【中京記念】小倉と中距離適性が重要 舞台巧者エスコーラやエルトンバローズが好走馬のイメージにピッタリ
勝木淳
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21、22年中京記念の勝ち馬は小倉巧者
サマーマイルシリーズとはいえ今年の舞台は小倉芝1800m。この変則的な施行条件は21年と22年に行われた。21年勝ち馬アンドラステは通算で1600m【3-2-2-2】、1800m【2-2-0-1】と1600、1800mに強い、崩れない堅実派だった。コースを問わない万能型で小回りも苦にせず、小倉芝1800mのイメージに合う。
22年ベレヌスは通算1600m【0-1-0-6】、芝1800m以上【4-1-2-7】、芝2000m【3-1-2-4】ではっきりとした中距離型。小倉はダートや障害も含めて【3-0-2-1】でコース巧者でもあった。スローペースを演出し小回りを生かして粘り込む形がベスト。小倉芝1800mの中京記念は願ってもないチャンスだったといえる。
この舞台の中京記念では小倉と中距離適性が重要なのは明らか。実際メンバーを見渡しても、シリーズ初戦米子Sからの参戦は3着アナゴサン、9着エスコーラだけ。かわって春のGⅠや1800、2000m戦からここに向かう馬たちが目立つ。傾向通り、小倉中距離適性を競うレースになりそうだ。データは2014~23年、夏の小倉芝1800m、3勝クラス以上15レースを使用し、コース傾向を探る。
1番人気【3-1-4-7】勝率20.0%、複勝率53.3%とやや勝ち切れない印象があるが、4番人気以内が11勝、8番人気以下が未勝利と波乱が期待できる条件とはいえない。とはいえ、8番人気以下も2、3着なら【0-3-4-65】となくはない。中京記念は21年が1、6、5番人気、22年が6、10、1番人気で決着した。中京記念自体がハンデ戦でもあり、波乱傾向。レース傾向が結果に影響を与えているとみるなら、今年だってひねりが必要だろう。
年齢別では4歳【5-4-7-19】勝率14.3%、複勝率45.7%と分かりやすい。14~18年【0-0-1-2】に対し、19~23年【5-4-6-17】と降級制度廃止の影響は明らか。ただ、このコースの中京記念に限ると、【0-0-1-4】。5歳【5-7-5-40】勝率8.8%、複勝率29.8%などベテランにも気を配ろう。中京記念では5歳【2-1-1-7】。6歳【0-1-0-3】、7歳以上【0-0-0-8】となっている。
マイル戦で流れに乗れなかった馬が狙い目
重賞勝ち馬はエピファニー、エルトンバローズ、セルバーグなどがいる。このうち中距離を勝ったのはエピファニー、エルトンバローズ。なかでもエピファニーは同舞台の小倉大賞典勝ち馬だ。GⅠ大敗後、得意舞台で巻き返すか。
コース傾向をつかむデータとして前走距離を挙げる。前走1800m未満【6-3-5-32】勝率13.0%、複勝率30.4%で、同距離【5-8-2-47】勝率8.1%、複勝率24.2%、1800m超の短縮【4-4-8-52】勝率5.9%、複勝率23.5%をリードする。同距離、短縮は2、3着が目立つが、延長は勝ち切る。
夏の小倉は基本、スピード優先。これがデータに出ている。施行距離こそ違えどサマーマイルシリーズらしく、前走1600mは【5-3-5-23】勝率13.9%、複勝率36.1%。1800mに適性があり、前走1600mというプロフィールがよさそうだ。安田記念8着エルトンバローズ、米子S9着エスコーラはイメージに近いか。
前走1600m組の着順別成績は、3着以内【3-0-2-2】と好走は当然として、6~9着【1-0-2-6】勝率11.1%、複勝率33.3%、10着~【1-3-1-10】勝率6.7%、複勝率33.3%と敗退からの巻き返しもあるので注意だ。
上記2頭への注目はさらに深まる。6着以下だった【2-3-3-16】のうち、後方から進めた馬は【1-3-1-5】勝率10.0%、複勝率50.0%。マイル戦の流れに乗れずに敗れた馬が1800mでリズムを取り戻すというシナリオがよさそうだ。エスコーラ、エルトンバローズは中団からの競馬だった。これもイメージに合う。
エスコーラは2年前、小倉芝1800m3勝クラスの不知火Sで好位から押し切った。晩成タイプが多いサロミナの仔で、6歳でもキャリアはわずか8戦。活力は十分ある。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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