フォーエバーヤングの妹ブラウンラチェットが快勝 直線向かい風の中、ラスト2Fは11.6-11.2
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
半兄はフォーエバーヤング
3日間開催となった先週末の中山競馬場では合計6レースの新馬戦が組まれた。その中から今回の注目馬として、JRAアニバーサリー当日の9月16日(祝・月)の芝1800m戦を制したブラウンラチェットを取り上げる。
父キズナ、母フォエヴァーダーリングの牝馬で、半兄にフォーエバーヤングがいる良血馬だ。兄は昨年の全日本2歳優駿、今春のUAEダービーを制し、ケンタッキーダービーでは僅差の3着とダート路線で活躍している。
また、本馬は手塚貴久厩舎所属で、担当するのはこれまでフィエールマンやシュネルマイスター、ソールオリエンスなどGⅠホースに携わってきた名畑俊調教助手。期待の高さを窺い知ることができる。
レースはまずまずのスタートからバンブルビー、ムコウジマドリームを行かせて、道中は3番手の外を追走。1000m通過は1:03.4とスローペース。淡々と流れていたが残り600m標識を過ぎたところで後続も接近し、5番手からポジションを押し上げたヴォルヴァも含めて4頭が横に広がって直線の攻防へと移った。
C.ルメール騎手の左ムチが一発入って残り200mで先頭に立つと、後続を引き離して最後まで加速。2着に入ったミライヘノハナに1馬身半差、勝ちタイムは1:50.1で、単勝1.2倍の支持に応えた。
秋の中山開催はゴール前が追い風になることが多いが、この日は逆で、ゴール前では向かい風が吹いていた。加えて前日夜から未明にかけて5.0mmの雨量を計測し、良馬場ながら芝は水分を含んでいた。
馬体重438kgと小柄だが、そうした馬場も全く問題にせずラスト2F11.6-11.2と加速ラップで最後まで力強く伸びており、レースセンスと地力の高さを証明したと言える。
強烈なインパクトこそなかったが、距離はさらに延びても全く問題なく、中距離重賞での活躍を期待できる。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
小柄な馬体も瞬発力と器用さが光る好内容
15日(日)の中山5Rに組まれた牝馬限定の芝1600m戦でも、同じ手塚厩舎所属でキズナ産駒のレイユールがデビュー勝ちした。半姉には今年の新潟記念を制したシンリョクカがいる血統で、最終追い切りではブラウンラチェットと互角の動きを披露していた。
レースは前半800m通過47.8と淀みなく流れて縦長の隊列となるなか、本馬は中団のインを追走。4角では4番手グループまでポジションを押し上げると、直線は1頭分だけ空いた最内を突く形。そのまま一気に突き抜けると、最後は余裕を見せながら後続に3馬身半差をつけた。
ラスト2F11.8-10.8という数字は、直線での強い追い風を考慮して評価する必要はある。それでも他馬を0.6秒上回る上がり34.2でまとめた点は好感を持てる。
馬体重は408kgと小柄で今後の成長が期待される。勝ちタイム1:35.2という時計以上に、瞬発力とロスなく立ち回った器用さが印象付いたデビュー戦だった。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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