【鳴尾記念】京都巧者で実績No.1のボッケリーニを推奨 血統ではヨーホーレイク、データではスカーフェイスも注目

貴シンジ

鳴尾記念の前走クラス別複勝率,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は6月1日(土)に京都競馬場で行われる鳴尾記念について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった15頭を検討対象とし過去10年のデータを使用する。

重要データ:前走の条件で成績がわかれるレース

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


鳴尾記念は例年阪神芝2000mという条件で行われてきたが、今年は京都競馬場で行われる。開催される競馬場は異なるが、レースの立ち位置は同じ。条件戦を勝ち上がってきた馬、GⅢやGⅡを中心に戦っている馬、GⅠにも出走しているが宝塚記念を諦めた馬が入り乱れるレースだ。

そのため、力関係を考えることが難しく、レース全体の複勝回収率は90%とどちらかといえば荒れるレースでもある。今年は条件戦からの出走はないので、OP以上のクラスごとに成績を見ていこう。

まずはOP・L組。【2-2-3-28】で単勝回収率39%、複勝回収率137%。勝つのは人気馬だが、3着以内では高水準の回収率なので相手として抑えるには良いだろう。

続いてはGⅢ組。【1-3-2-29】で単勝回収率7%、複勝回収率39%。21年サンレイポケット、22年カイザーバローズが1番人気を背負って着外に沈んでいる。GⅢで好走したからといって、ここで人気になるようなタイプは割引が必要だ。今年はヨーホーレイクが上位人気となりそうだが、前走新潟大賞典3着からの臨戦だけにどうか。

GⅡ組は【3-2-2-18】で単勝回収率80%、複勝回収率75%。強調材料とはならない数字だが複勝率は28.0%と高く、無視できないグループだ。最後がGⅠ組。【3-2-3-13】で単勝回収率196%、複勝回収率94%。かなり高い数字を出している。GⅠで凡走したことによって人気が落ちる馬もいるが、馬柱の見た目以上のパフォーマンスを発揮してくる可能性があるので注目したい。

【前走GⅠの出走予定馬】
・スカーフェイス

前走の内容:日経賞のボッケリーニ

ボッケリーニの前走は日経賞で、結果は5着。まず馬場状態は降雨の影響で良馬場発表ながらややぬかるんだ状態。ラップとしては前半5Fが60.0、後半5Fが60.7で前半の方が速い流れだったが、マテンロウレオが飛ばしていたもので2番手以降はスローペースだった。従って後ろ有利ということはなかっただろう。

ボッケリーニは先行策を取ってポジション取りは悪くなかったが、ギアを一気に切り替えて速い上がりを使えるタイプではないだけに、しぶとい競馬ができないと日経賞のように負けてしまう。

ただ、今回は【2-2-0-1】と相性の良い京都競馬場でのレース。ラスト800mの下り坂からロングスパートになりやすい京都は、ボッケリーニにとってまさにベストの舞台と言えるだろう。

血統解説:ボッケリーニ、ヨーホーレイク

・ボッケリーニ
日本での牝祖は7代母レデイチヤツター。約60年日本で繋がってきたファミリーだが、勢いが出てきたのはつい最近。宝塚記念、天皇賞(秋)とGⅠを2勝した本馬の全兄ラブリーデイを筆頭に、一昨年の皐月賞馬ジオグリフ、ステイヤーズS3連覇のアルバートなどが出ている。

芝を主戦場とする馬が多いファミリーだが、特筆すべきは豊富なスタミナ。本馬もデビュー戦こそマイルを使われたが、その後は徐々に距離を延ばしていき、一昨年の目黒記念で1着、昨年の日経賞で2着など中長距離適性の高さを見せている。

すでに8歳で気性的にはかなり落ち着いており、折り合い面に不安がないことからもGⅡ、GⅢクラスの中長距離では安定勢力だ。ポイントは距離短縮によって追走スピードが上がること。ただ前走も極端に遅い流れではないなかを先行できていたし、今回逃げそうなアウスヴァールは極端に速い逃げを打つタイプではない。4、5番手のポジションを確保できれば得意のしぶとい競馬ができそうだ。

ボッケリーニの血統表,ⒸSPAIA


・ヨーホーレイク
日本での牝祖は3代母ミルド。母のクロウキャニオンは現役時兵庫ジュニアグランプリで3着した実績馬だが、繁殖としてはさらに優秀。レパードS勝ちのボレアス(父ディープインパクト)、弥生賞勝ちのカミノタサハラ(父ディープインパクト)など重賞級の馬を多数輩出している。ボレアスがディープインパクト産駒ながらダートで活躍したように、母や母父フレンチデピュティの特性を引き出すことが多い。

ディープインパクト×フレンチデピュティという組み合わせはニックスでもあり、ダービー馬マカヒキが出ている優秀な配合だが、古馬になると徐々にフレンチデピュティの血が表面化し、筋肉が硬くなりやすいというのもポイントだ。

本馬も2走前に2年2か月ぶりのレースを3着。前走の新潟大賞典も3着と好走したが、休養前と比べると硬さが出ている。ただ、京都の舞台においてはきょうだい全体で相性が悪くなく、似た血統配合のマカヒキも京都記念で3着2回などあり、良い方向に出そう。データ的には割引の前走GⅢ組だが、今回はチャンスがある。

ヨーホーレイクの血統表,ⒸSPAIA


Cアナライズではボッケリーニを推奨

今回のはボッケリーニを推奨する。年齢を重ねていて大きな上積みこそ見込めないが、今回のメンバーであれば実績は一番。距離短縮が一つのポイントになるものの、得意の京都であればこなしてくるだろう。

京都が合いそうなヨーホーレイクも注目馬の一頭。加えて、大穴となりそうだがデータ面で大きな後押しがあるスカーフェイスにも印は回しておきたい。

人気が予想されるロードデルレイは東京や阪神のように瞬発力で勝負する舞台が合っていそうで、今回は初めての京都となる。ロングスパート勝負になればボッケリーニやヨーホーレイクに分がありそうで割引としたい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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