【函館スプリントS】前走GⅠ組は単勝回収率202% 高松宮記念組ビッグシーザーの巻き返しに期待
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は6月9日(日)に函館競馬場で行われる函館スプリントSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった23頭のうち除外対象のオーキッドロマンス、スコールユニバンス、ディヴィナシオン、プルパレイ、マイネルジェロディ、カルロヴェローチェを除いた17頭を検討対象とし過去10年のデータを使用する。
重要データ:前走GⅠ組の巻き返しに注意
函館スプリントSは様々なクラスで戦ってきた馬が入り乱れるレース。3勝クラス、OPやLで走っていて秋への飛躍を狙う馬や、春のGⅠ戦線で苦汁をなめ、夏に復活を誓う馬。どの馬にとっても重要な一戦となるわけだが、前走クラス別成績にははっきりとした傾向が出ている。
3勝クラス【1-1-1-9】、OP・L【2-5-2-55】、GⅢ【1-2-0-11】、GⅡ【1-0-2-9】、GⅠ【5-2-5-31】という着度数になっている。GⅠ組以外は単勝回収率、複勝回収率ともに全て80%以下なのに対してGⅠ組は単勝回収率202%、複勝回収率155%という数字で優秀。また好走率で見てもGⅠ組は勝率が11.6%、複勝率が27.9%といずれもトップの数字だ。
前走GⅠ組はほとんどが負けた馬で、馬柱の着順は汚くなってしまう。対してその他の組では勝ち馬や好走馬が多く出走してきていて馬柱が綺麗に見える。単純な話だがGⅠを走る馬は大敗していたとしても実力がある馬だということを再認識する必要があるだろう。
【前走GⅠの出走予定馬】
・シュバルツカイザー
・ビッグシーザー
・マテンロウオリオン
前走の内容:高松宮記念のビッグシーザー
ビッグシーザーの前走は高松宮記念で結果は7着。この日の中京競馬場は降雨の影響で内側の馬場がかなり荒れた状態で、そこを空ける騎手も多かった。
従って基本的には外有利の馬場状態。しかし勝ち馬のマッドクール、2着馬のナムラクレアは最内を走っていて、レース後の坂井瑠星騎手のコメントにもあったように内ラチいっぱいだけは綺麗な馬場という特殊な環境。加えてレース自体が前半3F34.9秒、後半3F34.0秒で後傾0.9秒のスローペースだった。こうなるといくら外側の馬場が良いとはいえ最内の綺麗な馬場を前々で走った馬に有利だった。
ビッグシーザーは1番枠からの発走で大チャンスだったが、2番枠のマッドクールがすぐに前に入ってしまい、結局一番馬場の悪い最内から2頭目のゾーンを走ることになってしまった。ポジションも中団やや前といったあたりで1~3着馬と比べればかなりきつい競馬をしていた。GⅢでは【0-1-1-1】と堅実に走っていて、着外となった昨年の京阪杯も5着と掲示板は確保。今回が重賞初制覇の大チャンスだろう。
血統解説:キミワクイーン、ビッグシーザー
・キミワクイーン
日本での牝祖は3代母フォレストゾーン。この牝系は日本に入ってきてからあまり実績を残せておらず、代表馬は本馬かフォレストゾーンの直仔で10年スイートピーS2着のニーマルオトメくらいだ。
母チェリーペトルズはダイワメジャー×サクラバクシンオーという組み合わせで父らしいトモと母父のスピードを武器にJRA芝スプリント戦で2勝。本馬は父がロードカナロアだが母を強く引き出していて、母の柔らかさを足したような馬に出た。母と違って馬格はないが、パワーはしっかり受け継いでいて、洋芝はぴったりの舞台といっていい。
昨年の函館スプリントSを勝利してから重賞で好走できていないが、開幕週かつ洋芝はおそらく本馬にとって最高の条件だろう。先行力もあるので好発を決めれば昨年同様、上位争いも可能だ。
・ビッグシーザー
日本での牝祖は母アンナペレンナ。3代母バイユーストームの産駒も日本で走っていて、佐賀記念を勝利したメテオロロジストと同じファミリー。母は現役時ダートの中距離でJRA3勝をあげた実績馬で、全弟のビッグドリームも3歳馬ながら既にJRA2勝をあげている。
元々アメリカで繋がってきたファミリーであったことや、母がStorm Catの3×3を持っているため、パワーと一定ラップで走る能力に優れた馬だ。父にビッグアーサーを迎えたことでスピード性能と芝適性を獲得し芝のスプリンターに出ている。函館競馬場では初めての競馬となるがスピードには全く問題ないし、血統面から考えて洋芝もこなせるだろう。あとはどれだけ前半が流れてくれるかだ。
Cアナライズではビッグシーザーを推奨
今回はビッグシーザーを推奨する。モルガナイトS勝ちのアサカラキング、春雷S勝ちのサトノレーヴ、鞍馬S勝ちのジャスティンスカイと、ビッグシーザー以外の上位人気が予想される馬はいずれもOPクラスのレースを勝利して勢いに乗る馬。ただ、データ的にはそういったタイプよりGⅠで跳ね返されて相手弱化となる馬の方が好走する傾向がある。
また、ビッグシーザーは血統的に函館競馬場への不安はなく、重賞初制覇の可能性は十分にある。前走の内容を考えても地力面で上位なのは明らかだ。その他、穴で名前を挙げておきたいのがキミワクイーン。近走はあまり成績が伴っていないが昨年の勝ち馬。本馬にとって最も適性が合うのがこの函館スプリントSだ。人気がなくても抑えておく必要はあるだろう。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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