【エルムS】不安要素が少ないナチュラルハイを推奨 ハイペース、単回収率265%データも味方に

貴シンジ

エルムステークス 前走マリーンS組の成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は8月4日(日)に札幌競馬場で行われるエルムSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった18頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:中心はマリーンS組

前走レース別成績,ⒸSPAIA


エルムSは夏場に少ない中距離ダート重賞であることに加え、クセの少ない札幌競馬場ということもあり多くの馬が特別登録してくる(2021年は函館開催)。そんなエルムSで重要視したいデータは前走レース別成績。過去10年で勝ち馬が出ているのはマリーンS、平安S、安達太良S、東京大賞典の4つ。今年は安達太良Sと東京大賞典からの臨戦馬はいないのでこの2つを省いてデータを見ていく。

まずは7頭の勝ち馬を輩出しているマリーンS。【7-3-2-35】で勝率14.9%、複勝率25.5%、単勝回収率118%、複勝回収率71%という数字だ。マリーンS組においては着順が非常に重要。1~3着だった馬に限ると【7-3-0-11】で勝率33.3%、複勝率47.6%、単勝回収率265%、複勝回収率124%と非常に優秀だ。

続いては平安S。【1-2-2-5】で勝率10.0%、複勝率50.0%、単勝回収率122%、複勝回収率197%。こちらも高い数字を残している。こちらは着順ではなく前走時の人気が重要で1~5番人気だった馬は【1-1-1-3】で勝率16.7%、複勝率50.0%、単勝回収率203%、複勝回収率201%とさらに良くなる。

今年はマリーンSの1~3着馬と平安S勝ち馬のミトノオーが出走予定。ミトノオーは平安Sでは5番人気と好走データに合致しており、こちらも有力な存在であることは間違いなさそうだ。

【前走マリーンSで1~3着の出走予定馬】
・ナチュラルハイ(1着)
・サンテックス(2着、除外対象)
・テーオードレフォン(3着)


前走の内容:平安Sのミトノオー

平安Sのラップは前半5Fが61.1秒、後半5Fが62.5秒で前傾1.4秒。ミトノオーは上手くゲートを出て逃げる形だった。前半がやや速い流れとなったが前々を走っていた馬で決着していることを考えると極端に前が不利だったわけではないだろう。また、同日の他レースでは差しも決まっていたことから差し馬が不利だったということもなかった。

これまで小回りで砂の深い地方重賞では好成績を残していたが中央重賞ではあまり結果が出ていなかった。とはいえ、ここ2戦は中央重賞でも結果を出しており、揉まれなければ十分通用することが証明されたと見てよいだろう。ただ今回はサンテックス、テーオードレフォンなど逃げたい馬も多数揃っていて簡単にはハナが取れないメンバー構成。流れが速くなりそうなのは懸念材料だ。そう考えると、一段後ろに構えられるナチュラルハイらに展開が向きそうだ。


血統解説:ナチュラルハイ、ミトノオー

・ナチュラルハイ
日本での牝祖は祖母アラビックソング。同馬は米芝中距離の重賞戦線で活躍していた。兄弟には活躍馬はいないが従兄弟にはダート短距離でJRA3勝のニシノコトダマ(父ヘニーヒューズ)がいる。スピード性能の高いファミリーだが父を引き出すのが得意なことも特徴の一つだ。

本馬は父がスクリーンヒーローだから持続性能が高くてスタミナもあるタイプに出た。逃げたいタイプが揃ったここなら中団から構えて緩やかな札幌競馬場のコーナーをジワジワと差せそうだ。

ナチュラルハイの血統表,ⒸSPAIA


・ミトノオー
日本での牝祖は母シダクティヴリー。ダート重賞のセリーニS(GⅢ・ダート8.5F)などを勝利した実績馬だ。ファミリーは持続性能が高く、本馬は父がロゴタイプだから牝系の良さを伸ばしたような血統構成。ただ気になるのは母父がサンダーガルチだということ。気性的に難しい馬を輩出しやすく本馬も揉まれると弱い傾向がある。

コーナリング性能の高さが持ち味の一つだが札幌ではそこまで生きてこないだろう。なんとかハナを切って自分のペースに持ち込めれば勝ち切る実力は十分だが、同型が多くハナを切れたとしてもハイペースになりそうなところが不安点だ。

ミトノオーの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではナチュラルハイを推奨

今回はナチュラルハイを推奨する。マリーンSは過去10年で最多7頭の勝ち馬を輩出しているローテーション。その勝ち馬である本馬はここでも中心だ。内容としても決してフロックのような勝ち方ではなく、馬群を割ってしぶとく伸びてきた。今回、前がごちゃつく展開になって馬群の中に入る形でも問題なく、不安要素は少ない。一方で、同じく好データに該当している平安S勝ち馬のミトノオーは同タイプの存在が気がかりとなる。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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