【クイーンS】Blushing Groom内包の機動力型が狙い目 洋芝適性も見込めるコンクシェルに好機到来

坂上明大

2024年クイーンステークスの有力血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

札幌競馬2週目に行われる牝馬重賞クイーンS。2015~19年は開幕週に行われていましたが、2週目に戻った近年も綺麗な馬場状態での開催が続いています。ただ、2020年1着レッドアネモス(11番人気)など穴馬の激走が多い点も本レースの特徴。本記事では血統面を中心に、クイーンSのレース傾向を整理していきます。

まず紹介したいデータは枠番別成績。1週目開催の頃から継続しているのが内枠有利の傾向です。札幌芝1800mという機動力が求められるコースのうえ、前述の通り綺麗な馬場状態で行われるクイーンSでは内枠から器用に立ち回る競馬が理想となっています。特に1~2枠の成績は特筆すべきもので、今年も内枠を引いた馬には大注目です。

枠番別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<過去10年の枠番別成績(2021年函館開催を除く)>
1枠【2-1-2-4】勝率22.2%/連対率33.3%/複勝率55.6%/単回率560%/複回率298%
2枠【3-2-3-1】勝率33.3%/連対率55.6%/複勝率88.9%/単回率317%/複回率228%
3枠【0-1-0-13】勝率0%/連対率7.1%/複勝率7.1%/単回率0%/複回率32%
4枠【0-1-2-13】勝率0%/連対率6.3%/複勝率18.8%/単回率0%/複回率51%
5枠【1-2-0-13】勝率6.3%/連対率18.8%/複勝率18.8%/単回率28%/複回率38%
6枠【0-1-1-15】勝率0%/連対率5.9%/複勝率11.8%/単回率0%/複回率22%
7枠【1-1-0-16】勝率5.6%/連対率11.1%/複勝率11.1%/単回率17%/複回率17%
8枠【2-0-1-15】勝率11.1%/連対率11.1%/複勝率16.7%/単回率193%/複回率62%

血統面ではネオユニヴァース内包馬の活躍が目立ちます。同馬は母母Silken WayがSt. Simon系の血筋を豊富に引き継ぎ、母ポインテッドパスはHyperionの5・7×4やFair Trialの7×5などを持つイギリス産馬。長い繋ぎ(球節から蹄の間の部分)と曲飛節(飛節:四肢動物の後肢にある関節のひとつ。曲飛節:一般的には瞬発力を生む後肢の形とされている)が大きな特徴で、瞬発力自慢が揃ったサンデーサイレンス産駒では珍しい機動力タイプの活躍馬でした。

代表産駒ヴィクトワールピサもトリッキーな中山コースを得意としており、その仔であるスカーレットカラー(2019年クイーンS2着、2020年同3着)とレッドアネモス(2020年1着)は本レースでも好走。今年は該当馬がいませんが、ネオユニヴァース→ヴィクトワールピサ系の分析はクイーンSの予想において大きなヒントとなりそうです。

ネオユニヴァース系の成績(過去10年),ⒸSPAIA


<過去10年のネオユニヴァース系の成績(2021年函館開催を除く)>
該当馬【2-1-1-3】勝率28.6%/連対率42.9%/複勝率57.1%/単回率670%/複回率187%

ネオユニヴァースが内包する血の中で最も注目しているのがFair Trial。同馬は機動力や粘り強さを子孫に伝えており、ネオユニヴァースが子孫に伝える機動力の源泉になっていると考えています。Fair Trialの血を内包する有力種牡馬はDanzig、Lyphardなど。St. Simon系の血筋を引き継いでいるBlushing Groomを内包する馬も面白そうです。

どの血も6代以前に隠れることが多いため、昨年の1、2着馬(ドゥーラ、ウインピクシス)のようにFair Trialの血を増幅した機動力型が本レースでは狙い目といえるでしょう。

また、Nureyev≒Sadler's Wellsなどと組み合わせるパターンにも要注目です。

血統別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<過去10年の血統別成績(2021年函館開催を除く)>
Blushing Groom【2-2-3-11】勝率11.1%/連対率22.2%/複勝率38.9%/単回率30%/複回率101%
Danzig【4-2-2-16】勝率16.7%/連対率25.0%/複勝率33.3%/単回率186%/複回率110%
Lyphard【6-3-1-37】勝率12.8%/連対率19.1%/複勝率21.3%/単回率139%/複回率62%


血統解説

・ウンブライル
母ラルケットは2008年クイーンC3着馬で、本馬の全兄には2018年マイルCS優勝馬ステルヴィオがいます。Nureyev≒Fairy Kingの5×3などからFair Trial血脈を刺激してはいますが、ロードカナロア産駒の牝馬としては軽いマイラー血統という感は否めず、初の1周競馬という点が今回の課題となりそうです。

・ボンドガール
母コーステッドは2016年BCジュベナイルフィリーズターフの2着馬で、本馬の半兄にはダノンベルーガ(2022年共同通信杯)がいる良血馬です。母はLyphard、Danzig、Blushing Groomを併せ持ち、小回り適性は上々。ただ、ダイワメジャー×北米血脈の牝馬だけに、今回は洋芝1800mへの距離延長が課題でしょうか。

・コンクシェル
母ザナはBlushing GroomやSadler's WellsなどからFair Trial血脈を受け継ぎ、本馬は父にキズナを配して母譲りの機動力を継承。アイルランド産である母の仔だけに洋芝適性にも期待が持てる点で、クイーンSにピッタリの一頭といえるでしょう。斤量56キロは課題ですが、他に速い逃げ馬が不在のため、マイペースに行ければ配当妙味は十分の実力馬です。

クイーンSの有力馬と血統、評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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