【クイーンS】札幌芝1800mは連対率100%の舞台 東大HCの本命はドゥアイズ

東大ホースメンクラブ

クイーンSにおける前走VM組の条件別複勝率(札幌開催の直近9回),ⒸSPAIA

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札幌の牝馬重賞

今週日曜日、札幌競馬場でGⅢ・クイーンSが行われる。今年は中山牝馬S勝ち馬コンクシェル、阪神牝馬S2着ウンブライル、3着モリアーナら古馬に加え、3歳馬からフェアリーSを制しNHKマイルC5着のイフェイオン、重賞2着2回のボンドガールなど14頭が出走予定だ。

果たしてこのレースを制して秋に弾みをつけるのはどの馬か。過去10年のうち、札幌開催だった直近9回のデータを参考に馬券のヒントを探る。

比較的堅い決着

クイーンSの人気別成績,ⒸSPAIA


<クイーンSの人気別成績>
1〜2人気【6-2-3-7】勝率33.3%/連対率44.4%/複勝率61.1%
3~6人気【0-5-3-28】勝率0.0%/連対率13.9%/複勝率22.2%
7〜9人気【2-2-2-21】勝率7.4%/連対率14.8%/複勝率22.2%
10人気~【1-0-1-34】勝率2.8%/連対率2.8%/複勝率5.6%

まずは人気別成績を見てみよう。夏の重賞にしては堅い決着が多く、2番人気以内が複勝率6割台と安泰だ。このうち3歳馬【2-0-0-1】、4歳馬【2-2-2-2】と若い人気馬が結果を出している。混戦模様の今年も上位人気は若い馬が占める可能性が高い。信用していいだろう。

3~6番人気は勝利がなく、複勝率は7~9番人気と変わらない。つまり回収率で見劣る。特に単勝オッズ2桁だと【0-1-0-10】と厳しい。上位からオッズ的に離れた中位人気は消しと考えてもよさそうだ。

中穴にあたる7~9番人気は毎年掲示板に入っており、直近は2年連続で2着にきている。そのうち前走GⅢ組が【2-1-1-8】、福島牝馬S組【1-1-0-0】、マーメイドS組【1-0-1-4】。ウインピクシス、エリカヴィータは当日の人気次第でここに合致する。 

最後に2桁人気。11番人気が2度馬券に絡んでいる(16年ダンツキャンサー3着、21年レッドアネモス1着)。どちらも1枠1番だった。もともと1枠が【2-1-2-4】、2枠が【3-2-3-1】と内枠が有利なレースであり、人気薄でも内枠ならヒモには入れておきたい。

ヴィクトリアM組の中でも

クイーンSの前走VM組成績,ⒸSPAIA


<クイーンS 前走ヴィクトリアM組の成績>
前走VM組全体【3-3-4-9】勝率15.8%/連対率31.6%/複勝率52.6%
前走9着以内【2-2-3-2】勝率22.2%/連対率44.4%/複勝率77.8%
4歳馬【1-3-2-2】勝率12.5%/連対率50.0%/複勝率75.0%

次に今回6頭が該当する前走ヴィクトリアマイル組について。まず前走VM組は半数以上が馬券圏内と「買い」の条件だが、さらに絞る。着順は5着以内が【1-1-1-1】、9着まで広げても【2-2-3-2】。ここは相手緩和になるため、多少の負けなら全く問題ない。年齢では4歳馬が安定しており、5歳馬は【2-0-1-4】と安定感でやや劣る。

「VM9着以内の4歳馬」に該当するのはウンブライルとドゥアイズ、モリアーナの3頭。彼女らが中心となるのは間違いないだろう。ただしモリアーナのみ斤量57kg。VMで同斤量だった2頭と2kg差ある点には留意し、少し割り引いて考えたい。

初重賞制覇のチャンス到来

◎ドゥアイズ
2000m以上のGⅠを除くと【2-4-1-3】、着外3回も4、5着で掲示板を外していない。秋華賞後、リゲルSでマテンロウスカイ(後に中山記念1着)の2着とし、洛陽Sを勝利。マイル重賞でも5、4着と堅実な走りを見せた。新馬戦から3戦連続で札幌コース経験があり、札幌2歳Sは昨年の当レース勝ち馬ドゥーラの2着。今回はGⅢで相手緩和かつ実績のある洋芝が舞台と好条件が揃った。枠順だけが残念だが、8枠からも2勝しており、大きく悲観する必要はない。初重賞制覇の期待十分だ。

◯ウンブライル
新馬戦から2連勝。阪神JF、クイーンCは大敗したが、NZT、NHKマイルCで連続2着と好走した。9か月ぶりの復帰戦となった東京新聞杯を0秒6差の9着、阪神牝馬Sはマスクトディーヴァの2着、VMは0秒4差の6着と健闘。ドゥアイズに阪神牝馬Sで先着しており、実力差はあまりない。こちらは2枠2番と絶好。重賞制覇の可能性は十分ある。しかし今回は初の1800mである点を考慮し、対抗評価とする。

▲スタニングローズ
一昨年の秋華賞勝ち馬。10か月半ぶりとなった大阪杯で0秒5差の8着、VMで0秒8差の9着と離された負けではあるが、いずれもGⅠで先行できていた。クイーンS自体先行馬が【4-4-2-24】と前有利の傾向があり、同様の競馬ができれば粘れる可能性もある。

△イフェイオン
京都芝1600m(内回り)の2歳未勝利戦を1分33秒3という非常に優秀な時計で勝利。これは86年以降の同コース2歳戦としてはミッキーアイルに次ぐ2位のタイムだった。3歳になってフェアリーSを勝利。桜花賞は外差しの馬場に泣かされたが、NHKマイルCでは同じく内を突いて5着に粘った。今回も3枠3番と内を引いた。好枠を生かせれば粘り込みもありえる。

以下ボンドガールまで印を回す。馬券は◎◯-5頭-5頭の3連複とする。

▽クイーンS予想▽
◎ドゥアイズ
◯ウンブライル
▲スタニングローズ
△イフェイオン
×ボンドガール

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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