【注目2歳馬】アドマイヤマーズ産駒エンブロイダリーがレコード勝ち 鞍上が後ろを振り返る余裕も
三木俊幸
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単勝1.1倍の支持に応える
暑熱対策で、昼休みを設けるとともにレース開始時間も通常より約30分早くするという新たな試みがスタートした夏の新潟開催開幕週。水曜日から木曜日にかけて67.5mmの雨量を計測したが、水捌けもよく良馬場でオープニングレースを迎えた。
その芝1800mの2歳未勝利戦では、アドマイヤマーズ産駒エンブロイダリーが1:45.5という好タイムで勝利。2歳レコードを0.9秒更新した。
レースは6頭立て、単勝1.1倍と圧倒的な支持を集めた。ゲートが開くと同時に伸び上がるようなスタートとなったが、スピードを生かしてすんなりハナへ。バッケンレコードが1馬身後ろの2番手でマークするも、マイペースを崩さず前半1000mは59.1(12.8-10.9-11.4-12.0-12.0)で通過。残り400m標識付近で軽く仕掛けられると、後続との差を広げた。残り100mではC.ルメール騎手が振り返って後続の様子を確認する余裕があったほどで、結果2着に7馬身差をつけた。
6月2日の東京芝1600m新馬戦では、ミリオンローズと1/2馬身差の2着。稍重でラスト2F11.0-10.9とかなり速いラップが刻まれたなか、4角7番手から上がり最速33.2の末脚を繰り出したことから、敗れはしたものの能力を示していた。
2戦目の今回は前半から淀みのないペースでラスト2Fは11.0-11.7と減速したが、それでも圧勝。新馬戦がハイレベルであったことを証明するとともに、このメンバーでは力が違った。
開幕週は土曜メインの関越S(芝1800m、オープン)で1:44.0、日曜日の1Rに組まれた芝1400mの2歳未勝利戦でも1:20.6とレコードタイムが連発した超高速馬場。また、内を走った先行馬が有利な馬場状態だったということも考慮しなければならないが、デビュー戦の内容と今回の勝ち方を総合的にみても、さらに上の舞台での活躍を期待して良さそうだ。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
森秀行厩舎の外国産馬が新馬戦連勝
土曜日の新潟2、3Rには新馬戦が組まれていたが、いずれも森秀行厩舎所属で、今年3月にアメリカで行われたOBSマーチセールで落札された即戦力の馬たちが結果を残した。
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2Rの芝1400m戦を制したFrosted産駒ジャスパーディビネは25万5,000ドルで落札された馬。最終追い切りでは栗東坂路で4F49.9をマークして、今回のレースに挑んだ。レースでは好スタートからすんなり先手を奪い、前半600mを34.5(12.3-10.8-11.4)で通過。3角で外から1番人気のカロローザが並びかけてきたが、最後は1馬身差をつけて勝利した。勝ちタイムは1:21.9だった。
Frosted産駒×森秀行厩舎×加藤和夫氏所有と言えば、昨年のCBC賞と北九州記念を制したジャスパークローネがいる。ジャスパーディビネも短距離路線での活躍が期待される。
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3Rのダート1200m戦を勝利したのは、父Shancelotの初年度産駒エコロアゼル。こちらは21万5,000ドルで落札された。最終追い切りは栗東坂路で4F52.2をマークし、最後まで加速ラップで駆け上がった。
スタート後の芝ではあまり行き脚がつかなかったようにも映ったが、ダートに入るとスピードに乗り、内からハナを奪い切った。600m通過は35.0、直線に向いても後続の追い上げを許さず勝ちタイム1:12.7で駆け抜け、2馬身半差。ゴール前は流す余裕もあった。
国内外を問わずレース選択をしてくる森秀行厩舎という点で、今後どのようなローテーションを歩んでいくのかにも注目が集まる。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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