【注目2歳馬】今夏の新潟2歳戦で唯一の「上がり32秒台」 エピファネイア産駒エンジェルマークが瞬発力勝負を制す

三木俊幸

エピファネイア産駒エンジェルマーク,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

今夏の新潟開催2歳戦で唯一の上がり32秒台を記録

夏の新潟開催最終週は土曜日の昼過ぎに一時的に強い雨が降ったものの、日曜日は終日晴天というコンディションで開催された。

今回は9月1日の新潟5Rに組まれた芝1800m新馬戦を川田将雅騎手とのコンビで制したエンジェルマークにスポットを当てたい。

6頭立てという少ない頭数になったが、1番人気に推されたグロスビークはシスキン産駒で母アドマイヤセプター、母系を遡れば名牝エアグルーヴへと繋がる血統の持ち主。2番人気フィドルファドルは半姉にBCディスタフを制したマルシュロレーヌなど活躍馬多数という良血がそろっていた。

それらに次ぐ3番人気だったエンジェルマークも、父エピファネイア、母ステファニーズキトゥンという血統。母の産駒は6頭全て牝馬でカトゥルスフェリスがJRAで2勝、獲得賞金2,638万円が最高成績と結果は出ていないが、母自身は現役時代にBCフィリー&メアターフなどGⅠ・5勝。エンジェルマークは2022年に初開催となったノーザンファームミックスセールにて7,480万円で落札された。

レースは各馬ばらっとしたスタートとなり、エンジェルマークもあまりいいスタートではなかったが、3番手の外をキープした。

ハナを奪ったのはグロスビーク、2番手にフィドルファドルと上位人気馬が先行する形ですんなり隊列が決まったこともあり、序盤から14.0-12.8-12.9-13.7-13.4とペースは落ち着いた。

1000m通過は1:06.8という超スローペース。こうなれば必然的に長い直線での瞬発力勝負となる。

各馬やや内を開けた進路で6頭が横並びとなった。残り400m標識手前で真ん中から追い出されたグロスビークに併せてエンジェルマークがすぐ外から並びかけると、ゴールまで2頭のマッチレースに。最後まで追い比べが続いたが、結果はクビ差。エンジェルマークがデビュー勝ちを果たした。

勝ちタイムは1:52.9と遅かったが、ラスト3Fは11.5-10.6-11.0(計33.1)と速いラップを刻んだ。エンジェルマークはレース上がりを0.2秒上回る上がり32.9で、今夏の新潟開催の2歳戦では唯一となる上がり32秒台の末脚を記録。牝馬らしい非凡な瞬発力を見せつけるインパクト大のレースだった。

当日の馬体重は438kg、パドックを周回している様子からは細身という印象を受けた。能力は高そうで今後の活躍も期待できる。じっくりと成長を促しつつレースを重ねていってほしい。

川田将雅騎手騎乗のエピファネイア産駒エンジェルマーク,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


3着以下には7馬身差

2着に敗れたグロスビークは、ハナを奪ったことで結果的に川田将雅騎手にピッタリとマークされ、目標にされてしまった。

それでも、一旦はエンジェルマークが頭一つ抜けたかと思われたところ、残り100mを切ってから再び勝負根性を見せて際どいところまで盛り返した点は評価できる。

加えて、3着以下には7馬身差をつけており、レース内容を踏まえると次走はすんなりと勝ち上がりそうだ。

シスキン産駒グロスビーク,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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