【プロキオンS】当コースの新馬圧勝ヤマニンウルスが目玉 人気データ、力関係以外の懸念なし

勝木淳

小倉ダ1700mのコースデータから見るプロキオンステークス,ⒸSPAIA

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直近は波乱決着

小倉ダート1700mで行われるのは京都改修による変則日程だった21、22年以来2年ぶり。過去2年を簡単に振り返ろう。

21年は重馬場で行われ、1:40.9のレコード決着。中盤から11秒台を刻む持続力勝負のなか、1番人気サンライズホープが沈み、好位から9番人気メイショウカズサが抜け出した。2、3着は番手、逃げの14番人気トップウイナー、12番人気メイショウウズマサ。人気の好位勢は伸びず、伏兵が粘って三連単は194万馬券だった。

翌年は稍重で1:43.7。一転して時計がかかったのはエアアルマス、トップウイナーが序盤、突っ込んで入り、後半800mのラップが伸びなかったからだ。持久力勝負を制したのは早めに動いた4番人気ゲンパチルシファー。2、3着は後方から勝ち馬を追いかけた14番人気ヒストリーメイカー、12番人気サクラアリュールだった。

2年とも2、3着は二桁人気。共通しているのは4コーナーで勝負圏内にいたこと。小回りらしい持久力と機動性を問う。これが小倉ダート1700mのプロキオンSだ。ここでは夏の小倉ダート1700m、3勝クラス以上35レース(2014年8月2日~2023年9月3日)からコース傾向を詳しくみていく。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【5-3-6-21】勝率14.3%、複勝率40.0%とちょっと勝ち切れないが、その分、2番人気が【10-6-2-17】勝率28.6%、複勝率51.4%と強力。一方で3番人気は【2-2-6-25】勝率5.7%、複勝率28.6%と続かない。4番人気【5-2-5-23】勝率14.3%、複勝率34.3%以下は大きな差はなく、複勝率も似たりよったり。過去のプロキオンSの通り10番人気以下【4-7-7-164】勝率2.2%、複勝率9.9%で伏兵が突っ込むチャンスもある。

年齢別成績,ⒸSPAIA


小回りでペースの緩みが少ない分、スピードの持続力を試されるコースらしく4歳が【13-11-8-86】勝率11.0%、複勝率27.1%と勝ち切る傾向だが、5歳も【15-18-16-144】勝率7.8%、複勝率25.4%とメリハリをつけるほど差はない。6歳【6-3-7-88】勝率5.8%、複勝率15.4%あたりまで十分戦える。さすがタフなダート界。ベテランも元気だ。


当コース新馬圧勝のヤマニンウルス

平安S2着ハピ、オープン勝ちのブラックアーメット、ダート重賞常連のグロリアムンディらに対し、無敗の昇級馬ヤマニンウルス、鳳雛S2着の3歳馬ブルーサンはどこまで戦えるのか。この力関係の評価は予想の成否を決める。

位置取り別成績,ⒸSPAIA


プロキオンSの結果でも触れたように、小回りらしく機動力は最大の武器。逃げ【6-4-3-24】勝率16.2%、複勝率35.1%、先行【13-22-10-72】勝率11.1%、複勝率38.5%と上級条件であっても基本は先行タイプだ。差し馬はまくり【4-0-1-3】勝率50.0%、複勝率62.5%のように4コーナー先頭まで押し上げられれば勝機はある。最後の直線は291.3m。粘り込みを狙う方が妥当だ。

前走距離別成績,ⒸSPAIA


スピード優先のコースながら、前走1700m未満の延長は【4-9-4-92】勝率3.7%、複勝率15.6%とふるわない。1700m【12-13-11-118】勝率7.8%、複勝率23.4%、1700m超の短縮【18-13-20-178】勝率7.9%、複勝率22.3%と1700m以上の成績がいい。

上級条件はやはりダート主流距離である1700m以上のレベルが総じて高い。まして重賞となれば、1600m以下はほぼなく、レベルの問題も大きい。ヤマニンウルスは当コースの新馬が4秒3差の大楽勝で理想的な番手抜け出しが武器。マイナス要素は少ない。あとは重賞レベルとの力関係だけ。あっさり突破なら秋は大きなところも視野に入る。

前走1700m超・競馬場別成績,ⒸSPAIA


出走馬の大半を占める距離短縮組について。中京が【10-4-5-68】勝率11.5%、複勝率21.8%と成績がいいのは、夏の開催日程上、直前の関西圏の開催だったから。中京と小倉の親和性とは別問題と考えていい。阪神【6-3-6-46】勝率9.8%、複勝率24.6%も6月開催の影響が大きい。

プロキオンSの21年1、2着、22年1~3着は距離短縮組で、21年1着メイショウカズサはアンタレスS15着、2着トップウイナーは目黒記念16着。22年1着ゲンパチルシファーは東京ダート2100mスレイプニルS3着、2着ヒストリーメイカーは平安S15着、3着サクラアリュールはスレイプニルS2着。春の重賞大敗かオープン特別好走がパターンとなっている。

当然、鳳雛S2着のブルーサンは有力候補。さらにアンタレスS8着ゲンパチルシファーは2年前の覇者であり、平安Sで負けたスレイマンも冬に当地オープン勝ちがあり、注目に値する。

小倉ダ1700mのコースデータから見るプロキオンS,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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