【日本ダービー】近10年8勝の皐月賞組が優勢 ジャスティンミラノ中心も別路線組のシックスペンスにも注目
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
世代の頂点に立つのは
3歳世代の頂点を決めるダービーウィークがやってきた。過去10年で二冠を達成したのは、15年ドゥラメンテと20年コントレイルの2頭のみ。今年はどのようなレースとなるのか、主な参考レースをデータとともに振り返っていく。
皐月賞【データ:A メンバーレベル:A】
過去10年の成績【8-9-6-70】勝率8.6%、連対率18.3%、複勝率24.7%
出走頭数は93頭と多いが、10年で8勝と好成績を残している。前走着順別成績でも1、2着馬が2勝ずつと着順が上だった馬ほどダービーでも活躍している。
ハナを奪ったメイショウタバルが後続を5馬身以上引き離す逃げで1000m通過57.5というハイペースを刻んだ。直線はジャンタルマンタルが3番手追走から早め先頭で押し切りを図ろうというところをジャスティンミラノとコスモキュランダが猛追。際どい争いとなったが、ジャスティンミラノがクビ差制し、1:57.1のレコード決着となった。3着ジャンタルマンタルはその後、NHKマイルCを快勝しており、レースレベルは高かったと言っていい。
道中5番手から運び、3戦3勝で無敗の皐月賞馬となったジャスティンミラノ。スローペースの瞬発力勝負で勝ち上がってきたが、ハイペースにも難なく対応してみせた。東京コースに戻るのも歓迎材料で、日本ダービーに向けて死角は見当たらない。
2着コスモキュランダは中団追走から4角で大外を回し、残り100mを切ったところからはジャスティンミラノと馬体を併せながら伸びた。クビ差及ばなかったが、力は十分に見せつけたレースだった。J.モレイラ騎手の好騎乗、ハイペースで持久力を問われる展開も味方した。
4着アーバンシックは中団よりやや後ろを追走。直線は外へと持ち出して追い込んだが勝ち馬とは0.4秒差だった。決して器用なタイプではなく、コース替わりは歓迎。逆転の可能性はある。
5着シンエンペラーは、まだ馬体に緩さを残しながらも健闘。牝馬ながら1番人気に支持されたレガレイラは6着に終わるも、後方2番手から直線大外を回す内容で上がり最速タイ33.9の末脚で伸びた。今回はC.ルメール騎手に手綱が戻り、ウオッカ以来となる牝馬のダービー馬誕生なるか注目される。
その他では7着エコロヴァルツ、9着サンライズジパング、10着ミスタージーティー、12着サンライズアース、13着ビザンチンドリーム、17着メイショウタバル、スタート直前に除外となったダノンデサイルも出走を予定している。
京都新聞杯【データ:B メンバーレベル:C】
過去10年の成績【1-1-0-18】勝率5.0%、連対率10.0%、複勝率10.0%
過去10年でダービー馬に輝いたのは19年ロジャーバローズのみ。12番人気、単勝93.1倍と波乱を呼んだ。
好スタートを決めたウエストナウが、1角で外にヨレて後続馬に不利を与える場面もあったものの、そのまま逃げる展開に。半馬身差でプレリュードシチーとハヤテノフクノスケもピッタリマーク、1000m通過は1:00.3だった。それらを見る形で4番手から運んだジューンテイクは、直線で最内に進路を取るとそのまま突き抜け、2着ウエストナウに1馬身差をつけて勝利した。
勝ちタイムは2:11.2、2歳時には朝日杯FSで4着という成績も残しているが、すみれSでは皐月賞12着サンライズアースに1馬身半差、若葉Sでは皐月賞10着ミスタージーティーの5着という成績を考慮すると、皐月賞組を脅かす存在とは言えない。
青葉賞【データ:B メンバーレベル:B】
過去10年の成績【0-0-3-19】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率13.6%
ダービートライアルながら、これまで青葉賞からダービー馬は誕生しておらず、過去10年では17年アドミラブル、23年ハーツコンチェルトなどの3着までとなっている。
すんなりと先頭に立ったパワーホールが徐々に2番手ウインマクシマムを引き離して1000m通過は59.5、レース後半は大逃げの形となった。直線残り200mでウインマクシマムが先頭に立つも、道中好位グループのインで脚を溜めたシュガークンがゴール前で差し切り重賞初制覇を果たした。勝ちタイムは2:24.2だった。
2着は中団追走からゴール前ではシュガークンにアタマ差まで迫ったショウナンラプンタ。この2頭が日本ダービーへと駒を進めるが、こちらも皐月賞組と比較するとパンチ不足なのは否めない。
プリンシパルS【データ:C メンバーレベル:C】
過去10年の成績【0-0-1-8】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率11.1%
過去10年ではオープン時代も合わせて9頭が出走し、18年コズミックフォースの16番人気3着という成績が残っている。
レースは向正面に入るところで、じわっとミカエルパシャが先頭へ。やや折り合いを欠く場面もあったが、そのまま1000mを1:01.6というペースで入った。1番人気の支持を集めたダノンエアズロックは4、5番手の外を追走。直線は外から追い込み、残り100mで先頭に立つと余裕十分で2着メリオーレムに1.1/4馬身差をつけて完勝、1:59.6の勝ちタイムをマークした。
前走の弥生賞ディープインパクト記念は7着だったが、初の中山コースに加えレース後に軽度の骨折も判明。それを度外視すると東京コースで3戦3勝と、やはり広いコースがあっている印象を受ける。距離延長も苦にするタイプではなく、上位争いに食い込む力は秘めている。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
スプリングS【データ:C メンバーレベル:C】
過去10年の成績【0-0-0-1】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%
皐月賞トライアルのスプリングSから参戦したのはわずか1頭。19年エメラルファイトが12着という成績に終わっている。
10頭立てとなったレースはアレグロブリランテが逃げて、2番手にコスモブッドレアがマークする展開になり、1000m通過は1:03.1という超スローペース。3番手でじっと脚を溜めていた1番人気のシックスペンスは抜群の手応えで直線に向いて軽く仕掛けられると、瞬く間に後続を引き離し3馬身半差をつけて快勝した。勝ちタイムは1:49.4だった。
この勝利でデビューから3連勝。スローペースの瞬発力勝負になったとはいえ、ラスト2F10.9-10.8を楽々とマークするのは容易ではない。東京コースは今回が初めてとなるが、ジャスティンミラノをはじめとする皐月賞上位組とは未対戦。世代上位の瞬発力を秘めるシックスペンスなら一気に世代の頂点まで駆け上がっても不思議はない。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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