【小倉記念】レースとコースの傾向を分析 浮上したのは鳴尾記念組ディープモンスター

勝木淳

小倉記念アイキャッチ,ⒸSPAIA

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そこまで波乱のステージではないが

今週から関西圏は中京が開幕し、夏競馬も後半の3場開催を迎える。暑すぎる夏はまだまだこれから。思考回路を鈍らせず、しっかり集中し馬券検討にあたらないと、収穫の秋を前に夏枯れなんてことになってしまう。気をつけよう。

今年は中京記念が小倉芝1800mなら、小倉記念は中京芝2000mで争われる。サマー2000シリーズに組み込まれる違和感はないが、平坦基調の右回り小倉と坂適性が求められる左回り中京では求められる適性が異なる。レース傾向にとらわれず中京適性を持つ馬に注意を払いたい。データは2014年以降の古馬3勝クラス以上、計53レースを使い、コース傾向をつかみつつ好走候補を探していく。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【16-10-6-21】勝率30.2%、複勝率60.4%は確率としてはまずまず。競馬では1番人気勝率30%は目安になる数字だ。2番人気【9-6-10-28】勝率17.0%、複勝率47.2%と順当な印象。1、2番人気で半数近い25勝をあげており、堅い印象のステージだ。

ただ、8番人気【6-2-3-40】勝率11.8%、複勝率21.6%など伏兵にツボがあるのも事実で油断はできない。8番人気6勝のうち、2勝は前走下級1着、残る4勝は同級8着以下だった。昇級の勢いか巻き返しか、そこを狙うのもいい。また前走が同じ中京芝2000mだと【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%、京都芝2200mは【2-0-0-1】。8番人気に限ったニッチなデータだが、今年の小倉記念だけではなく中京芝2000mの3勝クラス以上で該当馬を見かけたら使ってみたい。小倉記念前日の関ケ原Sがちょうど該当している。

年齢別成績,ⒸSPAIA


3歳はデータ対象期間が6~12月までの半年間と短いながら、【3-3-1-16】勝率13.0%、複勝率30.4%。やはり斤量差と若さで勝負になる。ラジオNIKKEI賞2着シリウスコルトは急坂の中山芝2000m【1-0-1-2】。開幕週向きの先行力がある。古馬は素直に年齢順でいい。4歳【22-21-16-136】勝率7.3%、複勝率30.3%、5歳【18-17-22-190】勝率7.3%、複勝率23.1%が主力を形成する。

小倉記念のデータからディープモンスター

サマー2000シリーズ七夕賞好走馬は新潟記念に回る予定で、ここには5着リフレーミング、6着レッドランメルトが出走する構え。福島牝馬Sを勝ったコスタボニータあたりが人気の中心だろうか。

前走距離別成績,ⒸSPAIA


前走距離は2000m【25-25-28-242】勝率7.8%、複勝率24.4%、2000m超【16-12-14-160】勝率7.9%、複勝率20.8%がいい。最後に坂が待ち構えるコースらしく、2000m以上から距離短縮でここに回ってくる馬が狙いだ。

前走2000m・コース別成績,ⒸSPAIA


前走2000mでは中京と同じ左回りが【14-13-15-100】勝率9.9%、複勝率29.6%で、右回り【11-12-13-142】勝率6.2%、複勝率20.2%を上回る。さらに単複回収値は左回り233、125、右回り61、67。配当を伸ばしたいなら、前走左回り2000mから中京芝2000mに挑む馬に狙いを定めたいが、該当馬はいない。ただ、七夕賞組など右回り経由も決して悪いわけではなく、上位人気なら味方につけるべきだ。

前走2000m超・コース別成績,ⒸSPAIA


前走2000m超からの距離短縮組は右回り【13-8-11-102】勝率9.7%、複勝率23.9%、左回り【3-4-3-58】勝率4.4%、複勝率14.7%と2000mとは逆に右回りの成績がいい。単複回収値も右回り156、76。不思議なもので、短縮は右回りに分がある。しかし右回りの短縮組もいない。昨秋の新潟牝馬S1着以来のメモリーレゾンは左回りで好走しているが安易に飛びつけない。中京芝2000mはローズS5着こそあるが未勝利。昨年10月以来なので前走とのつながりは関係なさそうだが、気にしておこう。

最後にコースデータではなく小倉記念の傾向を少し。小倉記念過去10年間のデータをみると、七夕賞【2-0-3-30】勝率5.7%、複勝率14.3%より鳴尾記念【3-0-1-5】勝率33.3%、複勝率44.4%やマーメイドS【1-0-2-2】勝率20.0%、複勝率60.0%がいい。元来、小倉記念はサマー2000シリーズ突入のひとつ前の開催の重賞に注目すべきレースだ。ただし、今年は平坦ではないので、平坦な京都開催だったマーメイドS経由の牝馬は少し割り引いた方がよさそうだ。同じく京都開催でも鳴尾記念5着ディープモンスターは前走3番手から粘って京都芝2000mを1:57.5で乗り切った。休養明けを使い、さらなる上昇カーブも見込める。楽しめそうだ。

小倉記念のデータ,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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